〜side赤城〜
レジから数えたお金を袋にしまう
レジの中を空にしてお金をマスターが使っているテーブルの上に精算表と一緒にあげる
こっちの仕事はこれで終わりだ
「マスター!お金置いてありますから!」
「ありがとう。そっちは終わった?」
「まだロウが戻って来てないんで‥‥俺見て来ますね」
「来たらまた声かけて」
「分かりました!」
裏口までの通路を見てもゴミは無い
そうだよな‥‥
ロウちゃんとまとめてたし
なんなら台車も畳んで壁に立て掛けてある
俺はすぐに裏口を開けて外へ出た
そこで恐ろしい光景を目にする
「ロウ!!お前達何してんだよ!」
店のすぐ後ろのゴミ捨て場
そこでロウが男の背中に乗せられていた
ロウはだらんと腕を垂らし、男達に運ばれそうだ
俺は無我夢中で男達に殴りかかった
「ロウに何をしたっ!」
「うるせぇな!邪魔だよっ!」
ロウを押さえていた男が俺を突き飛ばしてくる
地面に転がりながらもすぐに立ち上がり、また男達に楯突いた
「ロウを返せっ!離せったら!!」
「邪魔だなっ!静かにしろよ」
「マスター!マスター!!誰かー!」
できる限りの大声で叫びまくる
そしてロウの背中を掴み、背負っていた男の背中を足で前へ蹴り飛ばした
男は前のめりになり、激しく倒れ込んだ
その時マスターの更にデカい声が響き渡る
「お巡りさん!!こっち!こっちです!」
俺達がいる所とは反対側に大きく手を振っている
バタバタと黒い人影がこちらに走って来た
気付くと後ろでは男達が逃げ出している
「おい!こら、待てっ!」
「ウェン君!もういい、警察に任せて!」
追いかけ様にも腕の中のロウを放ってはいけない
その時ロウが小さく咳をした
「ロウ⁈」
「‥‥ゴホッ‥‥なんだよ‥‥」
「良かった‥‥気がついて‥‥」
「小柳君大丈夫かい⁈救急車呼ぶから」
「いえ‥‥大丈夫です」
「いや、大丈夫じゃ無い!呼ばせてもらうよ」
ロウのそばで様子を見ていたマスターがスマホを取り出す
その手をロウが止めた
「だったらここに家族呼んでもらって良いですか?俺、連れてってもらいますから」
それならと急いで家族に電話をかけた
マスターが警察の対応をしている中、何個かロウも警察に質問され、それが済むとすぐにロウの両親が店に駆けつけた
話よりもとりあえず先に病院へ連れて行って欲しいとマスターに言われてロウが車に乗せられる
「ウェン、お前も来い」
「え?」
「手、怪我してる」
「そうね、一緒にいらっしゃい」
おばさんに促されるまま俺も車に乗る
病院に着くと頭を打った事から、ロウは色々な検査をしてもらった
俺は殴った時に出来た青あざを見てもらった
湿布を貼り包帯を巻いてもらう
看護師さんが俺の手を撫でてくれた
「殴り慣れてない手だね。お友達を守るのに必死だったのかしら」
そう言って俺とおばさんに笑いかけた
おばさんは看護師さんにお礼をすると、看護師さんがしたみたく、俺の手を撫でてくれた
「ありがとうウェン君」
「こんな事くらい平気ですから」
そのあとはロウが検査を終えるまでしばらく3人で待っていた
検査の結果も異常無く、角に打ち付けた背中が少し切れていたのと、その周りの打ち身
頭も心配はないと言われた
帰りの車の中で、バイトを続ける事に少し不安を感じてるおばさんと、続けたいロウの話し合いが行われていた
バイト期間も後1週間もないから続けたいとロウが言うと、父親が口を開いた
「そうだな。今カフェから電話があって、犯人は捕まったそうだよ。ロウが最後までやりたいならさせてやろう。でも何かあったらすぐに私たちに連絡するんだぞ。ウェン君もな」
「はい!」
「ウェン、本当にありがとう」
「良かったよ、ロウが無事にここに居れて」
あんなに風が強かったのにいつのまにか止んでいる
それどころか雨も降ってない
騒ぎすぎた俺達のせいで、台風が逸れたみたいだった
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コメント
4件
遅くなりました こや 助かって良かった~ kp&マスター&親?ナイス~! こや の姿見たら殴りかかるの解釈一致すぎる!

やっと最新話まで追いつけましたー(^^) 大人なロウくんとは違った学生の雰囲気のが感じ取れます……良きッッ(;;)✨️ ぎゃうるふ……良きッッ(;;)✨️