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7月?日
白い城で二週間。その間、私と角田、渡部は訓練場で奇麗に髭を剃ったディオにみっちりしごかれた。なんと、ディオは西洋剣術を知っているようで、私たちは重い練習用の大剣と盾でさんざぶつかり合った。
私は剣道を少しかじっているので以外とすんなりと習得出来た。これなら、強引に稽古をさせられた高校時代の塙先生に感謝が出来る。
毎日が筋肉痛との戦い。食事は安浦が担当してくれ、食料も二週間分あった。呉林は白い城の探険。ディオはお目当てのサイダーがなく、角田と霧画はビールが無いと喚いた。
この二週間は辛いがとても楽しかった。
白い城はその巨体を大地にそっと位置を占めた。私は玄関から南米の大地に足を置く。
「ここが、南米の大地」
それは、夜の大地だった。鬱然とした針葉樹の森だった……。南米には針葉樹なんて無い筈。普通、針葉樹は寒い所にあるのだが、熱帯雨林気候のはずだが、非常に寒かった。ボウボウだった草は枯れ始め、人の気配が全く無い。
「ここが、南米。寒いわね」
呉林がさずがに不安がり、寒さで肩を摩る。
角田と渡部は各々武器を持ち、玄関から足を揃えて、草を踏みしめる。
「あ、またあの赤い月ですね」
渡部が空に浮かぶ赤い月を険しい目で指差した。
空には禍々しい赤い月が浮かんでいる。
「本当だ」
私は渡部の肩に手を置いた。
「人がいそうよ」
呉林が遠いところを指差す。けれど、何も見えず。あるのは森だ。また不思議な直観なのだろう。
「さあ、行きましょう」
呉林はそう言うとみんなを連れ、夜の大地を歩きだした。
何も聞こえない。虫の羽音も獣の音も、川もなく木々も静まり返っている。光点は赤い月と星空のみ。
「ご主人様……」
安浦が不安がって、私の隣へとやって来る。私は、
「呉林が感じ取った人を探そう」
と、安浦の手を握ってやる。
「あ、赤羽さん。人たちみたい。結構沢山いるわ。敵じゃないわよね。姉さん?」
「ええと。解らないわ。だから、気を付けていきましょう」
「言葉は通じるかな?」
私が何気なく言った。……誰も答えない。
それにしても寒い。私は寒さと暑さは大抵凌げるが……私は冬でも暖房を点けずに部屋の中を厚着で過ごす。けれど、この寒さはきつい。本当にここは南米なのだろうか。
終始無言で黙々と3時間掛けてなんとか森が開けた。勿論、人工的にだ。どうやら、点々とした集落が集合しているようで、何かの部族のような地味で原始的な格好をしている人たちが、ざっと二百人余りいる。