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「ものに魂は宿るよ」
そう幼い時に伝えられた。
父さんから教えてもらった最期の言葉。18歳の僕は人形店を営んでいる。
こんなガラクタ店なんて継がなくても良かった。
だが、僕が空っぽになると思ったからだろうか寂しいからなのかもう分からない。
近所に住んでいたあの彼女が作ってくれたスープの味も、彼が僕だけに聞かせてくれたあの音楽も、絵画も何もかも味がしなくなった。
それでも何とか生きている。多分それは花屋を営んでいるあの人のおかげだろう。
シトリー・フラライ
同い年で最近越してきたそうだ。
「初めまして、ボクはシトリーよろしくお願いしますね。」
「僕はミラドール。よろしく」
歳が近いのも家が近いのもあって友達になれたことで 互いに営むお店に遊びにいったり、出かけることも増えた。
ある日、シトリーは僕が人形作るとこを見たいと言った。だが、僕は父さんみたいに等身で作る技術は持っておらず、小物だけだった。それでもシトリーは見たいと言ってくれた。だから 僕はシトリーに花を作ってあげた。
シトリーも僕に紫色のスミレをくれた。
そうして親友とも呼べる中になって僕たちが20歳をなる時、悲劇が起きた。
時代的に魂の救済と呼ばれる残酷なものがあった。それは同性愛者を排除するという考えで出来てしまった罰。
次々に人が殺されていくことを批判すれば僕は死ぬ。
「シトリー、死ぬなよ」
「ミラドールもね」
そう誓いを立てたのに、約束したのに!!
シトリーは処刑された。
罪状は同性愛。僕は人形店で咽び泣いた。
僕は初めてと言える親友を失ってしまった。
(僕は、僕はまた独りなんだ…!)
衰弱したまま何ヶ月もすぎ、冬になってしまった。
僕はシトリーに逢いたかった。
どうすることも出来ずに、ただ人形を作った。
それは独学でシトリーの等身人形を。父さんは会得するまで何年もかかった。だが、僕は無我夢中になり作った。僕は父さんが作るスピードより早く出来上がった。
「シトリー…シトリー!!!」
僕は人形のシトリーに抱きついた。
そこから僕は本物のシトリーだと思って接した。
「魂は宿る」ことを信じて。
だが、僕はいつの日にか五感を失いつつあった。まだ27歳で病にも侵されていないのに。
(シトリーが呼んでる)
そう思い、人形のシトリーの隣で自分の意志で僕の体から赤い絵の具を吹き出させた。僕は初めてもらったシトリーの花を横目に見て、その花言葉を思い出した。
「密かな愛……か」
僕はシトリーの想いを知るのが遅すぎてしまった。だから今から 本物のシトリーに会いに行って伝えるんだ。
「愛してる」
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