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フェルノ液
なや
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#srp
すば
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コメント
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いや…めっちゃ重いやつやったわ。りりさん、結構ヘビーなテーマに挑んでてすごいなって思った。特にストレス(los)のところ、病院から戻った後のローレンの気付き方がリアルで胸が痛かった。認知症の話も「笑うとこ」って言うレオスにレインが泣くシーン、あそこグッときたよ。あとkgmの復讐のくだり、ローレンが「あんたのせいだ」って泣きそうになるのがもう…。りりさんは登場人物の心の弱さとか脆さを書くの上手いね。続きが気になる話ばっかだから、もし書けたらまた読ませてほしいわ🔥
続きが思い付かず下書きが残っているお話たちをまとめました。
何か気になる話がありましたら気合いで続きを書いてみたいと思います。
⚠️⚠️ほぼlos⚠️⚠️
⚠️⚠️losが弱ってる⚠️⚠️
⚠️⚠️kgmも弱ってる⚠️⚠️
⚠️⚠️mbがいる⚠️⚠️
⚠️⚠️卒業ライバーの名前が乗ってる⚠️⚠️
⚠️⚠️約13000文字もある超大作もどき⚠️⚠️
地雷の方は閲覧を控えることをお勧めします。この世の全てと関係ありません。
ご本人様の目に触れるような行為はやめてください。
この先伏字がありません。
ごめんなさい同じ内容ばっかりで!!
思考が偏りすぎてるんですよね!!
lrnにばっかり苦労をかけさせるのが自分の信条らしいです。参った。
【ストレス(los)】
思えば前兆はあった。
煙草に行く回数が減った、顔色が悪い事が増えた、飯に誘っても来なくなった、とか。
まさかここまでおかしいとは思わなかった。また長い研究のせいで疲れてるだけかと思ってた。
抜けられないはずの任務を無理やり上司に押し付けて来た病院の一角の病室を開ける。
「っ、レオス!!」
病室には既にレインとオリバーがいた。2人とも顔を歪めて、心底心配そうに彼を見ている。堪らず彼の方に駆け寄り声をかけた。
「レオス、お前…何でここまで…!」
彼はベッドの上で静かに眠っていた。
随分顔色が悪くなって、何キロか痩せたと思う。目の下には隈ができていて、配信で見るレオス・ヴィンセントとはかけ離れた姿だった。
みんな何も話せなくて、しばらく沈黙していた。何か声を掛けたかったが、掛ける言葉が見つからない。
そうしている内に医者と看護師が様子を見にやって来た。
医者が言うには、ストレスからくる体調不良が重なり、今に至ってしまったらしい。
ここまで悪くなるのはそれなりの月日が立たなくてはならないらしく、収録や打ち合わせの時も辛かっただろうと言われた。
何も気遣ってやれなかった自分に腹が立つ。もしあの時気づいていたら。もしかしたらこんなに苦しまずに済んだのかもしれないのに。
「診察したところ…栄養失調、それによる神経性胃炎、十二指腸潰瘍、神経性嘔吐症などが見られます。その他にも症状はあるでしょう。ご本人が起き次第、また診察をしようと思います。」
「はい…ありがとうございました。」
医者が一礼して病室を出ていく。
そこから早かった。
数日後にレオスが目を覚まし、回復のため治療を行って(とてつもなく辛いらしい)無事に退院した。
・・・・・
「__だからこっちのが良くね?」
「えぇ?パタちはこれがいい!」
「僕はそっちの方がいいなぁ。」
レオスの退院から数ヶ月後、エデン組は次のコラボ企画の打ち合わせを行っていた。
体調も良くなったと本人から聞き、確かに顔色も良くなってきたと判断したので全員参加だ。
