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あの人をショート動画で見つけてから、僕はその人の配信を見るようになった。あの人のショート動画もたくさん見た。あの人の事でわかったことは、彼女はアイドルオーディションに何十回も落ちているのに、まだ諦めきれないということと、彼女はVチューバーという文化を知った時に、とある有名なアイドルたちが主役のアニメと重ね、〝トランスアイドルVチューバー〟になったことだ。
そんな彼女に僕が惹かれるようになったのは、あの配信からだろう。あの人が相談を募集していて、それに答えていくというものだった。僕はもちろん、ずっと悩んでいた事を長文にして送った。その配信は確実に、そしていつもより、僕の心臓が脈を打っていて、近くに置いてあった小さなぬいぐるみは、僕の左手によっておかしな形になっていた。配信終了後、そのぬいぐるみと僕の心臓は元の状態に戻った。僕の送った長文はとても真面目な相談だったのもあってか、最後に読まれた。彼女の意見はこうだった。
「私がカミングアウトするようには言えないね。後悔しない方を自分で判断して選ぶしかない。」
それだけでなく、色々言ってくれた。僕は努力が苦手だとも書いたので、私も努力が苦手だと共感してくれて、カミングアウトするならこうした方が衝撃が軽いと、少しアドバイスもくれた。まあ、まだ親にカミングアウトはしていないのだが。
思えば、あの頃の僕は理解者を欲していたのだろう。怖かったのだ。自身を愛している筈の両親は自分の本質を知らない。それはとても恐ろしいことだ。僕はそこまでではなかったが、自分以外誰も、自分を知らない、知ってしまったが最後、人間関係などの変化によって、人生が大きく変わってしまうこともある。・・・不公平でしょう?生まれ持ったもののせいで、生きられる年月、自分を愛せるかどうかなど、そんな大事なことが変わってしまうなんて。
でもあの人は、僕とは明らかに違った。さすがアイドル、やはり明るいのだ。僕はあの人の笑顔が好きだ。