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大丈夫ですか、? つづき楽しみです、!
(川西side)
(瀬見)
「…なぁ、川西、本当に大丈夫…?」
(川西)
「大丈夫ですよ別に。バレたらバレたで言い訳とか考えればいいし」
俺達は朝練に遅刻して、監督から校庭100周という過酷なペナルティをやるように告げられ校庭へ移動した。
でも流石に100周はキツイからサボることにする。
校庭の近くにあるベンチに2人で腰掛ける。
瀬見さんは監督が来ないか心配なのか辺りをずっとキョロキョロしていた。
(瀬見)
「こんなのバレたら絶対やばいって…」
「やっぱやらない…?校庭100周…」
(川西)
「100周も走る元気あります?」
(瀬見)
「……あるわけない…」
(川西)
「でしょ?ならサボりましょうよ」
「たまには休息するのも大事だし」
(瀬見)
「そうだけど…なんか、罪悪感やばい」
(川西)
「ね。仮病で学校サボってゲームしてる時みたいな罪悪感」
(瀬見)
「そうそう」
「てかお前学校サボったことあんの?」
(川西)
「ありますよ。両手じゃ足りないほど」
(瀬見)
「めっちゃサボってるじゃん(笑)」
(川西)
「だって学校だるいじゃないですか」
(瀬見)
「それはめっちゃわかる」
(川西)
「……瀬見さんはえらいですよ」
(瀬見)
「何が?」
(川西)
「だって、毎日辛い思いしてんのにちゃんと学校行ってるじゃないですか」
「俺だったらいじめられるのが怖くて行けませんよ」
(瀬見)
「だって、学校に行くのは当たり前だろ」
(川西)
「そりゃそうですけど」
(瀬見)
「……あ、そうだ!なぁ川西」
(川西)
「何ですか?」
(瀬見)
「昼休みさ、物理のレポート書くの手伝ってくんない?」
(川西)
「…それ、普通下級生に聞きます?」
(瀬見)
「だって川西ずっと暇だろ?」
(川西)
「ずっと暇です」
(瀬見)
「なら暇つぶし程度に教えて!」
(川西)
「まぁ別にいいですよ」
(瀬見)
「よっしゃ!」
ありがと川西、と笑顔で言われる。
───その笑顔は太陽と同じくらい、目が眩むほど明るくて眩しかった。
「天高く馬肥ゆる秋」
朝方の太陽がきらきら輝いて光り、校庭の傍にある金木犀の木の甘い香りがあちこちに漂っている。
俺はその匂いに耐え切れず盛大なくしゃみをかました。
(川西)
「へ………へっくしゅん!!」
(瀬見)
「うわ汚i……じゃなくて大丈夫か?」
(川西)
「今汚いって言いかけましたよね?」
(瀬見)
「なんのこと?( ◜▿◝ )スットボケ」
「てかそれよりお前花粉症?」
(川西)
「はい…最近花粉症デビューしちゃったかもしれないです…」
(瀬見)
「まじか。どんまい」
「確かにあそこの木の匂い結構キツイもんな、いい香りはするけど」
(川西)
「花粉症にとってあの木は敵です」
(瀬見)
「あれって金木犀って言うんだっけ?金木犀って花粉の原因になんの?」
(川西)
「そうですね。実際俺がなったんで」
(瀬見)
「へぇ…金木犀かぁ……」
「………」
「もう、10月なんだな」
(川西)
「…?何ですか急に…」
(瀬見)
「あと5ヶ月で俺達卒業だよ」
「なんか…実感なくない?(笑)」
(川西)
「そうですね、たしかに」
「時間が流れるのはあっという間ですね」
(瀬見)
「うん」
(川西)
「瀬見さんは進路とかもう決まってるんですか」
(瀬見)
「俺は県内の大学行くつもり」
(川西)
「そうなんですね」
(瀬見)
「………うん…」
そう言うと瀬見さんは眉を顰めて困ったような顔をした。
(瀬見)
「俺卒業したくない…」
独り言のようにぽつりと呟く。
(瀬見)
「川西、俺、卒業したくないっ…」
「だって、っ卒業しちゃったら、皆と離れ離れになっちゃうし、…っ、」
「もし大学でいじめられたりしても、川西や他の仲間みたいに助けてくれる人なんていない、っ……」
「それに…」
「………まだ、皆とバレーがしたい」
俺を見上げる顔は今にも泣きそうな表情だ。