机にレオス、レオスの隣にオリバー、オリバーの前にレイン、レオスの前にローレンが座って企画書の内容を吟味している。
そんな所にコンコンと控えめなノックが聞こえ、オリバーが返事をすると扉から叶、葛葉、魔界ノりりむがやって来た。
「えっ、どうしたんですか?」
「いやぁ…なんか、まぁ…人手がいるんすよね…とある企画で。」
「レイン来てよぉお願い!!」
「個人的にオリバーさんに来て欲しいかもしれない。」
「え、え??どゆこと??」
「あっ、ローレンはいらねぇわ。」
「いらねぇマ!?」
そう騒いで必死に誘う。恐らくろふまおの呼び出し企画と同じような事をしているのだろう。
渋々3人のご指名のレインとオリバーが控え室から出ていく。
「…見事に振られた。俺とレオス。」
「別に振られてはないですけど…。」
「強がんなって、お前名前すら呼ばれてなかったじゃねぇか。」
「いや帰り際に、レオスは最終兵器にするわって言われたんで。」
「嘘だろ!?」
そんな雑談をしながら企画の内容を練っていく。まぁ2人がやりたくなくても強制的にやらせれば問題ないだろう、先輩の番組に2人だけ出た罰だ。
「あ、レオスそれとって。」
「これですか?はい。」
そういってローレンから遠かったペットボトルを、立ち上がってレオスが取る。
その時見えてしまった。
レオスの袖口から覗く、赤色の無数の線と青紫の痣。
ほぼ反射で立ち上がり、彼の腕を掴む。レオスは少し顔を歪めて、それからすぐに普通の顔に戻って驚いた顔をした。
「ど、どうしたんですかローレンく…」
「お前、何これ?」
「あぁ…ぶつけただけで」
「レオス。」
腕を掴む力を強める。
「…何、でもないですよ。」
「何でもない訳ないだろ。カッターかなんかじゃねぇの、これ。」
淡々と、しかし怒りを含めて、レオスを問い詰める。レオスは徐々に顔を歪めだした。
そして、ぽつと一言言った。
「……死にたい。」
「…うん。聞かせてよ、俺に。」
腕を離して、椅子に座らせる。
彼が言うには、この前病院に入院したせいで迷惑をかけてしまった事と、体調不良による収録や会議が不調である事が重なって不安定になったらしい。
自分は要らない奴。
もう嫌だ、死んでしまった方がいい。
泣きながらひたすらにそう言い続ける。その姿はとても痛々しく、見ていられなかった。良くなったと思っていたが、以前より酷くなった隈、顔色、掴んだ時に分かった腕の細さ。きっとバレないように隠していたのだろう。
しばらく経って泣き止んだあと、ローレンがレオスに提案した。
「病院行こ、な。」
「やだ。」
「やだって…」
「痛いのやだ……っ、ぅ…。」
子どものようなわがまま。
あの治療は精神的にかなり応えたのだろうか。病院には行きたくないと、また泣き始めてしまった。
「レオス、大丈夫。大丈夫だから。」
泣きじゃくるレオスの背を撫でてあやす。
「病院辞めよっか。嫌だもんな、ごめん、 何も考えてなかった。」
「…ぅん…」
しかし腕の怪我と本人のメンタルケアをするには病院に行くしかない。 だが行きたくないと言われるのなら、自分でできる範囲で改善させる他ないだろう。
「ね、レオスの家泊まっていい?」
「……へ?」
思い立ったが吉日。
ローレンは早速、未だに戻ってこない2人に謝罪のメールを送るのであった。
・・・・・
「…マジか…。」
レオスの家に上がらせてもらい、まず目に付いたのは床に散らばっている白い薬。
近くにコップも置いてあるから、定期的に飲んでいたのだろう。
しかし薬のシートの中身はほとんどなく、大量に摂取していることが分かる。
それから前見た時より多い灰皿の煙草、片付いていないゴミ、書類、服。 相当参っているはずだ。
「レオス、この薬飲んだ?」
「…ちょっとだけ。」
「3シートはないけど。」
「……全部飲んだ。」
「一気に?」
