「それで、久しぶりに我々を集めるとは、一体どういった風の吹き回しだ?」
湯呑みをそっとおくと、怪訝な表情で菊はフェリシアーノを見つめた。その傍でいつもどうりルートビィッヒは眉間に皺を寄せ腕を組んでいた。
「にーちゃんがトマト野郎に攫われた」
「貴様の兄君が?どうして奴がそんなことをする?」
「ロヴィーノが奴のお気に入りだからだろう?」
普段口を滅多に開かないルートビィッヒが静かにそう言った。
「お気に入り?」
菊の眉はさらに眉間に寄った。フェリシアーノはグッと自分の唇を噛む。ルートヴィッヒはそれ以上話す気がないようで顎でフェリシアーノのに自分から話すようにと指した。
「昔、色々あったんだよ……前にもにーちゃんがあいつに取られたことがあって、長い間取り返せなくて……なんであいつがにーちゃんのこと好きなのかは知らないけど……うぇっ、想像しただけで虫唾が走る!!!」
「……で、本題は我々2人に貴様の兄君奪還を手伝って欲しいということか?」
脚を組み直しながらそう言うと再び湯呑みに口をつけ、静かに茶を飲んだ。
「うん。協力して欲しい……もちろん、タダでなんて言わない」
「「ほう?」」
菊とルートヴィッヒは眉を吊り上げ同時に呟いた。
「……お前がそんなこと言うなんて珍しいな」
「嗚呼。同感だ」
「ちょ?!2人とも!俺をなんだと思ってるわけ?!」
「能天気なお調子者」
ルートヴィッヒが答える。
「その上、節操がない」
菊がスッパリと言い捨て、2人はフェリシアーノのを見る。
「うぅ……。間違ってないけど……」
「報酬は?」
「うぅ、お前にしては直球な言い方だね。菊」
「今は呑気にあ?」
フェリシアーノは少し悩んだ後にこれでどうか。と提案してきた。
「俺の家と、お前らの家で取引した時の税を下げるのと、今後なんか会った時に絶対助ける……でどう?」
「そうだな……あと、私の家はいま少し貧しい。資金援助も追加で頼もうか」
「ゔっ……わかったよ……」
菊はにっこり微笑むと頼んだ。フェリシアーノのに言う。菊が追加注文をしたことでここぞとばかりにルートビィッヒも口を開いた。
「……食糧援助」
「ゔぇぇ、んぁんまし、こっちもないよ?……それでもいいなら……」
契約書を三人で書き終えると菊とルートビィッヒは満足そうに微笑んだ。その契約書に小さく(期限は3年)と書いてあるのも知らずに。貿易上手のフェリシアーノは小さくほくそ笑んだ。
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