テラーノベル
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エレナ戦の当日。コロシアムの地下通路にある闇賭博の特設窓口で、俺は分厚い札束と換金手形を無造作に受付口へと放り投げた。「おい、これ全額。俺の単勝に賭けろ」
「は、はい……!? え、ええぇぇぇッ!?」
受付の魔族が、手元の金額と掲示板の数値を二度見、三度見して目を剥いた。
巨大な魔道映像格子(モニター)に踊るオッズは、相変わらずトチ狂っていた。
【第二試合】
エレナ・ボルト(単勝:1.4倍)
vs
クロード・ヴァルネ(単勝:180.0倍)
前戦でカミラを瞬殺し、350倍の単勝を叩き潰したというのに、この倍率だ。
観客や賭博師どもは「カミラ戦は罠の不意打ちが刺さっただけのラッキーパンチ」「超高速の【雷鳴魔法】を使うエレナ相手には、小細工の発動すら間に合わず一瞬で丸焼きになる」と踏んでいるらしい。
「き、貴様……正気か!? 初戦の払戻金とモンスターの素材代、全部だぞ!? 180倍だぞ!?」
「正気だから賭けてるんだよ。早く券を出せ、時間がもったいない」
呆然とする受付から無造作に賭け券をひったくり、ポケットに突っ込む。
180倍。上等じゃないか。ハンスから取り寄せたい最新の光学迷彩ギルドパーツと指向性地雷の最新型、それに人間界の特殊弾頭を爆買いするには、ちょうどいい資金になる。
「……相変わらず、頭のネジが数本飛んでいるようね」
冷気とともに、外套を纏ったセリスが壁の影から歩み寄ってきた。
腕を組み、冷たい瞳で俺を見つめているが……心なしか、視線が泳いでいる。昨日エレナに言われた「勘違い」の件が頭をよぎり、胸糞悪い気分になる。
「セリス、お前もまた俺が負ける方に全財産賭けたのか?」
「~っ! 賭けてないわよ! というか、私は賭け事なんて品のない真似はしないと言ったでしょう! それに……っ」
セリスは顔を少し朱に染め、ぷいっと横を向いた。
「昨日の……あの無礼な態度の謝罪もまだ聞いていないわ。私をダシにして資金調達なんて……本当にどこまで失礼なのよ、アンタは」
「謝罪も何も、お前が勝手に勘違いして赤くなってただけだろ」
「勘違いじゃないわよバカクロードッ!!」
ピキピキと足元が凍りつき、氷の針が跳ね上がる。
この女、相変わらず脳内変換が忙しいらしい。俺は盛大に欠伸を噛み殺しながら、セリスの横を通り過ぎてリングへの階段を登り始めた。
「まあ見てな。お前が熱心に研究してる『大雑把な大技』が、超高速の雷撃に手も足も出ない間……俺がどうやってあの雷をアースさせて沈めるか」
「……っ、調子に乗らないで! エレナの速度は、アンタの小細工が届く領域じゃないわよ!」
「速度、ねぇ」
階段の途中で足を止め、俺は懐の消音拳銃のグリップを静かに握り直した。
「どれだけ速く走ろうが、着地する場所(足元)は地球の重力から逃れられない。……さあ、180倍の回収時間だ」
地鳴りのような歓声と、「出来損ない」「引っ込め!」というブーイングが渦巻く超満員のコロシアムへ、俺は気怠げな足取りで足を踏み入れた。
n a ♡︎︎ *
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蒼月
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グリルタ
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コメント
1件
ああああ第18話読み終わったよおおお!!😭💕💕 180倍の単勝に全財産ブッコむクロードのクソ度胸、マジで痺れるわ…!「着地する場所は地球の重力から逃れられない」って台詞、カッコよすぎて声出た。 そしてセリスとの「勘違い」すれ違い、赤くなって凍らせるところ「勘違いじゃないわよバカクロードッ!!」が可愛すぎて笑ったw エレナ戦の地鳴り歓声とブーイングの臨場感、コロシアムの空気がビリビリ伝わってきたよ。次回、どうやって超高速の雷撃をアースさせるのか気になりすぎて今夜眠れない…!! キュルノさん、今日も最高のエピソードをありがとうございます!!🌸✨