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どうも鯵です。今回は第2話ですね。それでは……
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(あーあ。世の中って理不尽。)
私の名前は皇竜也(すめらぎたつや)。高校1年生だ。突然だが私には好きな人がいる。それは隣の席の月見里葵(やまなしあおい)君だ。私はいわゆる同性愛者、ゲイである。見た目は完全に女子にしているのだが、名前がまあまあ男っぽいせいで名前で男バレすることが多い。まぁそれも男の娘の面白さのひとつだとは思っているし、父や母のことは嫌いじゃない。むしろこんな私を認め、それでも愛してると言ってくれた両親には感謝しかない。両親に連れられ、私のような人が集まるセミナー的なものにも行ったことがあるがなかには親から拒絶され、そのまま喧嘩別れのような形で縁を切ったという人もいて、やはり私は恵まれているのだと改めて感じた。話を戻そう。もう一度言うが、私は葵君が好きだ。私が彼に惚れたのは、小学校6年のときだ。
私の家族はいわゆる転勤族で、1ヶ月〜3ヶ月という短いスパンで北は山形、南は宮崎まで引っ越しを繰り返していた。そんな私の家族が葵君と同じ町に引っ越してきたのは12月の末頃、ちょうど冬休みが始まったタイミングだった。引っ越ししてから2週間ほどたって初めて学校に登校した。
「僕の名前は皇竜也です。よろしくお願いします。」
このとき私はまだ自分のことについてよくわかっていなかった。と言うよりも自覚していなかったという方が近い。かっこいいものよりも可愛いものが好き。ドラゴンよりもお姫様が好き。戦隊モノよりプリキュアが見たい。こんな感じだ。両親はこのときからなんとなく気づいていたそうだ。そのため家族で過ごす時は女性ものの服を着て、学校の時は男物の服を着ていた。
ク ラスには割とすぐ馴染めた。しかし予想外のことが起こる。転校した週の週末。私は母と買い物をしにデパートに出かけていた。私は女性ものの服を着ていた。そこをクラスメイトに見られてしまったのだ。まだ小学生だったこともあり悪気はなかっただろうが、それと同時にこういうことに理解もなくその日からイジメられるようになった。噂は予想以上に広まり、隣のクラスや他学年、保護者にも広まった。学校にクレームも来たらしい。そんななか彼だけは私に対して態度を変えることはなかった。とは言っても彼自身が何かをしてくれた訳でもない。いつも本を読んでいるだけ。話しかければいやいやなからに答えてはくれる。イジメが始まってもだ。最初は無愛想な奴だと思っていたが、それがなんだか心地よかった。彼のおかげで自分に自信が持てた。
結局その後は2週間程でまたすぐ引っ越すことになり、そこから彼とは離れ離れになった。お別れ自体はそこまででもなかったがなんだか胸の中にモヤっとした感情がわいた。そこでようやく私は自分のことを自覚したのだと思う。自分のことを気づかせてくれたこと、そしてどんな相手であっても同じ態度で接してくれるところ。私は彼に恋をした。
高校で一緒になったことに気づいたときはとても驚いた。しかしあまり嬉しくはなかった。諦められないからだ。 正直言うとこれは叶わぬ恋だと気づいていた。まず向こうに気が無いし、その上男同士だからだ。セミナーで話を聴くとやはり恋が成就したのはほんとごく一部の人だけで大半の人は諦めてしまったり、2次元に切り替えたりしているそうだ。そのためもう諦めようとしていた。それがまさか同じ学校になるとは……。しかも隣の席。意識するなと言われる方が無理。相変わらず休み時間もずっと勉強している彼を見るとこっちを向かせずにはいられない。いつもちょっかいかけてしまう。下ネタ混ぜるとドギマギして少し頬を赤らめる葵君。可愛いくて仕方がない。叶わぬ恋だとわかっているのに好きが止まらない。私が女の子だったら告白していただろう。
あーあ。世の中って理不尽。
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お疲れ様でした。今回は竜也君の視点でしたね。次は葵君視点に戻します。多分……。それでは