テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#お友達ください
#みこらん
ゆさぎ
9,804
3,839
夜の港。霧の中に浮かぶ倉庫街は、まるで死の匂いを隠しているかのように静かだった。
足音が一つ。
革靴が濡れたアスファルトを踏みしめる音。
いるまの手には拳銃、腰にはナイフ。
全身が闇に溶けるような黒のコート。
🎼📢「……懐かしいな、この匂い」
港の潮風と、火薬と、鉄の匂い。
かつて“マフィアの殺し屋”として生きていた日々が、
皮膚の裏側から蘇る。
倉庫の奥。
そこに、かすかに灯る蛍光灯の明かり。
椅子に縛られた一人の男――白。
銀髪に血が滲み、しかしその目はまだ死んでいなかった。
🎼📢「……白」
🎼🕶️(白)「……来たか、いるま」
静かな声。
その声に、胸の奥がきしんだ。
🎼📢「助けに来た。立てるか?」
🎼🕶️「……遅ぇよ。お前は、いつもそうだ」
白が薄く笑う。その瞬間――
背後から乾いた拍手。
🎼🔫(黒崎)「はは、やっぱり来たな。忠犬だ」
黒いスーツにサングラスの男。
黒崎。かつているまの直属の上司。
その手には拳銃。
🎼📢「約束通りだ。俺は来た。だから、白を放せ」
🎼🔫「放す? 違ぇよ、いるま。
お前が俺たちを裏切った日から、こいつはずっと“人質”じゃねぇ。――“仲間”だったんだよ」
🎼📢「……は?」
白が顔を上げる。
その口元には、薄い笑み。
🎼🕶️「悪いな、いるま。
黒崎の下に戻ったんだ。
俺は、お前よりも生きることを選んだ」
🎼📢「嘘だろ……」
🎼🕶️「俺はお前に“生き延びろ”って教えたはずだ。
だから、こうしてる。それだけだ」
銃口が向けられる。
恩人の手から。
🎼📢「……俺を撃つのか、白」
🎼🕶️「撃たなきゃ、俺が撃たれる」
🎼📢「……そうかよ」
いるまは笑った。
どこか、諦めたように。
🎼🔫「いい目だ。
やっぱりお前は“壊れてねぇ”。
――だからこそ、壊してやりたくなる」
黒崎が引き金に指をかけた、その瞬間。
――外から銃声。
弾丸が壁を砕き、黒崎の腕をかすめた。
🎼🔫「っ、誰だ!?」
倉庫の外、息を荒げて立つ影。
小柄な体。震える手に握られた拳銃。
🎼🌸「――いるまを離せ!!」
らんだった。
汗と涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、
それでも彼は迷いのない目をしていた。
🎼📢「おい、らん!? 来るな、バカ!」
🎼🌸「行くよ! だって……!
あんたが“生きろ”って言ったんだろ!」
黒崎の部下たちが動く。
いるまは反射的に撃ち返し、らんの前に飛び出す。
銃弾が壁を裂き、白が悲鳴を上げる。
🎼📢「逃げろっ!!」
🎼🌸「やだっ、置いてかない!」
🎼📢「いいから行けぇぇぇっ!!」
らんは涙をこぼしながら、その場に踏みとどまった。
🎼🌸「嫌だ……! もう誰も死なないで……!」
その叫びに、一瞬、白の指が止まる。
黒崎の視線が動き――銃口がらんに向いた。
🎼📢「やめろっ!」
乾いた銃声。
一瞬の閃光。
煙の中で、らんの頬に温かいものが流れた。
そして、いるまの体が――崩れ落ちる。
🎼🌸「い、るま……?」
🎼📢「っ……動くな……撃たれてねぇ……大丈夫だ……」
銃弾は肩を掠めていた。
それでも血は止まらず、視界が揺れる。
🎼📢「……らん、逃げろ。
俺が、終わらせる」
白が銃を構え直す。
その瞳は、迷いと罪悪感で揺れていた。
🎼🕶️「……悪かったな、いるま」
🎼📢「もういい。
撃てよ。
でも――お前の手で“ガキ”は撃たせねぇ」
銃口が向き合い、二人の間に火花が散る。
らんの叫びが、闇に吸い込まれた。
コメント
1件
お疲れさまです、第23話。正直、胸にくるものが多すぎて一瞬言葉を失いました……。 いるまが“助けに来た”って言った瞬間の、あの白さと静けさ。あの約束が、全部裏切られる形で引き金を向け合う展開は、読んでるこっちの体感温度が一気に下がりました。特に“お前の手でガキは撃たせねぇ”といういるまの最後の一線――それは“♡♡♡屋”のまま終わらないための、生き残った者の矜持ですよね。 そしてらん。あの「置いてかない!」という叫びが、まさにこの物語の“壊れた絆”の対極にある灯り。そこにいるまが飛び込んだことで、ようやく“守る”という選択が形になった気がします。次が本当に気になる――白の指が止まった揺れも含めて、どうか生きていてほしい。