【チョコレートホリック】
チョコレートホリックとは、チョコレートや甘いものが大好きな人 異常なほど好む人のことを指し、チョコレート依存症とも言われる
また1つ、茶色い塊を口に運ぶ君を眺めつつ
最近ずっと食ってんな…
なんて考えながら声をかける。
「葵、最近チョコレート ハマってんの?」
「えっ、なんで?」
「いや 毎日食べてる気するから」
「あーー…うん、ちょっと…ね」
曖昧な返事をする君に違和感を覚えつつも、大したことではないか。と気にしない事にする。
気にしない。とは言ったものの、やっぱり毎日会ってる幼なじみがチョコレートなんて甘いものをそう毎日毎日食べているのは健康的にも心配だし、何より時期が悪い。
今日は2月8日…バレンタインデーは14日だけど、俺たちの学校は毎年2月17か18辺りから期末テストがあるから、女子たちはテストが終わってからかテスト期間約1週間前のちょうどこの時期にバレンタインのチョコを渡す 2パターンに分かれている。
君はまた1欠片 口へと運ぶと、凄く幸せそうな顔をしている
確かに、面白いし優しいし運動もできて顔も可愛いからモテるのは納得がいく…けど、それに何故かモヤモヤしてしまう自分がいた
それがどういう理由なのか、その時はまだ理解していなかった
そろそろテスト勉強会もお開きにしようかと言う頃、唐突に呟いた言葉でさっきまではテストのことしか考えていなかった頭の中が一気にモヤモヤでいっぱいになる。
「あ、そういえばもうすぐバレンタインじゃん」
きっと君はなんとなくただ事実を口にしただけだろうけど、今の俺にとってその言葉はとてつもなく心をかき乱す言葉だった。
「ねぇ、桃也くんってもう貰った〜?」
来るだろうと思っていた質問になるべくこちらの動揺が伝わらないよう答える。
「まぁ……何個かは」
「!!!!……へぇ?ふぅーん…?」
何故かにやにやしながらこちらを見る君に
なに?急にニヤニヤして
となるべく気にしていないように装いつつ、覚悟を決める。
「僕さぁ……」
きっとこの後に来る言葉は……
「今年まだ1個も貰ってないんだよね…どうしよ…1個も貰えなかったら!!!」
そう嘆く君を唖然として見ていると、君は 桃也くんはモテるもんね〜…なんてぶつくさと呟いている。
お前もモテるだろ と内心ツッコミを入れつつ
「本命は貰ってないけどね」と付け加えると
「はぁっ?!なんで?!?!」
と目を見開きずいっとこちらに寄ってくる
「だって気持ち答えらんないし、変に期待させて傷つけるぐらいなら受け取らない方がいいでしょ」
「えぇ…?僕だったら絶対受け取るんだけどなぁ……って待って?桃也くん好きな人いんの?」
「えっ?なんで」
「だって答えらんないって…そーゆー事じゃないの…?え???」
そう言われて確かにと思った。自分でもなんで答えられないと思っているのかが分からない。
正直彼女が欲しくないのかって言われたら欲しい。けど、それで葵との時間が減ると思うといらないんじゃねぇかな…と思ってしまう
「え、なんで無視するの…なんか答えてよ」
そういう君の手にはチョコレートの袋が握られている。
((そう言えばさっきまだ貰ってないって言ってたからこれは……あれ?俺もしかして…))
「おーーーい?僕の声聞こえてる?」
そう言って顔をのぞきこんでくる君と目が合った瞬間、やっと気づいてしまった。
「好き……」
「えっ?」
思わず口にしてしまったその言葉を、少し熱を持った頬を君が”気づかなかった”ことにするわけがなく
「えっ?!だれだれだれだれ?!?!」
と、唐突に目を輝かせながら問いただしてくる
そんな君をどうしようか…なんて冷静に考えられる訳もなく
「うるせぇ…絶対教えてやんない」
と片腕で顔を隠しながら答えれば
「なんでだよ?!桃也くんのケチ…!」
そう言って不貞腐れながらまたチョコレートを1つとりだし、口に運ぼうとする君の腕を掴み少し屈んでそれを口に含むと え?は…?何こいつ… とでも言いたげな顔をしている君にそのまま口移しをする。
え……?と戸惑う君に、「ヒント」とだけ言って微笑む。
目の前にはさっきまでの調子を失い真っ赤になった君がいて、口の中にはまだ少しだけチョコレートの味がした
((甘………))
なんて思っていると急に力尽きたかのようにこちらに倒れかかってくる君を抱きとめると
「………僕……桃也…くんの事、 ずっと……好き…だった、……よ?」
そう弱々しく言った君の顔は見れなかったけど、耳まで真っ赤になって、手も震えていた所からそれが嘘ではないことを証明してくれる。
そんないつもとは違う様子の君を少しからかってやろうと思い
「チョコレートよりも?」
なんて意地悪な質問を問いかける。
すると君は、
「…最近チョコ食べてたの…は、今年こそ桃也くんにチョコあげたくて……でも なんて言い出せばわかんなくて…だからっ……えっと…チョコレートより全然桃也くんのほうが、…好き……デス………」
自分のモヤモヤの原因がまさか自分の事を想ってのことだった事に少し驚いて、それと同時に好きだと言う度に顔を赤くしたり 恥ずかしそうに上目遣いでこちらの様子を伺う君が愛おしくて
「俺もう義理も受けとんないわ。」
「えっ?なんで…?僕別に受け取るぐらいなら……」
そう言いつつも言葉を濁す君を 抱きしめながら頭を撫でる
「俺にとって、1番は葵だから…ね?」
と言うと、君は微かな声で
「もぅ……ほんとにズルすぎるでしょ…」
俺は君に聞こえるか聞こえないかぐらいの声で一言だけ囁く。
「愛してるよ、葵」
これはそんな、甘い記念日のお話…。
﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍
あとがき的なもの
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
Holicとは、簡単に言うと中毒の事を指し、このお話では初めチョコレートを毎日のように食べている葵くん=チョコレートホリック…に見せかけて、実はずっと桃也くんの事を考えていたので 言うならば “桃也くんホリック” の葵くんのお話を桃也くん視点で書かせていただきました…!
ハッピーバレンタインっ!!
コメント
9件
甘酸っぱ過ぎますね!!
ハッピーバレンタインです! 今回も良かったです!なかなか見れないのでもしかしたらまだ見てないやつもあるかもしれないんですがBLACKCATさんのお話まじで好きです!
やばいです、.ᐟ.ᐟ.ᐟ.ᐟ ほんとにすき… なんでそんなお話上手いんですか…? ちなみに僕もチョコホリックかも…?(