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「おめでと」
「おめでとう」
今日は二人の真ん中バースデー。
お互いあまり記念日に興味はないけれど、何となくこの日だけは時間の許す限り集まってささやかにお祝いする。
今年はなんとオフ被り、そして何の偶然かお互いの恋人ともオフ被りだった。
「てかさ、めめ大丈夫だったの」
「うん、まぁ。しばらく駄々こねてたね。阿部は?」
「阿部ちゃんはむしろ行ってこいって」
それぞれに恋人ができてからは初めての真ん中バースデーだったので、オフ被りとわかった時に少し開催を悩んだ。
でも、ここでなしにしたらもうやらないような気がして、せっかくだからこの奇跡の腐れ縁も形に残しながら大切にして行こうと決めて恋人に相談という名の説得をしたわけだ。
「でも、呼ぶのもなんか違うしね」
「そうなんだよな。万が一相手変わったりしたら気まずい」
「俺の隣に阿部がいて、翔太の隣が目黒になってたりとかね」
「それはもう向こうも来ないだろ」
「確かに」
笑いながらハイボールを飲む。
渡辺がいいウイスキーを貰ったけどあまり減らないと言うので、ハイボールにして食事もカジュアルにしようと提案した。
宮舘がハイボールに合う食事を用意し、渡辺は阿部に店に連れて行かれフルーツタルトを手土産に買った。
宮舘が料理の写真を撮っている。
「あ、俺も」
そう言いながら、渡辺は二人の自撮り。
「なにそれ」
「阿部ちゃんが、俺らのツーショ送れって」
「それが行ってきていい条件?」
「そ。てか、行って来い、そんで撮ってこいみたいな。涼太はそういうのないの?」
「俺は今日作った料理を今度目黒に食べさせてあげるって約束。作ったもの送る代わりに終わるまで連絡しないって条件付きだけどね」
スマホを操作し、恋人に写真を送りながら話しているこの適当さを、お互い意識していない。二人はどこまでも自然体。
「めめ重てー」
「そこも可愛いよ」
「惚気んじゃん」
こうして恋人の話題で持ちきりになるのも、何だか二人は嬉しい。
お祝いなのに、仕事や活動がうまくいかない悔しさばかりを吐き出した年だってあった。それを思えば、恋人が重いなんて可愛いものだ。
食事も食べ終わり、フルーツタルトを切り分ける。
「こっちは阿部に持って帰って。この後会うでしょ?」
「ん、サンキュ。めめのも取った?」
「取ったよ、ありがとう」
「いただきまーす…うわっ!うま!」
「エレガント」
「ぎゃはははは!」
今年はたくさん笑いながら、この気兼ねない時間が過ぎていく。
終
コメント
10件
このまったり感?ほのぼの感?可愛い(((o(*゚▽゚*)o))) お互いの恋人も認めてる真ん中バースデー(・∀・)イイ!!
仲良しでええですね❤️💙
ほんとに親友って感じのゆり組さんもいい🫶🏻 しかも恋人がいるのに祝ってるっていうのがなんか可愛い❤️💙