朝の教室。いつも通り静かな空気が流れている。そんな中、隣の席の神風がうるさく声を張り上げていた。
「月見ー?月見ー?スゥゥゥ月見ぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
思わず眉をひそめる。彼の声は大きすぎて、周りの人たちの視線が集まっている。最初はうるさく感じたけれど、今ではもう慣れてしまった。
「またか…」同じクラスの黎がため息をついて、教科書を開く。彼の隣で私はノートを取るふりをしながら、神風をチラッと見る。神風はいつも明るく、無邪気な笑顔を浮かべている。
「月見ー!今日も美しいねぇ!」
その言葉に、思わず顔が引きつる。「うわっ」と言ってしまった。彼がこちらを見たとき、目が合ってしまう。
「え〜、うわっって言われたー(笑)!そんなに俺のことが嫌か?」
「ほんと、うっざ…」私は小声で呟き、机に目を戻した。
神風は言葉遣いが荒い。どこか冷たい壁を作っている私に対して、彼は全く気にせずに話しかけてくる。それがさらにイライラさせるのだけれど、どこか可笑しさもあって、心が揺れる。
「お前、そんなこと言ってたらダメだぞ!もっと俺みたいに明るくなれよ!」
再び彼が声を上げる。その瞬間、私は思わず顔を赤らめた。無視しようと努力しても、彼の存在感は強すぎる。
「ゲッ」と声が出てしまった。神風の目がキラリと輝く。
「え……ゲッ……?って言われたー!やっぱり俺のことを意識してるんじゃん!」
無視しようとするも、心の中では少しドキドキしている自分がいる。彼が明るくて馬鹿みたいなのは知っている。でも、なぜかその無邪気さが気になって仕方がない。
「うるさいよ、神風!」私は思わず声を上げる。
「月見ー、今日も元気そうで何より!でも、お前のその反応はどうにかならないのか?」
再び彼の声が響く。うるさいな、と思いつつも、私の心のどこかで彼を意識している自分がいる。ほんの少しだけど、彼の明るさに惹かれているのかもしれない。
教室の中で彼の声が響き渡る中、私は顔を赤らめながら、心の中でその感情を否定し続ける
コメント
2件
初コメ失礼します! 表現の仕方がすごく好みでした!