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「…っふぅ。マジ、やばいなぁ…」
昨日、鬼神に毒を盛られてから、腹の下の方がゾクゾクする。すごいもどかしい。
正直言ってもう限界に近い。
大丈夫。まだ耐えれる。彩月や樹月は耐えてきたんだ。
だから、俺も…
そう思っていた数時間前の自分をぶん殴りたい。
あの後クソ体調不良になって聖に「今日は絶対安静!動いたら56す!」と言われてしまい動けない。ってか刑事が言う言葉じゃないよなあ…。
コンコン
ノック音がして身体を起こす。
「はい?」
「仁?ちょっといいか?」
樹月か。
「いいよ。どーした?」
「事情聴取、するんだろう。だから、答えに来た。」
「ありがとう。じゃあ、聞くね。
樹月、君は、なんで逃げなかったの?」
「…逃げたら聖と仁を殺すと言われて、逃げようにも逃げれなかった。」
「オッケー、次。鬼神や此処にいる人たちに何された?」
「…みた方が早いだろ」
そう言うが早いが着物の上半身を脱いだ。
「…なっ…」
見れば普通に生活していればつかないような鬱血痕や、歯型、爪痕。
そして、左肩から背中にかけてのテッセンの花の刺青。
「テッセンの花言葉は“甘い束縛、縛りつける”。結局、逃げても捕まるのがオチだ。」
「いつ、刺青を?」
「分からない。五年前に彩月に言われて気づいた。彩月にも右肩から背中にかけて入ってる。」
「じゃあ、その鬱血痕や歯型、爪痕も?」
「嗚呼。彩月も犯されてるから、同じようなもんだと思う。それが日常だから。」
酷いな、これは…それが日常って…。おかしいよ。
「彩月?ちょっといいか?」
「うん。」
僕は彩月を空き部屋に呼び出した。
「取り調べですか?刑事さん?w」
「笑うなよw。」
「変な感じじゃない。心友に取り調べされるってさ。」
「まあいいや、納得いかないけど。早速聞くよ。」
「うん。」
「じゃあ、ここに来て何された?」
「まず、眠らせて、起きたら“契り”を結ばされた。そこで気絶して起きたら着替えさせられて暗殺術を叩き込まれた。そのあとは何かミスったら“折檻”と称して犯される。そんな日常だな。」
ひっでえなあ。
「じゃああの“遊郭”じみたところにも顔出してるってこと?」
「まあそんなとこだな。」
「“子供が産めない体質”。元々そうだった訳じゃないだろ。お前、普通に月経来てただろ?」
そう問うと、彩月は着物の下部分を解いた。
「ちょ//お前なんで脱いで…」
「この傷の所為よ。私が妊娠できないのは。」
見れば傷跡がある。彩月は着物を着てからこう語った。
「……斬られたの。麻酔はない。刀でザックリ逝かれた。私は一か月、起きられなかった。その日から、私に月経が来ることはなかった。なんせ、子宮を切られたんだ。女性ホルモンは出ない。だから、もう、子を成すことはない。」
斬られたって…
相当痛かったんじゃないのか?辛かったんじゃないのか?
「なあ、彩月。…たまには泣けよ。いっぱい、泣いてもいいんじゃないかな。」
「私が泣いたらみんな不安がるでしょ?それに…樹月も泣いてないし…」
こう言う時の彩月って絶対譲らないんだよなあ。なら…
「彩月、泣くことは弱さじゃない。君の強さは忍耐強いことだ。でも、それは弱さの裏返し。たまには泣いたってバチは当たらんよ。」
「お前に…言われたくなかったなあ…」
彩月は泣き崩れた。子供みたいに声を上げて泣いてた。
此処に来たのは中学生。まだ子供だ。きっと、辛いことがありすぎて、感情が稀薄になっていたんだろう。やっと、自分を曝け出すことができたんだね。
泣き止んでから彩月は僕にこう言った。
「…聖、仁はかなり自分を責めて塞ぎ込んでる。だから、助けてあげて。」
「…うん…でも、どうしたらいいかな…」
「君ができることを最大限やればいい。」
僕ができること…あ!あれだ…いや、でもめっちゃ恥ずいなあ//
「彩月…お前分かってて言ったな…!」
「www」
「あ〜わかんねぇ!」
とにかく、謎が多過ぎた。何より、自分が何も出来なかった事が辛く、悔しかった。
だったらせめて、彩月と樹月を助けてやりたい。だから、検挙する為の情報を集めなければ。
コンコン
「入るよ〜!」
聖が部屋の扉を開ける。
なんで此奴こんな元気なん?
「何?」
「ねえ、休めって言ったよね?(圧」
おお、怖w。
*「いや、ごめん。怖がらせたい訳じゃないんだ。ただ、自分を責めないでほしいだけで。」*
なんでわかったんだ。俺はだいぶ隠していたつもりだった。
「…んでわかったんだ?いつも何か出来る聖にはわからないだろ?俺の思いなんか…」
「んな事言わないで!僕は仁に支えられてきた。仁がいなきゃ僕は死んでた。だからそんな事言わないでよ…仁は優しい人だ。痛みが分かるから自分を責めるんだろう。でも、僕は君が自分を責めてほしい訳じゃなくて、笑ってほしいだけで、元気でいてほしい。だから…」
*「自分を大切にしてよ、仁。」*
そう言って俺を抱きしめた。
なんで、こんな泣かせる事するのか…でも、安心するなぁ。
俺は声を殺して泣いた。