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🩷視点
相変わらずの忙しい毎日。
最近は、M!LK佐野勇斗としての名が世間に広まり、5人みんなで仕事ができる機会も増えた。
みんなの今までの頑張りが実ったことが、
凄く嬉しい。
今も、各々疲れてるだろうに5人一緒の楽屋で馬鹿やって笑って、心から楽しそうにしている。
そんなみんなを見て幸せな気持ちになる。
だが最近おかしいのは仁人だ。
いつも通り、、いつも通りなんだけど、覇気がないというか。こいつは昔から悩んでいても他人には相談しないし、威勢よく見えるけどネガティブで繊細だ。俺の方が年上なんだし、それに恋人だ。 もっと頼ってくれてもいいのにな。
今も弁当片手にぼんやりしている。
箸も進んでいない。
「おーいじんとー。今日めちゃスローに食べるじゃん。腹でも痛いの?」
あくまで軽く。そう仁人に問いかける。
みんなの前で過度に心配すると嫌がるんだよな。
「いや、普通に考え事してただけ。」
「そう?ならいいけど。」
そう答え再び仁人の箸が動き出す。
弁当ひとつ食べ終えた頃には、満腹なのかお腹に手を当て苦しそうな顔をしていた。
こいつこんなに食細かったっけ。
本番の時間が近づいている。
スタッフさんから声をかけられ、各々準備を進めるが仁人の姿がない。
さっきトイレに行くって言ってたけど…もしかしてあれ以来帰ってきてないのか?結構時間が経っている気がする。
「なあ仁人しらね?トイレから戻ってきた?」
「いいや?戻って来てないね。」
「たしかに遅いな〜仁ちゃん。やっぱお腹痛かったんとちゃう?」
「俺ちょっと見てくる」
そう言って立ち上がると楽屋の扉が開いた。
仁人だ。
「仁ちゃん!トイレ長かったやん! もうみんな準備出来てんで。」 そう舜太が言うと
「ごめんごめん笑 珍しくトイレ混んでてさ。すぐに準備する。」と笑っている。
顔色が悪い。やっぱりお腹の調子が悪いんだろうか。
とりあえず戻ってきたことに安心する。
M!LKの番がきて、ステージに立つ。
観客席にいるみ!るきーずを見て思わず笑みがこぼれた。
本番は無事に終わり、みんなでステージ袖に戻る。
「佐野くん!M!LKイイじゃ〜ん!」
顔見知りのプロデューサーさんが俺に声をかけてきて立ち話をする。
話をする横目で、膝に手を付き立ち止まっている仁人が目に入る。
遠くから見てもわかる激しい息切れ。このまま倒れてしまうんじゃないかと、そんな風にも見えた。話を切り上げて仁人の元へ行こうとしたところで、柔太朗と太智が仁人に近付くのが見える。
あぁ、良かった。
笑って話しているのを見ると大丈夫そうだ。
いつも体力はないが、音楽番組のたったの1曲であんなに疲れている仁人は、初めて見た気がする。
無理をしているようにしか見えなくて、心配が募る。思えばふたりの時間も最近取れていない。
……仁人と話をしなきゃな。
楽屋に着くと、早々と準備を終えた仁人が
「おつかれ。お先」と楽屋から出ていく。
仁人に追いつくために急いで準備をし、
「わり!俺も先に帰るわ!おつかれ!」と 楽屋を後にする。
ギリギリのところで仁人と同じ車に乗りこみ、行先をマネージャーへ伝える。
仁人がなにかワーワー言っているが、大人しく着いてこいと言い、手を握ると静かになった。
メディアの前でもスキンシップの多い俺らだけど、やっぱりこうやって誰も見ていないところでの2人きりの触れ合いは特別だ。
ふと仁人を見ると、既にうつらうつらしていた。
相当疲れているんだな…。
「仁人?眠いの?」
そう声をかけると返事にならない返事が帰ってくる。
「着いたら起こしたげるから、それまで寝てな」と仁人を抱き寄せ、自身の肩にもたれかからせる。
いつもなら「人前ではやめろ」と押し返して来そうだが、特に抵抗もされず、寝息が聞こえ始めた。
恋人の寝顔を見て愛おしく思う反面、クマの浮いた青白い顔を見て、眉間にシワがよる。
家の駐車場へと到着する。
よく寝ている仁人を起こすのは忍びないが仕方がない。
静かに声をかけるが寝入ってしまっているのか中々目を覚まさない。
身体を揺すりながら何度も名を呼ぶとやっと反応を示す。
「……は、ゃと、、」
「仁人!ごめんな、よく寝てたから起こしたくなかったけど…。家着いたよ。起きられそう?」
「……おき、れる…」
仁人はそう言うが明らかに力が入っていない様子。案の定こちらに身体が傾いてくる。
「おっとあぶね!仁人?大丈夫か?」
「ぁ、っ……。
ご、めん…はやと。ちから、はいんない…」
虚ろな目と脱力した体。本当に眠気だけでこうなるのか疑問だった。
心配になりおでこを当てるが熱くはなく、むしろ冷たい方だ。
仁人を支えながら、自宅まで歩く。
エントランスに差しかかろうとかしたところで、賑やかな集団とすれ違う。
