由香理におしえてもらったネイルのお店に行った。値段表を見る。どんな飾り(?)を付けるかでだいぶ値段に差があるようだった。
 「あの、そんなに派手じゃなくて…そうだ、薬指にだけ小さなビーズをお願いします」
 マニキュアよりもしっかりしてるから、仕事にも支障はないと由香理が言っていた。1時間ほどで仕上がり、8000円だった。
 ___パート代だと6時間分か
 それでも、高いとは思わなかった。翔馬に会った時に綺麗だと言われたい、それだけが今の目標だ。
 帰り着いて食事の支度をしていた。
 ぴこん🎶
 《ミハル、何してる?》
 〈まだ仕事中です〉
 フルタイムの会社員だから、今の時間はまだ会社のはずだから嘘をつく。
 《あと2日で会えるね。楽しみでたまらないんだよ、またミハルに会えると思うと》
 ___え?なに?
 それまで、翔馬がそんなふうに言うことはなかった。どちらかというと、私が一方的に好きだの愛してるだの告げて、それに対する返事はほとんどなかった。
 〈なんだか、珍しいですね〉
 《そう?だって、俺、愛しちゃってるもん、ミハルのこと。知らなかった?》
 〈だって、そんなこと言ってくれないし〉
 《言わなきゃわからないのかなぁ?鈍感だよね、ミハルは。俺の気持ちを独り占めしてるくせにさ》
 胸の奥がキュンとなる。こんなセリフが翔馬から返ってくるなんて思いもしなかった。
 〈ホントに?私が翔馬さんの気持ちを独り占めしてるんですか?〉
 《そうだよ。こう見えても俺はまぁまぁモテるんだけどね、今はミハルしか見えてないよ。早く会いたい、会って強く何回も抱きたい。ねぇ、ミハルは?》
 〈私も。私も早く会いたいです。そして抱かれたいです〉
 慣れとはこういうものだ。LINEでこんなやり取りをするのも、平気になっていた。翔馬と出会う前の私なら考えられなかったのに。
 《どんなふうにして欲しい?言って》
 このスマホの向こうに、あの翔馬がいる。どんな顔をしてこんなコメントを送ってくるのだろう。
 〈いろんなこと忘れるくらい、翔馬さんのことしか考えられなくなるくらい、激しく抱かれたいです〉
 《わかった。ミハルの気がすむまでイカせてあげるよ。楽しみにしておいて。もう勘弁してって言うくらい、攻めてあげるから》
 じっとりと、私の秘部が濡れてくるのがわかる。こんなやり取りだけで、私は感じている。
 〈楽しみです。早く会いたい〉
 《俺も。愛してるよ、ミハル》
 〈愛してる、翔馬〉
 
 いつの頃からか、翔馬から《翔馬と呼んでほしい》と言われて呼びすてにしているけど、まだ慣れない。
 ぴろろろろろろろ🎶
 不意に電話が鳴って、スマホを落としそうになった。翔馬からだった。
 「どうしたの?びっくりした」
 『声が聞きたくてたまらなくなった。ね、声に出して言って、愛してるって』
 「それは…」
 『小さな声でいいから』
 誰もいないとわかっていても、家の中を見回す。間違いなく私1人だ。
 「愛してる…」
 『俺も、愛してるよ、ミハル』
 ガチャリとドアが開く音がした。
 「あ、じゃあ、そういうことですね、わかりました。明日の仕事はその手順でやっておきます」
 『誰かいるんだね、じゃ、きるよ』
 「ただいまぁ!お母さん、お腹空いた
晩ご飯なに?」
 「カツ丼だよ、もう食べる?」
 顔は火照ったままで、それを陽菜に悟られないように顔は見ないで答えた。
 
 
 
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