テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
アーサーside
ピピピ。ピピピ。
スマホの目覚ましで目が覚める。画面の時刻は5時を示していた。
早起きしたのは、家に帰って学校の身支度を済ませるためだ。いつもより早い朝に気が抜ける。
弟達は耀の部屋で寝かせたため、昨日の夜はソファで寝ていた。そのせいで、かたくなった体に我慢しながら2人を起こしに行った。
「お前ら朝だぞ」
「………んー、…」
「……」
「……はぁ、今日は自分達の家じゃないんだぞ?」
俺より早い朝に耐性がない2人を起こすのは、相当粘った。10分間だらだらした2人をようやくの思いで起こし、家を出る準備を始める。
「あいつは6時には帰ってくるらしいから……朝飯は作らなくて大丈夫だな」
「マシュー、昨日のタッパーは全部持ったな?」
「持ったよ」
「アル、何も壊してないな?」
「壊してないぞ!」
「よし、帰るか」
帰りの書き置きをリビングに残し、耀から貰った合鍵で家の鍵を閉めた。
「あ、そういえば明日バレンタインだね。アル今日買い出し行こっか」
「! そうだね!」
肌寒く、太陽が少し出かかった薄暗い帰り道。なんだか青春っぽい会話をしている2人が気になった。……ん?待てよ……。アルのやつ、チョコを誰に……、
「……まさかお前、!」
「ふふん。アーサーも人のこと言えないね。遅れてるのは君の方なんじゃないかい?」
「ッ〜〜!」
本田の熱の事で、すっかりバレンタインのことを忘れていた。そんなん、その日アルは本田に告白するに決まってる。だけどアルは、嘘告上だが俺達が付き合ってるなんて知らない。
状況が最悪な立ち位置にあることを理解するのに、そう時間はかからなかった。
だが、その時と一緒に、昨日の事を思い出した。あんなに本気にアピールしといて、キスしといて……結局3月に別れるなんて。あんまりにも勿体なさすぎるし、俺達にとっても残酷すぎる。こんな失礼な立ち位置で菊と付き合い続けても、アルに合わせる顔がない。
もういいんじゃないか?スクールカーストとかそういうの。ただ俺は、菊と一緒に居たいだけなんだ。それに、アルは真剣に菊と向き合っているのに、俺はこんな失礼な立ち位置で菊と付き合い続けるだなんて。考えただけでも、自分に嫌気が差す。
考えた末、ある考えにたどり着いた。
俺も真剣に菊と向き合おうと。
「マシュー!俺にもチョコの作り方教えてくれ!」
「なっ!?抜け駆けかい!?パクリはNot gentlemanlyなんだぞ!」
「だ、だって…俺が作った料理出すと菊の体が…」
「じゃあ菊にそんな危ないモノ出さなきゃいいじゃないか」
「無理だよアル。アーサーはあんなのしか作れないんだから」
「あ、そうだったね。sorryアーサー」
「あんなのってなんだよ、あんなのって!」
「無理なら邪魔しないでくれよ」
「っ…」
静かな住宅地には兄弟喧嘩だけが響いた。
本田side
「……………んぅ……」
カーテンから差し込む陽の光で目を覚ました。目をつぶりながらカーテンを閉め、2度寝をしようとするが、寝付ける雰囲気ではなかったため諦めて目を開ける。
時計の方に目を向ければ、針は8時を差していた。ずいぶん遅い目覚めになってしまいましたね……。昨日のことを思い出し、重い体を起こしながらリビングへ向かった。
「! 菊!」
声のした方に体を向けると、お粥を持った耀さんがドアの前で立ちつくしていた。きっと私を起こしにいくとついでに、朝ご飯を持ってこようとしてくれたのだろう。
「おはようございます。耀さん」
「ん、おはよう菊。」
「体調はどうあるか?昨日はちゃんと10時までには寝たあるか?あの眉毛になんもされてねぇあるよな?ご飯はコンビニだったあるよな?あ、そういえば冷蔵庫の食材がめっちゃ消えてたある。なんかしらねぇあるか?」
「1回落ち着いてください耀さん…」
食卓で耀さんと向かい合いながら質問攻めをされた。こんなんじゃ美味しいお粥も冷めてしまう。手短に昨日の出来事を話し、食材が無くなったことは、マシューさんがご飯を作ってくれたからということにした。
「そうだったあるか……とりあえず菊が美味しいご飯食べたみたいで良かったある」
眉毛に頼ったのは屈辱だったあるが。そう付け足し、耀さんは不服そうな顔を浮かべた。
「もう、お世話してくださったんですから…」
「話聞く限り、マシュー?って奴が世話したみたいに聞こえるね」
「そんな事…………ありますね…」
お粥を食べ終わり、食器を片付けようと立ち上がるが、「病人は大人しくしとくよろし」と私に代わってお皿を下げてくれた。
「あ、そういや熱はどうあるか?」
「あぁ、まだ測ってませんでした」
「ん、さっきお前の部屋から持ってきていたある」
「いつの間に……ありがとうございます」
耀さんの用意周到さに驚きながら、彼から貰った体温計を脇に挟み、音が鳴るのを待つ。
ピピッと合図が布越しに聞こえた。
「36.7!平熱です耀さん!風邪治りました!」
「あいやーよかったあるな!」
ぴょんぴょんと跳ねながら喜んだのは何年振りだろう。こんなに動けるなら、風邪が治ったことに早く気付けばよかったですね。
「学校はどうするあるか?」
「あー、遅刻して行きます。もうすぐテストがあるので」
「ん、学校に連絡しとくある」
「ありがとうございます」
階段を上り、学校への身支度を始めた。
コメント
3件
ああああああああああああああああ!!!! こくれえええええええええええええええ結婚!結婚!! あああああああああああああああああああああああ
早くアーサーと菊が付き合ってほしいィィィィィ!!!!! アルはマシューと付き合うんだぞ!!(?)
アーサーもうちゃっと告ってくれェェェ😭 アルに怒られても知らないんだぞ!