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#お話
ユ
82
#花火
蝉の声がうるさい11時。
夏は嫌い。だって暑いから。うるさいし。早く夏おわんないかなぁ。…でも終わって欲しくない。なんでかって。
扇風機にあたりながら考える。
ぶっちゃけ、9月1日が嫌い。
理由は簡単。学校が始まるから。
嘘だ。別に学校は嫌いじゃない。ただ、この日は未成年の自殺者数が跳ねあがる日。
だから嫌い。
いつからこんな風習ができあがってしまったんだろうか。その日、誕生日の人のことを考えると腹が立つ。可哀想だとは思わないのか。
「おーい。あおい!外出てこいよ!」
外から俺を呼ぶが聞こえる
うるせぇ。軽く舌打ちをした。
「やだよあついし!」
「はぁー!はやくこい!」
そのまま放っておくと近所迷惑になるので渋々外へ出た。
「なに…なんできた。」
「あーそーぼ!」
「はぁ?もう小学生じゃねぇんだから…」
「一昨年まで小学生だっただろ!」
「黙れ。もう中2だ。」
「まぁ!そんなことどうでもいいから!」
手を引かれ、海へついた。
「海だぁー!」
「うるせぇ。」
「なんでよ!楽しいだろ!?」
「お前の名前と一緒だな」
「え?あー!たしかに!海が海に来たぞー!」
「うるせぇ。」
まぁ。少し楽しかったが、暑いが勝った。
「じゃあなー!」
「はいはい。もう2度と来んなよ〜」
「またあした〜!」
「おい。聞いてたのかよ」
この夏は、楽しいかもな。
なんで急に海が俺を誘って色んな場所へ行かせたのかはわからない。でも、楽しかった。
明日は9月1日。もう学校が始まる。夏休みも終わりだ。あいつはきっと、課題に追われてるんだろうなぁ。
学校へ着くと、海がいなかった。
あいつ、課題おわんなかったからって学校サボったな。まったく…。
ホームルームが始まる。
先生が重そうに口を開く。
固まった。
海が、飛び降りた?
は?そんなわけないだろ。あんなに能天気でバカで、何も考えてなさそうな、あいつが。
嘘だ…。嘘だ嘘だ嘘だ。
気づいたら俺は走り出していた。
先生を無視して。
「お前…っ!!なにしてんの!なにしてんの!」
「……えっ!?えっと〜?だ、誰ですか?」
「はっ?おまえ、もういいって、いいって!またそうやって俺を困らす…!!」
「ほ、ほんとにわかんなくて。ごめんなさい…」
「…っうそだろ…?冗談って…いってくれよ。いつもみたいに。」
「なんで、なんで飛び降りたんだ…っ」
「知りませんよ…僕記憶がなくなってるんで…」
「おい、…面白くない!面白くない冗談だ!」
「…落ち着いてくださいよ…。一体僕とあなたはどういう関係なんですか…」
「…っ!」
一筋の涙が伝ったあと。歯止めが効かないかのように、ぼろぼろと大粒の涙が溢れ出す。
「え、えぇ…?」
「この夏の思い出…全て忘れちまったのか。」
「…はい」
「…っ」
「海も、山も、虫取りも、神社も、アイスも。」
「全部、忘れちまったんだな…」
「…はい。ごめんなさい」
だから。だから嫌いなんだ。9月1日は。
クソ…っ!こういう奴が、どんどん飛び降りていく。どんな神経してんだよっ!意味がわからない。あんなに、あんなに元気だったのに。だから、だからだからっ!
「ねぇ…、泣かないで?」
海の手があおいの頬を撫でた
「…っ!!!」
「お前の…っそういうところ…本当に…」
涙が止まらない
「好きだった。」
君が忘れた夏を、僕が覚えている。
コメント
1件
もう読み終わってしばらく経つのに、最後の「君が忘れた夏を、僕が覚えている」が頭から離れなくて。 日常パートが楽しそうで元気だった分、教室のシーンで心臓が止まるかと思いました。海があおいの頬に触れて「泣かないで?」って言うところ、あれが全部を物語ってる気がして……。どうして海だけが記憶を失ってしまったのか、その仕組みがすごく気になります。続きが待ち遠しいです……!