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番外編
時々ふと寂しくなる。
無一郎が居なくなるんじゃないかと俺は大切な人を失いやすい傾向にあると自負している幼いころに両親を無くしたし仲の良い友も失った。いつまで自分はこの幸せな生活を続けることが出来るのだろうか。
気付けば涙が頬を伝っていた。
ギョッとする無一郎の顔が映る。アタフタするする姿が愛おしくてたまらない。幸せがいつまでも続いて欲しいと願う。
今日は何故か知らないがしのぶさんから蝶屋敷へ来てくれと連絡があった不思議に思いながら足を運んだ。
「𓏸𓏸さん来ていただきありがとうございます。突然で申し訳ないのですが、少々重たい話になります。心の準備ができるまで私は待ちますので準備が来たら言ってください。」
鼓動が早くなるのがわかる自分の幸せの歯車がまた狂ってしまうのではないかと言う恐怖に背筋が凍るだが聞かなければ。
「大丈夫です。話してください。」
「わかりました。時透さんには明日大きな任務が入っています。多分あなたがたのことですので任務なので任務の日程などは交換していますよね。でも明日のこと時透さんはあなたに言わないのではないかと思って。明日は正直時透さんの無事が危ういと考えられる任務なのです。最近は鬼の増殖が著しく鬼殺隊が追いついていません本来なら柱複数人で向かう予定の任務なのですが時透さんが親方様に気を使い引き受けられました。止められず申し訳ない気持ちでいっぱいでせめてもと呼ばせていただきました。」
ああやはり自分と関わる人は不幸な目にあってしまう運命なのだまだ彼が負けてしまうと決まったことでは無いが五感全てが麻痺し危険を感じている。声が出ない。
「そうなんですね。教えて頂きありがとうございました。詳細な情報はいつも教えてくれないので笑」
「𓏸𓏸さん、これを使ってください。」
しのぶさんの手にはハンカチが。気が付かなかった涙が溢れている。止まらない止めることが出来ない。なんとか無一郎にはこの事を悟られず明日を迎えたい。動悸が止まらない身体を叱咤し家路についた。
帰ったら彼は満面の笑みで自分を家へ入れた
「おかえり𓏸𓏸ご飯できてるよ!早く座って!!!」
決して泣いてはいけない今できる最大の笑顔を彼へ向け
「うん!ありがとう」
と言い席に着いた。
何気のない日常会話、自分が食べ物を口へ運ぶところを見て優しく細まる目全てが愛おしく恋しい。
終わりたくない。
失いたくない。
あっという間に時間が過ぎ2人は布団で身体を寄せあった冬の凍える時期温かさを確かめ合うように眠った。
いつもより目が早く覚める。
この緊張感でぐっすり寝られるわけが無い。
彼を見つめているとアラームがなった。彼が目を擦りながら体を起こし自分を抱きしめた。幸せで幸せで仕方がない。
彼は準備を始めてしまう。滅の字の刻まれた黒い服に腕を通していく。
彼は玄関に立ち自分をいつものように抱きしめてキスをし、大好きと言った。何も変わらないだがどこかいつもと違う昨日のしのぶさんの言葉は嘘じゃない。いいのかこのままでいいのか。
「…ないで、」
「どうしたの𓏸𓏸?」
「行かないで、」
言ってしまった。溢れてしまった。感情が抑えられなかった。
「やっぱり気づいてた?しのぶさんかな笑言っちゃったかー大丈夫絶対帰ってくるから。」
「約束だよ。」
彼を送ってから12時間が経った彼はまだ帰ってこない。動悸が止まらない。来るな来るな来るな。カラスの鳴き声を体全身が拒む。
「時透死亡」
夕食を作って待っていたのに。帰ってきてくれないか、ずっと待っているから嘘だと言ってくれないか。
自分の中の何かがプツンと切れた気がした。
あー馬鹿みたいだ。意地でも止めれば良かった。力づくで引き止めればよかった。どうせ居なくなってしまうならもういっそのこと彼をこの手で殺して自分も死ねばよかった。