すれちがい

体育祭後の休みも終わり 、今日は学校 。

神戸）… 一番乗りか 。

少し家を早く出てしまったから 、教室には誰も居ない 。

せっかくなら掃除するか 。

花瓶の水を取り替え 、黒板を拭く 。

… 黒板はまあまあ綺麗だね 。

そして 、床の掃き掃除をする 。

そうしていれば 、

鳴瀬）ぁ 、… おはよう 。

神戸）ん 、おはよう 。

鳴瀬）… 何にこにこしてんの 。

神戸）ん ？ 今日1番最初のおはようの相手が結音なのが嬉しくて 。

鳴瀬）… 親におはようって言わなきゃ良かった …

神戸）それは毎日絶対言いなね ？

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昼休み

宇佐美）… 私思ったんだけど 。

神戸）何よ 。

宇佐美）みこみこはバレーの … レシーブ苦手なんでしょ ？

神戸）…… 認めたくないけどそうね 。

宇佐美）勝てる気がするわ 。このメンツなら 。

七海）… 無茶じゃない ??

佐原）流石にそれは …

中原）俺は勝てる気がするぞ ?!?!

鳴瀬）現実見なよ 。全国1位のサーバーだよ ？

神戸）… 5対1でやるの ??

宇佐美）ハンデ 。

神戸）… 負けるかも 。

宇佐美）ほらぁ ?!?!

中原）あるぞこれ ?!?!

佐原）… 痛い目見ないと分かんないタイプね 、この2人 …

七海）そうみたい …

鳴瀬）終わった …

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鳴瀬side

という事で始まりました 。

放課後に体育館を借りて行う5点マッチ 。

宇佐美）みこみこから始まったら秒で負けちゃうから私達からね 。

神戸）でも最近体訛ってるよ ？

中原）そういう問題じゃねえんだ 。

佐原）訛ってても … ね 、

七海）あはは 、

鳴瀬）ね …

そんなこんなでやっと始まります 。

サーブは俺らから 。

… 大丈夫かなぁ …

宇佐美）いきます !!!

神戸）来 ー い 。

何とかネットを越えたボール 。

取られるよこれ 。

神戸）っ しょ !!!

宇佐美）上げられちゃった ?!?!

彼女がボールを打とうと 、ジャンプした瞬間 。

無防備にも曝け出されるお腹 。

鳴瀬）は 、

その瞬間 、ドン と重い音が響く 。

中原）おい結音 !!! 今の取れただろ ?!?!

鳴瀬）ぇ … ぁ 、ああ … そんなこと言うなら位置変われよ 。

中原）上等 !!!

佐原）みこ ー 、中原に向けて打ってくださ ー い 。

神戸）ぁ 、いいの ?? わかった !!

無邪気に微笑む彼女 。

見ちゃだめ 。

分かってる 。

なのに 、目は彼女を追ってる 。

… 最低か 、俺 。

彼女がサーブを打とうとジャンプすれば 、またお腹が見えて 。

痩せすぎでは … なんて考える頃には 、ボールが重い音を響かせていた 。

中原）……… 俺 、帰りたくなってきた 。

佐原）だから言ったでしょ …

… 待って 、みこのお腹が俺以外に見られる可能性が … ？

それだけは避けなければ 。

鳴瀬）みこ 、ジャージ着て 。

神戸）ぇ 、今日持ってきてない 。

鳴瀬）じゃあ俺の着て 。

宇佐美）なになに ?!?! 唐突に恋の進展ありなんですけど ?!?!

七海）私には鳴瀬さんの気持ちわかるよ 。

鳴瀬）！

七海）…… ちょっと無防備だよね …

何て 、周りに聞こえないように声量を落として言われる 。

鳴瀬）ほんとだよ … 怖いわ …

七海）ちゃんと見ててあげてね 。

鳴瀬）ん 、ありがとう 。

その後は余裕でみこが5点取り 、俺らは負けました 。

知ってたけどね 。

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神戸side

電車に揺られて帰宅中 。

帰宅ラッシュには被ってないけど 、この時間は大体席は空いていない 。

だから 、皆で立って談笑中 。

皆と途中まで一緒に帰って 、最終的に結音と2人きり 。

結音は家からの最寄り駅が一緒だから 、最後まで一緒にいられてちょっと嬉しい 。

鳴瀬）… ね 、さっきさ 。

神戸）さっき ？

鳴瀬）… バレーの時 。

神戸）あ ー 、それがどうかした ？

鳴瀬）…… お腹 、見えてた 。

神戸）へ っ 、やだ ?! 最近太ったのに ?!

鳴瀬）気にするのそこ … ？

神戸）そこだよ 。

鳴瀬）俺が見た事は気にしてないの … ？

神戸）え ？ うん 。

鳴瀬）… あのさ 、俺男なんだけど 。

え 、

やだ 。

格好良い 。

彼がそう言った時 、電車の揺れが激しくなり 、思わずよろける 。

神戸）わ っ … ?!

鳴瀬）ちょ 、!!!

彼に腕と腰を引かれて 、倒れる事は免れた 。

免れた 、けど …

神戸）！

鳴瀬）！

目が合って 、

視線が絡まって 、

彼以外のものが見えなくなる 。

自分の鼓動が早くなるのを感じる 。

鳴瀬）っ … 、ぁ … ごめ 、?!

そう言って 、腕も腰も離される 。

神戸）ぁ 、ぅうん 、大丈夫 …

別に嫌じゃないのに 。

そんなことを言う勇気も出ず 、お互いに少し距離が出来る 。

かと思えば彼が傍に寄ってきて 、

鳴瀬）俺の制服の裾にでも捕まってて 。そしたらよろけても支えられるから 。

… でもやっぱり 、

これぐらいの距離感が良いかも 。

神戸）ん 。

鳴瀬）… あと 、

神戸）？

鳴瀬）さっきの話 … 俺だって男だから 。いつまでも子供だと思わないで 。

本当は 、怖がるべきなんだろうな 。

なのに私は 、

いつもよりずっと格好良い彼に 、どきどきしてしまっていて 。

鳴瀬）分かった ？

神戸）… ゎかった 、

鳴瀬）それと 、もう1個 。

神戸）？

鳴瀬）… 無防備なとこ見せんのは 、俺だけにして 。

… え 、

な 、どうしよう 。

ずっとどきどきしてる 。

私の為 … だよね ？

ぇ 、や 、なんか … だめだ 。

冷静で居られない 。

顔がどんどん熱くなる 。

神戸）…… 、 

鳴瀬）… そういう顔見せるのも 、俺だけ 。良い ？

神戸）はぃ 、

鳴瀬）ん 。分かればよろしい 。

最寄り駅に着く 。

電車のドアが開く 。

まだ私は 、彼の制服の裾を掴んだまま 。

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