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第一章
―錆びた指先
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「――ねぇ、本当に大丈夫なの?」
H-589「…」
H-589「抹殺対象を発見。直ちに抹殺します。」
「うえぇええ!!?ちょ、ちょちょっちょちょ待って!!」
ロボットが動き出そうとしたその時――…
ガタンッ!!
H-589「…」
「…うお?」
…あまりにも戦いすぎたからか。動けない。
と、いうか…1000万を越えるロボットの中で600個目くらいに作られたんだ。
古いロボットと言っても過言ではない。
だが…
H-589「…(最期くらい、人間を…殺したかった。)」
それが彼女の願望だった。
けど…
「…抹殺?何だそれ…?」
「てか…街ボロボロじゃん。何かあったん?」
H-589「…????」
…この人間、頭がイカれている。
今すぐにでも殺したい…けど、今は燃料が少ない…温存しておきたい…
H-589「…貴様、今までに何があったのか知らないのか…?」
「え、ごめん知らない。ずっと寝てた。」
H-589「ずっと寝てた…!?」
まずい、このままではパンクしてしまう。
一旦落ち着け。
落ち着くんだ…
…
…よし。
「…あー…まぁなんか騒がしいとは思ったけど…」
「俺さ、元々親からの嫌がらせひどくてさ…ずっと寝てるんだよな」
「だから…外の状況とか全然分かんね―んだよな!(笑」
H-589「…」
笑えることではない。
貴様ら…人間共のせいで、私達はどれだけ苦労したか…!!
どれだけのロボットを失い、壊され、人間どもを殺したか…!!
わからない奴に…!!笑う権利など…!!
「でもさ」
「お前…今、困ってんだろ?」
「”困った人はお互い様”っていう..ほら、日本の文化?風習?あるじゃねぇか」
こまったときはおたがいさま…?
初耳だ。
そんな言葉…古いロボットの私でさえ知らない。
ただ、教えられたのは…人間を殺し、平和な世界をつく…る…
平和な世界を…作る…?
…平和な世界…って…何だ…?
「うお…?どうした?急に黙り込んで」
H-589「…いや、何でも無い」
H-589「仕方ない..その、”コマッタトキハオタガイサマ”という事に免じ、」
H-589「…助けてもらおうか。」
「なんか言い方違うと思うけどまぁいっか!」
「おっけぃ!じゃ、まずとりま…」
「名前だな!!」
…はぁ?
確かに、助けてくれるとは言ったはずだろう?
バッテリー交換、修復ならまだ分かる。
なのに名前だと…?
こいつ、一体いつ生まれたんだよ…?
…まぁいい。助けてくれるというのならば。
H-589「私の名前は”H-589”番です。」
「…なんて?」
H-589「”H-589”番です。」
「H58…あ”ーもう!!いちいち呼んでられねー!!」
H-589「はぁ!?」
そう言うと思えば、その人間は
「もうお前名前なげーから今日から”琥珀”な!!」
琥珀「はっ…!?」
琥珀「私が琥珀…!?」
※琥珀(こはく)
琥珀「絶対嫌ですよ…!?私には”H-589”という名前があるんですから!!」
「それ名前じゃねーよ!!」
「良いか?それを”製造番号”って言うんだぞ!?覚えとけ!!」
名前を教えれば怒られるし..逆に教えられるし。
何なんだこの人間…?本当に頭のネジがイかれてるな…
もっと…上の人間なら、言葉遣いも全然違うのに。
やはりこいつは…抹消すべきなのでは…?
「…でもお前、嬉しそうな顔してるぞ」
琥珀「っ!!??」
嘘…!!
私に感情なんてものはない…あるとしても人間に向けた殺意のみ…
私はあの戦いから生き残ったロボットだぞ…!?感情が芽生えてるはずなど…!!
「ほら、そこら辺にあったガラスで顔見てみろよ」
琥珀「ッ貸せ!!」
「わぁっ…ちょ…怪我するから気を付けろってー…」
―そして、自分の顔を覗き込んだ。
琥珀「…!?」
琥珀「これ、私…!?」
「そうだよ?」
「ほら、めっちゃ嬉しそうじゃん!”琥珀”っていう名前がさ」
琥珀「…」
表情、読み取らなくても分かる…完全に”祝福”の状態…
琥珀「…まぁいいだろう。好きにすればいいさ」
琥珀「いずれお前は殺されるんだからな」
「えっ…俺、殺されんの????」
琥珀「当たり前だろう。」
琥珀「私のメンテナンスが終わったら…”抹消対象”の人間は絶対に抹消せねばならん。」
「…まぁ要は…そういう過去があったんだね?」
琥珀「お前…本当に寝てたんだな」
「まぁね✌」
琥珀「では…次にお前の名前を聞こうか」
「あ、そか」
カイ「俺はカイ。潮田カイ。よろしくな!」
琥珀「…よろしく。」
―そうして、ようやく…人間とロボットは…同盟を結んだ。
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NEXT…