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「彼は狼くん」 ― ya × et
深夜、いつもゲーム部屋に籠もっているゆあん。
えとはもう話しかけなくなった。
(……きっと、ゆあんくんにとって私は邪魔なんだ……)
そんな思いで、夜中に外出する日が増えた。
――そして、朝7時。
ガチャ……
玄関の扉が開く音。
ゆあんはふとイヤホンを外し、時計を見て顔をしかめた。
「……こんな時間まで……」
嫌な胸騒ぎがして、玄関まで走る。
「えとさ――っ!?」
そこに立っていたえとは、傷だらけで、服も泥だらけだった。
「なにして……っ、どうしたの……!」
思わず怒鳴る声に、えとはびくっとして、俯いたままぽろぽろと涙をこぼした。
「……いたい……しんどい……もういやだ……」
か細い声で、ゆあんの胸に飛び込んでくる。
「……おい、やめ……」
引き剥がそうとした瞬間――
「……もう、ゆあんくんは……私のこと……好きじゃないんだよね……」
その言葉に、ゆあんの動きが止まった。
「……は?」
「……だから……もういいの……」
泣きじゃくるえとを見て、胸の奥がずきりと痛む。
「……バカ……っ」
次の瞬間、ゆあんはえとを抱き上げていた。
「きゃっ……ゆあんくんっ……!」
お姫様抱っこされたまま、ソファにそっと降ろされる。
ゆあんはえとの頬に触れ、指先で涙をぬぐった。
「俺が……お前を嫌いなわけねぇだろ……」
「……でも……全然話してくれなかったし……」
「……話しかけられると、嬉しすぎて……ゲームに集中できなくなるから……」
「……え……」
耳まで赤くしたゆあんが、顔を逸らす。
「……俺、プロゲーマーなのに……お前にだけは勝てないんだよ」
「……ゆあん、くん……」
次の瞬間、唇が重なる。
ちゅ……ちゅっ……
「ん……っ、ゆあんくん……」
「泣き顔……可愛い……」
舌が触れると、えとがびくんと肩を揺らす。
くちゅ、じゅる……ちゅっ……
「んっ……あ……」
「ほら、もっと……声出せ」
首筋にキスマークをいくつも落とす。
じゅっ、ちゅっ……
「やぁ……っ……そんなとこ……」
「全部俺のものだって証拠つけんの、当たり前だろ」
ゆあんの腕がさらに強くえとを抱きしめる。
「……俺から離れんな。……絶対」
「……うん……っ、ゆあんくん……だいすき……」
「俺も……ずっと好きだよ」
二人の吐息と甘いキスが重なり、
冷たかった部屋は、二人だけの温もりで満たされていった――。
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コメント
4件
雰囲気大好きすぎます!天才です✨
茉 夕 彡 の お 話 だ い す き で す ><