テラーノベル
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夜の静けさが部屋を包み込むギャングの仕事を終えたばかりのヨージローはソファにぐったりと腰を下ろし 無言で目を閉じた
「お疲れ様です 店長」
ケインオーが静かに近づき テーブルに温かいタオルと飲み物を並べる
「……肩こりひどいだろうと思いまして」
「ん…そんなのいちいち言わなくても」
ぼそりと返すヨージローだったが その声にはどこか甘えがにじんでいた
ケインオーの手がそっとヨージローの肩に触れる
滑らかな手つきで筋をなぞるように押し流していく
「ふっ…お前やたら上手くなってない…?」
「店長 の身体を一番知っておりますので」
冗談めかした言葉に ケインオーはほんのり笑みを浮かべながら丁寧に指を動かす
肩から首にかけて緊張がほぐれ 少しずつヨージローの表情がやわらいでいく
「口 開けていただけますか」
「は?」
「噛みしめ癖がありますよね 顎の筋肉も張ってます」
「……マジでそこまで見てんのかよ…」
言いながらもヨージローは口を少し開き ケインオーに身を任せた
ケインオーの指がそっと頬の裏側に触れる
外から支えながら 顎の奥をじっくりとほぐしていく
「……これ やば…っ」
ヨージローの声がかすれた
身体がとろんと緩んでいく
「もう 少しだけ 我慢してください」
やがてヨージローは 静かに目を閉じたままそのまま眠りに落ちる
「おやすみなさい 店長」
ケインオーはそっとその身体を抱き上げる
軽々と お姫様抱っこの姿勢で
重さなんて 気にならない
愛しい人が腕の中にいる それだけで
静かにベッドへ運び 優しく寝かせる
その額に 唇を寄せた
「お疲れ様でした…あなたの全部が 愛おしいです」
聞こえるはずのない言葉を ケインオーはそっと囁いた
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