その瞬間今までのフラつきが嘘のように仁人は俺を突き放してひとりで歩き出す。
…こんな場所でも油断出来ないのが、俺らの仕事だ。私生活も誰かに見られているという意識は抜けない。
仁人ともっとくっついていたかったな〜、なんて、場違いな感想。
俺の部屋に着くと、つい漏れ出たような声で仁人が「ただいま…」と言う。
それがなんだか可愛くて、愛おしくてつい笑みがこぼれる。
「ふふっ。仁人、おかえり」
そう言うと仁人はぎゅっと目をつぶり、顔を俯かせる。
…これは、 泣くのを我慢してる顔だ。
もう俺しかいないから、存分に泣いていいのに。
そう思いながら仁人の手を引いてリビングへと連れていく。
「仁人、ソファ座って。一緒に話そう。」
そう言うと素直に座ってくれる。
仁人は今から何を言われるのか分からないという様子で、眉毛を八の字にして困ったような顔をしている。
「あのさじんt…「ご、ごめん!!」」
「え?」
俺からの話を遮るように仁人が謝罪をする。
こちとら何に謝られているのかサッパリ分からん。仁人は俺に怒られると思ったのか謝罪の言葉をひたすら繰り返す。
それは悲鳴のようだった。
こんなにも仁人が思い詰めていたなんて、、
気づいてやれなくて本当にごめん。
助けるのが遅くなって本当にごめん。
仁人の身体を強く抱きしめる。
「仁人、ごめんな。そんなに苦しんでたのに気づいてやれなくて。お前は頑張ってる。頑張ってるんだよ、仁人。」
「…は、なにいって…」
「最近のお前の様子がおかしいってことは、
俺含めみんな気付いてたんだ。でも俺らの前では平気そうに笑って話してる姿見て、仕事が忙しくなって疲れてるだけだろうなって思ってた。」
「でも今日久々に仁人の顔しっかり見て、
只事じゃないかもしれないって思って。
ごめんな、遅くなって。…仁人の気持ち教えてよ。俺ってそんなに頼りない?」
だんだんと、自分で言っておいて不安になってくる。
「ち、ちがう!相談するような事でもないって思って…だ、だから、だから」
分かりやすく目を泳がせ、狼狽える仁人。
またこいつは、自分を責めている。
仁人の頬を包みこむ。
俺がまず自分の素直な気持ちを仁人に伝えるんだ。
「仁人はさ、年長組として〜とかリーダーとして〜とか、弱音を吐いちゃダメだって色々考えてるかもしれないけど、俺には教えてよ。俺は仁人よりお兄ちゃんだし、恋人でもあるんだから。仁人の色んな気持ち見せてよ。」
するとみるみるうちに、大きな瞳から涙が溢れ出す。子どもみたいにわんわく泣くこいつを見て、
あぁ、泣かせてやれて良かった、とそう思った。
少し落ち着いた仁人は最近の自分の心情を話してくれた。そんな風に思っていたんだと、驚きもあった。
「仁人、今どんな気持ち?」
「え??」
「こうやってさ、解決に繋がらなかったとしても、話聞いて貰えるだけで気持ちスッキリしない?」
キョトンとした顔をしながらも
「スッキリ、した…。」と答える仁人。
「はは!だろ?俺ら仲間なんだからさ。
俺なんて仁人より仁人のこと知ってるんだからな!」
まあ、ちょっと虚勢張った。笑
でも、そうありたいと強く思う。
「ふふっ何それ。そんなわけないでしょ笑」
久々に心から笑う仁人を見て嬉しくなる。
やっぱりお前には笑顔が似合うよ。
すると、仁人が勇斗の身体に手を回し首元に顔を埋め 「勇斗、ありがと…。大好き」と言った。
……おもわずフリーズする。
仁人から『大好き』なんて言ってもらったことがあっただろうか。
そりゃもちろんいつも態度には出てるから、俺のことを好きでいてくれているのは分かっていた。
分かってはいたが、言葉の威力に圧倒され、
急に顔に熱が集まる。
かわいい、可愛すぎる。
そんな、仁人からの愛の言葉に動揺していると、今度は触れるだけのかわいいキスをされる。
「はぁ!?///
あー!もう!仁人!今日は早く寝かせてあげようと思ってたのに!煽ったのお前だからな?」
そう言って仁人をソファへ押し倒し、深い口付けをする。
もう理性なんて言葉はどこかに行った。
「んんっ…///んぁっ、、は、ぁ、んっ、、」
色っぽい仁人の声を聞いて、もっともっと求めたくなる。
「んっはぁ、じんと、かわいい、愛してる。」
「んんっ…んっ、、ふぁ、あ、は、やと…」
かわいい、だいすき、愛してる。
仁人、仁人、俺の、仁人。
仁人への思いが爆発する。
仁人がしがみついてくる。
もう何度もしている事なのに、いつまでたっても息継ぎが下手くそで。そんなところもかわいい。
そんな呑気なことを考えていると、仁人の様子がおかしい事に気がつく。
「っ…ぁ…は、」
苦しそうな息を漏らして、ぎゅっと目をつぶり何かを耐えている。
「じんと?」
「うっ…は、ぁ……ぁっ、、」
勇斗の身体に回っていた仁人の腕がスルリと落ち、ソファへ投げ出される。
「仁人?じんと!おい!どうした?じんと!!」
俺の必死な呼びかけは虚しく、仁人は完全に意識を手放した。