テラーノベル

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

ランキング

コンテスト

出版・メディアミックス作品

最下層と最上層

一覧ページ

「最下層と最上層」のメインビジュアル

最下層と最上層

第18話 - 第18話支配

49

2025年12月10日

#創作BL

#BL

#オリジナル

#一次創作

#AI小説

#AI画像

機能停止

シェアする

この作品はいかがでしたか？

49

機能停止

プロフィール

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール

テラーノベルのスクリーンショット

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

ホーム

検索

通知

本棚

藤井渚の「水上くんは、私のものだ」という言葉と、伊織の「渚と、付き合うことにした」という裏切りの言葉は、藤堂蓮の理性を完全に破壊した。「許さない……絶対に許さないぞ、転校生」

藤堂の目は血走り、憎悪と裏切られた痛みで満ちていた。彼はコートを脱ぎ捨て、藤井渚に向かって一歩踏み出した。その足取りは、獲物を狩る獣のように、静かで、しかし確かな殺意を帯びていた。

「来るな！」

藤井は一瞬、身構えたが、伊織を守るように動くことは止めなかった。彼女は伊織の前に立ち、藤堂を迎え撃つ姿勢を取った。

「伊織くんは、もう君の鎖から解放された。これ以上、彼を苦しめるな！」

藤井が叫んだ瞬間、藤堂は藤井の胸倉を掴み、その華奢な体を背後の並木に強く叩きつけた。

「苦しめたのは、お前だ！」

藤堂の激しい怒りの爆発に、藤井は息を詰まらせた。藤堂は藤井の襟元を強く握りしめ、顔をギリギリまで近づけた。その目は、恐怖さえ覚えるほどの憎しみに満ちている。

「俺の可愛い伊織を、誘惑しやがって！お前のような、伊織の繊細さも知らない奴が、伊織の隣に立っていいと思っているのか！」

藤堂の力は尋常ではなく、藤井は抵抗することもできず、強く壁に押し付けられたまま喘いだ。

「がっ…藤堂くんの……勝手な……独占欲だ……」

藤井は苦しい息の中で、抗議の言葉を絞り出す。

その凄まじい光景に、伊織は恐怖で体が動かなかった。しかし、藤井が自分を守ろうとしている姿を見て、伊織の脳裏に、あの女装の夜、藤堂が自分を支配した時の熱い記憶が蘇った。そして、その独占欲が、今、藤井という別の誰かに向けられている。

「や、やめてよ、蓮！」

伊織は叫び、震える足で藤堂に駆け寄った。

「もうやめて！渚を離して！」

伊織は藤堂の腕を必死に引っ張った。藤堂は、愛しい伊織の声に一瞬我に返ったように、掴んでいた手を緩めた。

藤井は咳き込みながら、壁から崩れ落ちた。伊織はすぐに藤井の元へ駆け寄り、その体を支えた。

「渚、大丈夫？ごめん、僕のせいで……」

伊織が藤井を抱きかかえる姿を見て、藤堂の怒りは再び燃え上がった。

「伊織！なんで、俺を裏切った挙句、そいつを庇うんだ！」

藤堂は叫び、伊織に向かって手を伸ばしたが、伊織は藤井を抱きしめたまま、藤堂を拒絶するように視線を向けた。

「僕は……もう、蓮の支配から自由になりたいんだ……」

伊織のその言葉は、藤堂にとって決定的な一撃となった。藤堂は、そのまま地面に崩れ落ちそうになりながら、憎しみを込めた視線を藤井に向けた。

「いいだろう。覚えておけ、転校生。お前が伊織を奪った代償は、必ず払わせる。伊織は、必ず俺の元に戻る」

藤堂はそう言い残すと、変装用のコートを拾い上げることさえせず、激しい怒りと共に、並木道から姿を消した。

静寂が戻った並木道で、伊織は震える藤井を抱きしめながら、藤堂の愛を拒絶したことによる、激しい痛みと、新しい道を選んだことによる、かすかな希望を感じていた。