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そんな…、、
さとみ君の目を見る限り、きっと嘘はついてない。
でも、その真実が同署もなく辛くて重い。
莉犬の体を取るか、記憶をとるか。
選択肢はもう、目の前に用意されている。
そして、どちらの選択肢を選べばいいのかなんて、わかっていた。
この莉犬は、どこまで僕の知ってる莉犬なんだろう。
この、莉犬はいつから莉犬だったのだろう。
るぅと「莉犬の記憶を消してください…。」
もし、この莉犬が僕たちが知ってる大好きな莉犬だったら。
もう、莉犬の中に僕たちはいない。
でも、もし、もし、そうじゃないのなら。
僕は、本当の莉犬を見つけたい。
もし、君と歩む明日があるのなら僕はその未来を見続けたい。
さとみ「いいんだな?」
もう一度彼は問う。
るぅと「はい、大丈夫です…」
もう一度僕ははっきりと言う。
莉犬「ねぇ、どうしてるぅちゃ…」
莉犬「ずっと一緒なんじゃ…なかったの、」
目の前にいる莉犬は、
莉犬だけど莉犬じゃない。
目の前にいるAIも、
さとみ君だけどさとみ君じゃない。
るぅと「莉犬今までありがとう」
るぅと「大好きだったよ」
るぅと「君が今までで1番の相方だった」
るぅと「忘れないで良かったなら…」
るぅと「そう思ってはしまうけど、」
るぅと「莉犬とまた会えるなら、これでいい」
るぅと「これでいいの…」
るぅと「また会おうね莉犬」
莉犬「やぁ、やだよぉるぅちゃ…ポロポロ」
莉犬「忘れたくないッ…」
莉犬「死にたくなんかないッ…」
僕の前で項垂れる莉犬。
僕が大好きだった人。
莉犬「いやぁぁぁぁぁぁあぁぁッッッ…」
莉犬は大きな悲鳴をあがて、泣き叫んでいた。
そしてその叫び声も、
いつかはもう無くなっていて、
もう会えないんだと瞬間的に悟ってしまう。
るぅと「莉犬ッ…莉犬ッ…」
るぅと「ごめんね莉犬」
るぅと「僕のこと…きらわないでねッ…」
さとみ「…」
さとみ「連れてくぞ」
さとみ「車で行こう、歩くのは危険だから」
るぅと「はい、」
本当に、この人は何者なのだろう。
彼の言動、行動はまるで本物の人間のようだ。
まるで、あの日までいたさとみ君のように。
るぅと「どこに行くんだすか?」
るぅと「車で行くってことは日本ですよね?」
さとみ「そうだな」
さとみ「お前も見たことあるかもしれない」
るぅと「治りますよね?莉犬」
さとみ「あぁ、絶対に治る」
その瞳はすごく真剣で、FPSをして楽しんでいた彼を思い出す。
るぅと「ほんと、似てますよね」
さとみ「あー、さとみに?」
るぅと「はい、」
さとみ「まぁ研究は重ねたからな」
るぅと「莉犬もそうだったんですかね」
さとみ「お前から見た莉犬はどうだった?」
さとみ「お前の見た莉犬はどんなやつだ?」
るぅと「…」
るぅと「莉犬は…」
るぅと「可愛くて、優しくて、太陽みたいで、
かっこよくて、小さくて、強くて、
儚くて、消えてしまいそうで、
誰よりもリスナーさんを思ってて、
愛が強くて、重くて、
想像出来ないくらい頑張ってて、
ほんとにほんとにすごいワンちゃん
なんです…」
さとみ「でも、抜けてんだよな」
るぅと「え…?」
さとみ「あぁ、いや、なんでもない」
さとみ「お前らしいよ、なんか」
るぅと「僕らしい?」
さとみ「おん、そう」
さとみ「なんか、よく見てんだなって」
るぅと「そりゃあずっと居ましたし…」
さとみ「ずっと居たからって、」
さとみ「それだけでこうなんだろ?」
さとみ「それだったら本当に凄いと思う」
さとみ「だって俺は数値化して、」
さとみ「グラフ化して、これだぞ?」
さとみ「俺が思うに、俺はまだ…」
さとみ「あいつじゃないし、」
さとみ「あいつになれない気がする。」
さとみ「でもお前は違う」
さとみ「お前は莉犬じゃないけど、」
さとみ「莉犬の何もかもを知ってる」
るぅと「僕だってなんでも分かるわけじゃ…」
さとみ「そうか?」
さとみ「お前の答えはお前の見る世界でいい」
さとみ「見える世界を話せばいい。」
さとみ「違う立場なんて考えるだけバカだ」
さとみ「考えたところで、」
さとみ「どうせなんも分かりゃしないよ」
るぅと「…」
なぜか、その言葉が胸にグッときて、
もう頭からその言葉が離れないようにくっついてくる。
るぅと「良かった…」
るぅと「良かったよ、莉犬で」
るぅと「僕の相方は莉犬しかいなかったんだ」
るぅと「ずっと呼んでたかったな…」
僕の頬には涙がつたう。
彼はそんな僕にティッシュを差し出す。
さとみ「ん…」
さとみ「慰めんの苦手なんだわ…」
さとみ「早く泣き止めよ?」
そんな君のぶっきらぼうな優しさが、
僕の心にちょうどよくハマったんだ。