本人様には関係ございません。
本人様にご迷惑のない様にお願いします。
フィクションです。
ギルドパロです。非常に捏造多いです。
青さんがずっと眠ってます。
(たくさんの♡、ありがとうございます❕️すごく嬉しいです)
忘れてしまいたかった。
「今日は…、シャークんが任務入ってるよね」
「うん」
「シャークん気をつけてねぇ、無茶しちゃだめだからね」
「わかってるって」
「何かあったら?」
「インカムな、大丈夫だよスマイル」
「…いってらっしゃい。気をつけて」
「おう、ナカムは寝ろよ。いってきます」
みんなはやけに過保護になった。
今まではギルドを出る時もいってらっしゃいの一言だったのに、心配ばっかりしてくる。
俺は大丈夫だ。
何をそんなに心配する必要があるのか。
まあ…、わかってはいる。
きんときのことがあったからだ。
あれからみんなは俺を1人で外に出すことをあまりよしとしていない。
俺が直接言われたことはないけど、わかる。
「知らないよ、俺はできるから」
きんときが眠り始めてから、俺は依頼を1人で受けるようになった。
戦闘要員がいないと言うのもあるが、それよりなにより、思考を止めたかった。
戦っている時は、集中している時は、苦しいことを考えずに済む。
逆に言えば自分の命に危険がないと集中できず、こうやって考えなければ苦しくもならないきんときのことを考えてしまう。
「いかないと、早くいかないと」
小さく呟いて森へと足を早める。
今日は討伐依頼、今までなら2人で受けていたそれを、今日はどうしてもと頼み込んで1人で来ていた。
だからこそあいつらには余計に心配をかけているのか、と今更ふと思う。
確かにそれなら納得がいく。
またナカムに怒られるのかな。
「いた」
ポロリと口から出た言葉が聞こえたのか俺の身長の倍ほどある狼のような魔物がこちらに振り返る。
弱くはなさそうな、ギリギリ1人でやれそうな風貌だ。
こいつが、今日の俺を支えてくれる。
「簡単に死んでくれるなよ」
ナイフを一度回した後握りしめて戦闘態勢に構える。
幾度としてきたこの動作は毎回行う いわばルーティーンで、ぶるーくも似たようなことをしている。
「いらないこと考えるもんじゃないな」
振り上げられた腕が凄まじい速さで俺の頭上から振り落とされる。
影で判断してすぐ避けることができたが、余所事は考えない方が良さそうだ。
「それぐらい強くなきゃ、戦う意味ないからな」
久しぶりに集中することができそうだと、息を細く長く吐く。
「こっからはお互い命懸けだぞ」
理解される訳のない言葉を吐きながら、魔物が大きく手を振り上げたところを勢いよく懐に入り込んで一撃を入れる。
呻く魔物が俺に食らいつこうと首を落としたので、それを逆手にとって頭に飛び乗り頭部にナイフを思い切り刺す。
大きく叫んだ魔物が苦しそうに暴れ回るので、頭部から落ちないように長い毛を掴むも、強い力で振り落とされてしまう。
「っ…クソ」
木の幹に強く叩きつけられた背中が痛い。
骨は折れていなさそうだが肺が傷ついたのか、息をする度にヒューと乾いた音が鳴る。
「はぁ…、いい感じだ」
命が削られるほど、戦いに真剣になる。
傷がつくほど、思考は逸れていく。
そのまま飲み込んでくれ、弱い俺を。
「はっ…はぁ………」
結局手こずって、魔物は四肢を失って初めて死んだ。
もう空は夕暮れと言うしかない色合いで、木々の隙間から俺を見ている。
「……遅く、なっちゃった」
戦闘中にいつの間にか反転していた目が戻るのを感じて、自分を飲み込んでいたものが去って行ったことが分かる。
「インカム…入れないと…」
ヘッドフォンに搭載されているインカムを動かすためのボタンを押す。
怒られるかな。
ナカムあたりに大声で怒られる気がして、少しスピーカー部分を耳から浮かせる。
「こちらシャークん。任務完了」
「シャークん、お疲れ様。ケガはない?」
「ぶるーくか。…ケガはあるけど」
「えぇ!1人で行くなんていうから〜!気をつけて帰ってきてね?」
「わかってるよ…。」
インカムを聞いているのはぶるーくしかいないらしいので、うるさくなることは無いだろうとヘッドフォンを耳に戻す。
「みんなは?」
「シャークんが言ったのが効いたみたいで、ナカムが寝るっていい出してさ、スマイルときりやんが監視してたんだけど、2人とも寝ちゃったみたい」
「…寝てくれたんだ」
「うん、さすがに僕も見てられないよって言ったら、しょうがなくって感じだったね。自分が言うこと聞けば、シャークんも無理しなくなるかもって言ってたよ」
「……無理はしてないんだけど」
「…そうだよねぇ。でもナカムのためにも一回ちゃんとお休みとった方が良いよ」
「まあ、うん」
曖昧な返事をして森を抜ける。
今まで見えていなかった西日がちょうど目を焼いて、まぶしくて、涙が出た。
結局今日も忘れられない。
あいつが今も眠っていることを。
「シャークん、どれくらいでこっちに戻って来れそう?」
「……」
「…シャークん?」
「っ30分後、くらい……」
「……わかった。目、こすらないでね」
「ん……」
ぶるーくに心配かけたな。
帰る頃にはみんな起きてるかな。
帰ったら、起きてないかな。
「…」
やっぱり考えることをすぐにやめるなんてできないんだ。
逃げても、避けても、結局は解決しない限り心のなかで燻り続ける。
「はやく……目が覚めますように…」
溢れる涙はそのままに、ただ帰路をなぞった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!