「多分、1シートを1日、夜に。」
「…そっか。」
とりあえず今来ている白衣とベストを脱がせて、シャツだけにする。現状どれだけ傷があるか知りたいし、もしかしたら化膿しているものもあるかもしれない。
治療すべきものを治療しないとまずいから、警備部隊で培った技能を生かして治療をしていく。触るよ、と一言伝えてシャツを捲る。
「え、」
思わず絶句した。
レオスの腹にはいくつもの赤い線がついており、深いものから浅いものまでとにかくたくさんある。それと赤黒い何かの痕。恐らく彼が吸っている煙草の痕だろう。これ程自傷行為。行っていたとは。
「…あの、ローレンく」
レオスが話しかける前に、ローレンが彼を抱きしめた。レオスは目を丸くする。
「ごめん、気付かなくて。ほんとごめん。辛かったよな。苦しかったよな。ごめんね。」
優しい声でぎゅっと抱きしめ続ける。
そんなローレンを見て、おずおずと手を後ろに回して抱きしめ返す。長年こんな事をされなかったから、人の温かみに触れて泣きそうになる。
「…ローレン、ごめんなさい。」
「何で謝るんだよ。お前は悪くないよ、大丈夫。…手当てするか、中断してごめん。」
すっと手を離して救急箱に手をかける。箱の中から包帯や消毒液を取り出す。
手当てされている間、ローレンもレオスも何も話さなかった。
【認知症(los)】
きっかけは些細なことだった。
初めはただの物忘れだと思っていたから。
「あれ、レオスくんどこ行くの?」
「どこって…収録終わりましたよね?」
「いやいやこれから打ち合わせでしょ!先週言ってたじゃん! 」
「え!?完璧に忘れてたんですけどぉ…。」
初めにエデン組が違和感を覚えたのは、数ヶ月程前だと思う。 レオスが何かを忘れるのが一ヶ月に何度もあったからだ。それが一週間、3日間、1日とどんどん短くなっていく。1日に何度も何かを忘れていった。
「あ。すみません、そのペン取ってくれませんか…かな、か……?」
「えぇ、レオス僕の名前忘れちゃった? 」
「すみません何かすっ飛んで…あれぇ?」
「叶だよ。はいどうぞペン。」
「ありがとうございます…。」
「レオス!お前また会議室来なかったじゃねぇか!どこ行ってたんだよ!?」
「す、すみません…会議室の場所が分からなくなっちゃって。」
「は?いつも使ってるだろ?」
「そうなんですけど…。」
「お前何か変じゃね?さっきは叶さんの名前忘れるし、楽屋の場所も間違えるし。」
「疲れてるんですかねぇ?」
そして今週、とうとう同期のことも分からなくなった。
「エデン組もう5周年だって。」
「早!!」
「グッズのビジュいい感じに撮ってもらえるかなー♩」
「だから今日エデン組集まってんのか。」
「何だと思ってたんだ!?」
「え、アクシアくんは?」
「……は?」
流石にこれはおかしいと判断して、すぐ病院に行ってもらった。この忘れ方は異常だと。
・・・・・
そして病院が出した診断は、若年性の認知症だった。
認知症といってもいくつか種類があるようで、物忘れが起きたり、幻覚が見えたり、判断力が下がったりと色々な症状の認知症があるらしい。
レオスが今回診断されたのは、幻覚が見える認知症。元気な日もあれば調子の悪い日もあったり、手足が動かしにくくなったり、自律神経障害が起こるものだった。
レオスは身寄りがいない。両親とあまり会っていないと言っていたから、当然病室に親が来るはずもなかった。だから同期であるローレン、レイン、オリバーが色々と話を聞いた。
医者に、『転倒したりよく眠る事はありませんでしたか。』と聞かれ、確かにここ最近よく転けてたな、と思い出す。楽屋で机に突っ伏して寝ている光景も目にするようになったし、打ち合わせ中もよく船を漕いでいるのを見る。それも全て病気の症状だったらしい。
