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📖 第二十二章:「逃げられない答え」
翌日。
朝から、落ち着かない。
教室のざわめきも、窓の外の景色も—— 全部がどこか遠く感じる。
○○は席に座りながら、ずっと同じことを考えていた。
○○:(……今日)
冴に言われた言葉が、何度も頭の中で繰り返される。
“ちゃんと答えろ”
“逃げたら——今度は、俺から行く”
胸が、ぎゅっと締め付けられる。
○○:(……どうしよう)
答えなんて、もう分かってるのに。
それを言葉にするのが、怖い。
——そして、放課後。
教室は、また昨日と同じように夕焼けに染まっていた。
オレンジ色の光。
静かな空気。
でも——
今日は、違う。
逃げ場がないって、分かってるから。
ガラッ。
扉が開く音。
振り向かなくても分かる。
冴だ。
足音が、ゆっくり近づいてくる。
止まる。
すぐ、後ろ。
冴:「……残ってたな」
低くて、落ち着いた声。
でもその奥に、昨日とは違う“決意”が混ざっている。
○○:「……うん」
振り向けない。
でも、逃げることもできない。
少しの沈黙。
そして——
冴:「昨日の、続き」
一歩、回り込まれる。
視界に入る。
近い距離。
冴:「答え、決まったか」
真っ直ぐな目。
逃げ場を与えない視線。
○○:「……」
喉が詰まる。
でも、逃げたくない。
逃げたら——きっと、後悔する。
○○:「……好き、とか」
小さく、震える声。
○○:「分かんない、けど……」
冴の目が、わずかに揺れる。
○○:「冴といると……落ち着かないし」
手が、ぎゅっと握られる。
○○:「でも、いないと……もっと落ち着かない」
言ってしまった。
止められない。
○○:「他の人と話してるの見ると、嫌で……」
胸が苦しい。
○○:「近くにいると、ドキドキして……」
顔が熱くなる。
○○:「……分かんないけど」
一瞬、目を閉じて——
○○:「たぶん、好き」
静寂。
時間が止まったみたいに、何も聞こえない。
冴は、何も言わない。
ただ——
じっと、○○を見てる。
○○:(……やばい)
言った。
全部、言った。
逃げ場なんて、もうない。
○○:「……だから」
少しだけ後ずさる。
○○:「変に思われるの、嫌で——」
その瞬間。
ガシッ。
腕を、掴まれる。
○○:「……っ!」
引き寄せられる。
一瞬で、距離がゼロになる。
冴:「……やっと言ったな」
低い声。
でも——どこか、安心したみたいな響き。
○○:「……え」
顔を上げると——
すぐそこに、冴。
近すぎる距離。
息がかかる。
冴:「分かりにくすぎんだよ」
少しだけ、呆れたように笑う。
でも、その目は——優しい。
冴:「俺がどんだけ我慢してたと思ってんだ」
○○:「……我慢?」
冴の手が、そっと○○の頬に触れる。
今度は、止まらない。
ちゃんと、触れる。
冴:「お前のこと」
真っ直ぐ、見つめてくる。
冴:「ずっと好きだった」
ドクン。
心臓が、大きく鳴る。
冴:「最初は、ただ気になってただけだったけど」
少しだけ目を細める。
冴:「気づいたら、他のやつと話してんの見
るだけでイラつくし」
苦笑する。
冴:「近くにいると、触りたくなるし」
指が、頬をなぞる。
冴:「……離したくなくなる」
○○:「……っ」
頭が真っ白になる。
冴:「だから」
一歩、さらに近づく。
冴:「噂とか、どうでもいい」
低く、はっきりと。
冴:「お前がどう思ってるかだけ、知りたかった」
沈黙。
でも今度は、怖くない。
○○:「……今、言った」
小さく言う。
冴:「ああ」
少しだけ、口元が緩む。
冴:「ちゃんと聞いた」
そのまま——
冴の額が、そっと○○の額に触れる。
距離が、完全になくなる。
冴:「じゃあ、もういいだろ」
低く、優しく。
冴:「俺のにして」
○○:「……っ!?」
一瞬、思考が止まる。
冴:「付き合え」
シンプルで、まっすぐな言葉。
逃げ場なんて、最初からなかった。
でも——
もう、逃げたくない。
○○は、ゆっくり頷く。
○○:「……うん」
その瞬間。
冴の手が、少し強くなる。
引き寄せられて——
唇が、触れる。
一瞬だけの、優しいキス。
でも、はっきりと分かる温度。
離れたあとも、距離は近いまま。
冴:「……これで、文句ねぇだろ」
少しだけ照れたみたいに、目を逸らす。
○○:「……うん」
小さく笑う。
胸の奥が、あたたかい。
夕焼けが、二人を包む。
昨日とは違う距離。
もう——逃げる理由はない。
○○:(……逃げられないんじゃない)
○○:(逃げたくない)
冴の手が、そっと○○の手を握る。
指が絡む。
離れないように。
そのまま——
二人は、同じ方向を向いた。
END
コメント
1件
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