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夏祭りの夜。
屋台の灯りが並び、浴衣姿の人々で参道は賑わっていた。
咲は浴衣の裾を気にしながら、人混みを縫うように歩く。
(美優、どこにいるんだろ……待ち合わせ場所、間違えたかな)
スマホを確認しようと立ち止まった、その時だった。
「ねぇ、一人? 浴衣似合ってるね」
不意に声をかけられ、顔を上げると、知らない男がにやりと笑いながら近づいてきた。
「探してる友達いるんだろ? 俺と一緒に探してやろうか」
逃げようとした咲の腕に、男の手が伸びる。
心臓が大きく跳ね、言葉が喉につかえて出なかった。