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お二人の新衣装を見て軽率に書いてしまいました。
「」葛葉
『』叶
葛葉side
最近叶がずっと髪を伸ばしている。人間ってのは髪の長さを自由に変えられないらしい。叶は前から長い髪に興味があるのか、よく俺の髪を結ったり梳かしたりしていた。そんな叶が自分の髪を伸ばし始めた。
「お前なんで髪伸ばしてんの?」
『うーん、気分?』
そう答える叶。気分なわけないだろ、これまでも散々伸ばそうとして、途中で我慢できなくなって切ってたじゃん。
「ほーん」
俺はわざと興味なさげに流す。自分の髪があるからか、最近は俺の髪で遊んだりしなくなった。まぁ、いいんだけど。
その日の晩、風呂に浸かる時にふと自分の髪を触る。俺は長髪で邪魔なのでいつも風呂の時は頭の後ろでだんごみたいにして入る。そういえば、前に叶と風呂入った時に髪後ろでまとめてるのいいなって言われたな・・その時も『僕は性格的にそこまで伸ばすのができないから』って言ってたっけ。
・・じゃあ、あいつなんで今あんな髪伸ばしてんだ?
湯船に浸かりながら考える。少なくとも俺は長髪が好きと言ったことは一度もない。なんだ、、もしかして、、
有り得ないと思いつつも一瞬嫌な妄想が頭に広がる。
・・他にできたか?そんなわけ、、いやでも、、、
自信を持って否定出来ない自分に嫌気がさす。一度そう思ってしまうとどんどんもやもやがわいてくる。俺、こういうとこ人間ぽいんだよな、、、
風呂から上がって叶に声をかける。
『は〜い、じゃあ僕入ってくるね〜。のぞかないでね!えっち!』
・・誰も覗かねーよ。と思いながらリビングのソファに座る。
・・ん?覗く?ちょっと覗いてみるか?
先ほどまでのもやもやが余計に俺をけしかける。叶が湯船に浸かったであろうタイミングで音を立てないように近づく。あいつは湯船に浸かる時は熱いからか、いつもドアを半分開けて入る。
風呂場のドアの前まで来る。やはりドアは半分開いている。音も気配も消したから当たり前だが叶はこちらに気づいていない。
中を覗くと叶は俺がしてるのと同じように頭の後ろでだんごにして髪が濡れないようにまとめている。
『・・ふふっ葛葉みたい。』
叶は1人で鏡を見ながら小さく声に出す。そして嬉しそうに髪を触っている。
そんな叶を見て俺は一瞬でも疑った自分が恥ずかしくなった。また音を立てずにリビングに戻る。俺は自分の顔がほころんでいるのに気づき、鼻で笑いながら叶を待つ。
『葛葉〜?あがったよ〜』
バスタオルを頭に被せながら歩いてくる叶。
俺は手招きして叶を自分の前に座らせる。叶はん?と言いながら素直に座る。
俺は叶の髪の毛をドライヤーで乾かす。
「えっ葛葉?!」
『じっとしてろ、あついだろ』
叶は突然俺にドライヤーされて戸惑っていたが大人しく座っている。
「あつくないか?」
『うん』
「お前、髪きれいだな」
『えっ!ほんと?!嬉しい〜』
ドライヤーを終えブラシで叶の髪をときながら気になっていたことを聞く。
「なぁお前、なんで髪伸ばしてんの?」
叶は一瞬だまったが、耳を赤くして言う。
『・・葛葉みたいになりたかったから』
いつもならつっこむところだが、今日ばかりは黙って聞いてやる。
『葛葉みたいに髪伸ばして三つ編みとかやってみたい・・』
少し小さくなりながらつぶやく叶。
「へぇ、いーじゃん」
そう言うと叶は振り向いて目を丸くする。
『葛葉、嫌がるかと思ってた』
「別に嫌とかなくね?」
そう言うと嬉しそうに笑い、俺の後ろにまわる。
『葛葉の髪触っていい?』
「あ?まぁいーけど・・」
俺は携帯をいじりながら大人しく髪をいじられる。なんとなくひっぱられるのでなんかされてるんだろう。
しばらくした後
『見て見て葛葉』
といい、俺の長い髪を前に持ってきて見せてくる。
視線を下げると俺の白い髪に茶色の髪の毛が混ざって三つ編みにしてある。
『僕の髪と葛葉の髪でみつあみ』
と嬉しそうに言う叶。
「お前、、こんなんして楽しい?」
半分呆れながら言うと
『うん!だってほんとはずっとしてみたかったもん』
とはしゃいでいる叶。
「ふーん・・あ、飲み物とってくるわ、、い”っ?!」
立とうとして、叶の髪と結われた俺の髪がひっぱられる。考えれば当たり前だけど。
『葛葉っ急に立たないで、、今ほどくからちょっと待って』
そういい髪を外そうとする叶。
「あー、やっぱいいわこのままで」
『えっ?』
「ほら、飲み物取りに行くぞ」
そう言って叶の手をとり一緒にキッチンに行く。
『葛葉どうしたの、今日』
叶は面白いくらい困惑しながらもちゃんと着いてくる。
「いや、こういう日もあるってだけ」
俺はそう答えて飲み物を飲む。
結局その日は互いの髪を結ったまま寝室に移動し寝転ぶ。
幸い髪が長いので隣にいる分には大して気にならない。
『葛葉、ほんとに今日このまま寝るの?』
「なに、いやなの?」
『いや、全然、、むしろ僕は嬉しいけど』
「気まぐれってやつよ」
俺はそう答えて目を閉じる。見えないが叶はたぶん笑っているんだろう。
髪が引っぱられない限り叶が隣にいる。そう考えたら安堵ですぐ眠りに落ちてしまった。
(翌朝)
「ってぇぇえええ!!!!」
突然の激痛で目を覚ます。見ると寝ぼけた叶が起き上がっている。
『あ、ごめん、、』
「おっまえ、、、ふざけんなよ」
『ごめんごめん、解くね。』
叶は笑いながら三つ編みを解く。
・・やっぱりたまにでいいわ。
そう思い直した。
おしまい