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「ったく…抜け目ないんだから…」
そう言う巫女の顔は、焦り模様が出ていた。
このままだと盗られる__本心が見え見えだった。
それに勘付いていた魔法使いは、巫女に耳打ちする。
「アリスは…私のことが好きらしいんだ」
そんなのもう知ってるよと、静かな顔でいった。
その内、魔法使いがあ、という声を出す。
「いちゃいちゃを見せつけてやりゃあ諦めるんじゃないか?」
突拍子もない答えに転びそうになる。
だが、この案はアリスの心を破壊させるのには最適だと思い、実行することにした。
「なぁ…霊夢」
顔を赤らめ、巫女に問う。
「私のこと…好きか…?」
涙を浮かべ、更に顔を赤くする。
すると、巫女が口を開く。
「好き、…だよ?」
初々しい告白に少々戸惑う内もあったものの、これで諦めてくれるだろうと高を括っていた。
「…ッち、…」
舌打ちが聞こえ、振り返るとそこには
「なんなのよ…見せ付けてるの?」
歪んだ顔をしたアリスが立っていた。
すると、今度は勝ち誇ったかのような顔で
「ふふ、ええそうよ?」
「れ…ッ霊夢のこと傷付けたら許さねえぞ…!!」
それが決め手となったのか、人形使いは何かを唱えた後一気に無機質な顔へと変わっていく。
いくら魔法使いを手に入れたいとしても、人形に魂を売るのは想定外だった。
「うふ、ふふふふふ、ッ」
その声は、最早人形使いのものではなく
狂った人形師の成れ果てのようだった。
魔法使いが叫ぶ。
「アリスッ…!!戻れよ!!」
だが、今更問いかけても無駄なことだった。
そして最期に一言、”アリス”は言う。
「あり、ッ…?!」
そう言うと、目にも止まらぬ速さで空へ登っていく。
それを追いかける魔法使いと巫女。
到底追いつける速さでもないのに、必死に追いかけていく。
二人の声が重なる。
人形使いは動きを止め、こう問う。
なんで、なんで…そううわ言のように呟く彼女の瞳には、もう魂は宿っていない。
「アリス…」
近付いていく魔法使い。
触れようとしたとき___
次の瞬間、魔法使いと人形使いは跡形もなく消え去っていた。
たった一人の巫女を残して。