だが、その顔は力強い表情でもあった。
「どうしても皆とバレーがしたい」
「まだ皆と一緒にいたい」
そんな願いがこちら側にも充分伝わってくる顔だった。
(川西)
「瀬見さん」
声をかけると、瀬見さんの肩が驚くように大きく跳ねた。
(川西)
「全国、行きましょう」
(瀬見)
「………ぜん、こく?」
(川西)
「春高予選、絶対勝って全国行きましょう」
「そうすれば、皆とバレーができる時間も長くなるから」
(瀬見)
「………!!そっか!」
「春高予選、相手に勝てば全国行けるしもっとバレーができる…」
(川西)
「ね、だから勝てるように練習しましょう」
(瀬見)
「うん!」
「なぁもう体育館戻ろうぜ!」
(川西)
「え、もう戻るんですか…」
「もう少しサボりません…?」
(瀬見)
「だって練習したいんだもん!」
(川西)
「えぇ…」
まだ暫く瀬見さんと2人でいたかったけど、まぁいっか、と思いながらそのまま瀬見さんに引っ張られて体育館に戻った。
(川西)
「白布ー今何やってんの」
(白布)
「休憩中だけど。お前こそ何やってたの」
(川西)
「サボってた」
(白布)
「…はぁ?」
(川西)
「瀬見さんとサボってた」
(白布)
「瀬見さんといたのかよ…」
「あの人部活に来てなかったからまた何かあったのかと思って学校中探したのに」
(川西)
「あーどんまい」
(白布)
「どんまいじゃねぇ謝罪しろ(蹴)」
(川西)
「痛っ、ごめんって」
(白布)
「、………」
「お前さ、何で最近瀬見さんとずっと一緒にいんの」
(川西)
「何で…って、別に…特に理由はないけど」
(白布)
「…お前、瀬見さんのこと好きだろ」
(川西)
「えっ」
図星を突かれた。
そんなに分かりやすかっただろうか。
(川西)
「えっと…どうしてご存知で…?」
(白布)
「お前分かりやすすぎなんだよ」
「部活中ずーっと瀬見さん見てるし」
(川西)
「………まじか…」
気付かなかった。
どうやらいつも無意識に瀬見さんを目で追っていたらしい。
(川西)
「このこと他の奴に言うなよ…」
(白布)
「言わねーよ」
「ちなみに瀬見さんのどこが好きなの」
(川西)
「バレーに熱心なところとか、自分が傷付いてしまっても周りに気を遣うところとか」
(川西)
「そんなとこを見て、好きになった」
(白布)
「へぇ…」
遠くにいる瀬見さんに目を向ける。
1人で懸命にサーブの練習をしていた。
あの人は例えいじめられていても怯んだり、部活やバレーを怠ったりすることなく積極的に仲間と接している。
瀬見さんが羨ましい。
あんな能力、俺にはないから。
でも瀬見さんだって辛い筈だ。
自分がいじめられて辛い思いをしない人は多分この世にいない。
瀬見さんも、平気なフリして本当は死にたいくらいに辛くて苦しい思いをしているんだと思う。
そういう面では俺も少し心配になってしまう。
だからせめて瀬見さんが少しでも楽になるために、傍で見守っている。
見守っている内に、段々恋心が膨らんでいって、余計好きになってしまった。
─もう、この瀬見さんへの想いが冷めることはない。
(川西)
「てかお前いつから気付いてたの」
(白布)
「え、結構前から」
(川西)
「まじか…絶対バレてないと思ってたのに」
「このこと瀬見さんに言ったらガチでコロスから」
(白布)
「えー、どーしよっかなぁ」
(川西)
「おい💢」
(白布)
「……………あ、」
(川西)
「…?なに」
(白布)
「後ろ」
(川西)
「は…?後ろ…?」
(天童)
「いいこと聞いちゃった〜♪」
(川西)
「げっ…!?あんたいつから…!!?」
(天童)
「賢二郎が”ちなみに瀬見さんのどこが好きなの”って言ったあたりから♡」
(白布)
「あーあ、こりゃ皆に言いふらすぞ」
(天童)
「皆に知らせてこよーっと!♪」
(川西)
「ちょっと待って天童さんまじでやめてお願いしますチョコアイス奢るから!!!!!!!!!!」
(白布)
「(何やってんだか…)」
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