〜ハピエンバージョン
※原作と少し変えてるところあります
※ネタバレ含む
途中から書いているので分かりにくいかも、ごめんなさい🙏
(侑…無理してるだろ)
角名は、治と侑の関係がこのままではいけないと悟っていた。
「治、話があるんだけど」
部活帰り、角名は治を呼び止めた。治は少し驚いたように角名を見つめる。
「なんや、珍しいな」
「珍しくないでしょ。…侑のことだよ」
治は、一瞬で顔をこわばらせた。
「…なんも、ない」
「嘘つかないでよ。気づいてるんでしょ、侑の様子が変なこと」
角名のまっすぐな視線に、治は言葉を失う。
「侑さ、治に避けられて相当参ってる。俺、見たんだけど…、手首に傷…、、があった」
治の心臓が、大きく跳ねる。
「…嘘やろ…」
「嘘じゃない。それに、今日の朝、練習前に吐いてた。治には見られたくなかったみたいだけど」
治は、その場で立ち尽くした。自分が何気なく行っていた行動が、侑をそこまで追い詰めていたなんて。
「俺は…どうすれば…」
治の声は震えていた。
「話すしかないでしょ。二人でちゃんと。このままだと、治も侑も、いつか壊れる」
角名の言葉が、治の胸に深く突き刺さる。
治は、その日の夜、侑の部屋のドアを叩いた。
侑は、薬を飲み、意識が朦朧としていた。その時、ドアを叩く音が聞こえる。
「ツム、開けてくれ」
治の声だ。侑は、戸惑いながらも、ふらつく足でドアを開ける。
「サム…なんで…」
治は、侑の顔を見て、息をのんだ。顔色は真っ青で、目の下には濃い隈ができていた。
「ツム、お前…」
治は、侑の手首を掴む。そこには、真新しい傷跡が、いくつも刻まれていた。
「なんで…っ…」
治の瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
「サムに…嫌われるくらいなら、死んだ方がマシや…」
侑は、震える声で言った。その一言が、治の心を、完全に打ち砕いた。
「俺は…っ…お前のこと、嫌いなんかやない…わっ…!」
治は、侑を抱きしめる。侑の体は、冷たく、震えていた。
「嘘や…っ…嘘つき…っ…!」
侑は、治の胸を叩きながら、泣き叫ぶ。
「嘘ちゃう…っ…、、俺は…っ…お前のこと、好きや…っ…!」
その言葉が、侑の耳に届いた瞬間、侑の体から、力が抜けた。
「…サム…?」
「だから…っ…もう、自分を傷つけるの、やめぇや…っ…!」
治は、声を上げて泣いた。侑は、治の背中に、そっと手を回す。
「ごめんな…っ…サム…っ…」
二人は、お互いを抱きしめ、ただ、泣き続けた。
翌朝、侑は、治の部屋のベッドで目を覚ました。隣には、治が眠っていた。治の腕が、侑の腰に回されていた。
(…夢、ちゃうんや…)
侑は、そっと治の頭を撫でる。治は、うっすらと目を開け、侑を見つめる。
「ツム…もう…一人で悩まんでな」
治の声は、優しく、温かかった。
「…うん…」
侑は、治の胸に顔をうずめる。治の匂い、温かさ…そのすべてが、侑の心を、ゆっくりと満たしていく。
「…俺も…ごめんな…ツムを、避けたりして…怖かってん…」
治は、正直に話してくれた。侑は、治の告白に、ただ、頷くことしかできなかった。
その日から、二人の関係は、ゆっくりと変わっていった。治は、もう侑を避けることはなかった。侑も、自分を傷つけることはなくなった。
角名は、二人の様子を、少し離れた場所から、静かに見守っていた。
(よかった…)
彼の表情は、相変わらず変わらない。だが、その瞳の奥には、安堵の光が宿っていた。
二人は、高校を卒業し、同じ大学に進学した。バレー部には入らなかった。二人で、ゆっくりと、新しい人生を歩んでいくことを選んだ。
侑は、治の隣で、穏やかに笑うようになった。治もまた、侑の隣で、素直に笑うようになった。
ある日の午後、二人は、公園のベンチに座っていた。
「ツム、俺、料理の道に進むことにした」
治が、まっすぐな瞳で侑を見つめる。
「ええんちゃう?お前、料理、上手いし」
侑は、治の決断を、心から喜んだ。
「ツムは?何するん?」
「俺は…サムの作る料理、一生食べ続けるわ」
侑は、いたずらっぽく笑う。治は、そんな侑の頭を、優しく撫でた。
「アホか。…でも、まあ…ええか」
治は、侑の手を握る。二人の手は、しっかりと繋がれていた。
その手は、もう、二度と離れることはないだろう。
数年後。
治は、自分の店を持った。小さな、温かい店だった。店の中には、侑が書いたサインを飾っていた。
侑は、試合がオフの時は必ずやって来て、治の料理を食べ、治と話す。
「サム、今日の料理も最高やな」
侑は、満面の笑みで言った。治は、そんな侑を見て、幸せそうに微笑む。
「お前が、そう言ってくれるから、嬉しいわ」
二人は、店のカウンターで、寄り添うように座っていた。
侑の手首には、もう傷跡はなかった。治の心にも、もう迷いはなかった。
「なぁ、サム…俺、お前のこと、好き…、」
侑は、治の耳元で囁いた。治は、照れたように、そっと侑の唇にキスをする。
「知っとるわ…あほ」
終
部活とか忙しくてなかなか投稿できなかった、遅くなってごめんなさい🙇♀️💦
あと原作と違うとこは治は、「バレーするの辞める」と言い侑と喧嘩になるんですけど、このお話では侑は治の夢を尊重してるとこです!分かりにくくてごめんなさい、!
これから投稿頻度遅くなるかも
コメント
16件
初コメ失礼します🙌 主さんの作品一気見してきました!笑 ちょうど治と侑のストーリーが読みたくて、探していたら主さんの神作に出会えました✨️ バドエンもハピエンもどっちも書くの上手すぎて尊敬してます🥹💕 終わり方もすごい上手だし読んでてすごい楽しかったです✨️ 次の投稿も楽しみに待ってます!!
ハピエンも最高過ぎ😍😍Milleほんとに書くの上手すぎ💕︎︎最後まですっごく楽しめた‼️投稿も無理せずに、自分のペースでいいからね😉次の投稿も楽しみにしてる!🫶🫶
ハピエンやぁ…🥹🥹 ハピエンもめっちや好きすぎる!💕相変わらず書くの上手すぎるからほんま読むの楽しい✨ 大人になってもちゃんと隣にいるっていうのまじ良すぎる〜🥺✨ 部活大変そう…僕はほとんど日数の少ない部活やけど普通に勉強がやばいんよね笑