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𝓗𝓪𝓶𝓾
809
#アイドル
ゲスト
26
食べ終わって車に戻るなり、
「俺の部屋に来ないか?」
すぐに帰るような体で口にして、彼がハンドルを掴んだ。
「えっ、もう……ですか?」
食事はしたけれど、まだそんなにデートっぽいこともしてないのにと思う。
「肉を食ったら、ワインが飲みたくなったんだよ」
当然のことのようにも話して、
「部屋にストックがあるから、おまえも飲むだろ?」
そう訊かれて、一瞬迷いはしたけれど、たぶんどう答えたって初めから選択肢は決まっているような気がして、
「うん。それで、いいです」
と、肯定の返事をした。
「ワイン、飲みたいよな?」
その問いかけに実はそうでもないんだけどと思いながら、「うん……」と小さく頷く。どっちつかずな気持ちはあったけれど、だからと言って嫌なわけでもなかった。
それはやっぱり彼と一緒にいると気分が浮き立って自然と愉しくなってくるような雰囲気に、私自身も浸っていたいからに他ならなかった──。
──部屋へ入ると、彼がリビングに据え置かれたワインセラーからボトルを一本取り出した。
グラスを二つ携えてラグマットに直に座ると、コルク栓を引き抜きワインを注ぎ入れ、グラスの一つを私に手渡してきた。
「乾杯!」と、グラスが合わされる。
「……これって、高いワインとかなんですか?」
口を付けようとして、つい気になって彼に尋ねた。
「さぁな……」と、応じて、「俺は、あんまりそういうのは気にしてないから。ワインも適当に買ってるだけで、こだわりとかは特にないんでな」彼はそう続けると、ワインの一口を飲んだ。
「そうなんですか……」
波打つ喉元を格好いいなと感じて、ぼーっと見つめていると、
「……今、俺のこと、見てただろ?」
気づかれて、
「見てなんか……」
目を横に逸らした。
「見てたよな?」
強気に出られると、何も返せなくなる。
「……舞」
名前を呼ばれるだけで、顔が赤くなってしまうのが隠せない。
「えっ、あっ……な、なに……?」
しどろもどろでやっとそれだけを口にするのに、
「キス、しようぜ?」
引き気味な腰が片腕で引き寄せられ、ぐっと強く抱きすくめられた──。
「キスって……あっ……」
かわす間もなく唇が重なる。
「目、閉じろよ」
言われて、どうしてこうも彼の思うがままなんだろうと思ったら、たまには私だって主導権が握りたくなって、
彼の首に腕をまわして抱きつくと、自分からチュッと口づけた。
「んっ……!」と、びっくりしたように彼が目を見開く。
「いつもあなたの思うばっかりになんて、させないんだから」
そう口にして、べー!と舌を覗かせると、
彼は拳を口にあてて、「ふっ、くく」と笑い、
「……飽きないよ、おまえといると」
一言とともに、片手で私の顎をすくい上げた。
顔が近づけられ薄く開いたままだった口に舌が挿し入れられると、逃れられないような巧みなキスに襲われた。
「……キスは、俺の方が上手だよな」
唇を離して言われ、
「何、言って……」
一気に耳までが熱くなると、目ざとく今度は耳元へ唇が寄せられて、
「……感じてるだろ? ……もう、抱いてもいいよな?」
低く落とした声音で囁きかけられた。
「えっ……」
言葉に詰まり返事もできないでいると、不意をついて身体が両腕に抱き上げられそのままベッドに連れて行かれた──。
首から喉へと唇の感触が滑り下りる。
ブラのフロントホックが外され、「……あっ」と、思わず胸を両手で隠すと、
「隠すな」と、手首がグッと掴み取られた。
捕らえられた手首に触れた唇が、腕を辿り肩口から胸へ移る。
「……おまえは、どれくらい俺のことが好きなんだよ?」
膨らみの先に吸い付かれて、「んっ……」と、抑え切れない声が上がる。
「どれくらいって……」
「……言ってみろって」
彼が自らのシャツのボタンを外し袖を抜くと、厚い胸板が露わになって、
「わからないもの……そんなの……」
急に羞恥が襲って顔をぷいと背けた。
「ならどうしたら、俺をもっと好きになるんだよ?」
うつむけた頬が片手で挟まれ、力ずくで唇が合わされ、舌の先がこじ入れられる。
「あ……っん、どうしたらだなんて、だからわからないってば……」
口内を探る舌の動きに応える内に、熱に浮かされ身体ごと彼に呑まれそうにも感じてくる。
「俺は、おまえのことを、こんなに好きなのにか?」
脇腹から下半身へ手の平で撫で下ろしながらそんなセリフを吐かれて、どうしようもなく全身が火照ってくる。
「……もう……だから、これ以上は──…っ」
「これ以上……なんだよ?」
下着が足首まで脱がされて、
「……私も、これ以上は……好きになれないくらい、あなたのことが……好き、だってば……」
真っ赤になりながら伝えると、
「……かわいすぎだろ、それ」
口づけとともに、しっとりと汗ばんだ体が重ねられ、逞しい腕の中にきつく抱き込まれた……。
コメント
1件
おお、第45話読了!やっぱりこの2人の空気感、めちゃくちゃいいな〜。彼の「飽きないよ」ってセリフ、グッときたわ。主人公が自分からキスするシーン、強気で可愛くて好感持てたし、彼がちょっと驚いてるのもツボ。最後の「かわいすぎだろ」で締めるの、容赦ないなあ。次の展開が気になる!🔥