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「届かなかったか…」
そう言って苦笑した人影は、やけに寂しそうな声をしていた。
暗い部屋に青白く光るスクリーン。
そこにそっと合わせてある掌。
メガネを掛けた長い髪の毛のシルエット。
ほんのり匂うチョコレート。
「だいたい何でそんなメリット無いことするんですか?解んないんなら放っときゃいいじゃないですか。」
「自分に解けそうな問題だったからね。ちょっと役に立ちたかったんだよ。」
「お人好しですねぇ。」
「ありがとう。」
「褒めてるんじゃないですよ…。」
敬語だけれどどこか腹の立つ声は心配が見え隠れしていた。
ねぇ、そんな悲しそうな顔しないでよ。
時間が立ったらきっと見てくれるよ。
大丈夫、大丈夫。
喉を通らずに消化された『言葉』たちはどこへ行くんだろう。
そんな『問題』も、貴女なりの理論で溶けていくのだろうか。
適当に造られたそんな『仮説』は、検証不可能なんだろうな。
最初で最後の研究室は疑問符で満ち溢れていた。