治療法はなく、薬でどうにか症状を和らげるしかない。しかしその薬も今のレオスにとってはとても危険なもので、普通よりも過敏に反応してしまう。そもそも、彼の年齢でこの病気になること自体極めて稀なのだ。慎重に、冷静に物事を判断しなければならない。
今回は診断だけで、本人も帰りたいと行っていたので帰ることにした。
まだ自分の名前や生年月日が言えるだけいい。言えなければ最悪施設に行かなくてはならない。
そんな言葉が頭から離れない。
どうしてレオスが、なぜ。
言いたいことは沢山あったが、今は言うべきじゃないとみんな言葉を飲み込んだ。
・・・・・
「おはようございます…。」
数日後の朝、コラボ企画配信のためにエデン組が会議室に集まる。レオスはきちんとここに来られたようだ。
「おはようレオスくん。体調どう?」
「今日は大丈夫ですぅ、健康体。 」
「つっても油断できねぇからなぁ。要注意。」
「…だな!」
レインは、というか恐らく全員気付いていた。レオスの顔色が日に日に悪くなっていくのを。今日も目の下に薄ら隈ができている。コンシーラーか何かで隠したのか見にくくはなっているが、職業柄細かい事に気が付くレインとローレン、彼と一番仲がいいオリバーは気付いていた。
しかし彼は大丈夫と言う。それなら無理に詮索する必要はないだろう。そう思って全員口を噤んだ。
・・・・・
会議が終わり、ローレンは別の企画の打ち合わせがあるから、オリバーはこの後収録に行かなくてはならないから、と解散した。
レインとレオスも配信を行う予定だが、まだ時間がある。明日まで使われないから好きにしてくれと言われた会議室に2人が居座り、特に話すこともなく静まった会議室の沈黙をレインが破った。
「ヴィンさん、気付かなかったのか?」
「…何にです?」
「自分が変だって。」
少し聞きずらそうに問う。 僅かだが顔を歪めながら聞くその姿は、本当に同期を心配しているようだった。これははぐらかす場合ではないなと、レオスは一つため息をついた。
「…まぁ、気付きますよ。 始めの内はただのボケって思ってましたけど。」
自虐風に笑ってみせるものの、レインは変わらず顔を顰めている。そんな彼女を見て話を続ける。
「叶くんの名前を忘れた時は驚きました、こうも恩人の名前をするっと忘れてしまうものなんだって。その前もね、樋口くんの名前も忘れちゃってて。みんなびっくりしてました。」
レインは、まだ笑わない。
しばらく笑って見せていたレオスも、一向に笑わないレインを見て笑うのを辞めた。
「…笑わないんですか?ここ笑うとこだと思いますけど。」
「笑えないよ。…だってヴィンさん、いちばん傷ついてるじゃん…。」
さっきまで顰めていた顔を歪めて、大粒の涙を流す。レオスはギョッとして慌てて席から立ち上がった。だがどうしたらいいか分からなくて、彼女のまわりであたふたするだけだった。
「っ、ねぇヴィンさん、パタち嫌だよ。 みんなの名前も忘れちゃって、その内自分の事も分かんなくなるんだよ?それを笑い話にしないでくれ…」
悲しいのは、ヴィンさんなのに。
レオスは黙って話を聞いていた。
至極その通りだと思う。いずれはエデン組の名前や顔、自分の名前も忘れる。
初めて名前が分からなくなった時は悲しかったよ、辛かったよ。それを笑い話になんて到底できない。でも、レインくんが酷く傷付いた顔をしていたから。笑い話にすれば笑ってくれると思ったから。
それなのに、そんな事しないでくれと自分に頼む。なんて優しい子なんだろう。
「…すみません。」
色んな感情が渦巻く。ぽつ、と言い出せたのは、この一言だけだった。
ぐす、とレインの声が会議室に響く。それ以外の声は聞こえてこない。これ以上何も言い出せなくて、レオスも口を噤んだ。
・・・・・
「レオス。」
「あれ、ローレンくん。」
会議室での一件からしばらくして、スタジオの廊下でローレンに出会った。彼は何だかむず痒そうな顔をしていて、何か言いたそうだった。
「何か用事ですか?」
「いや、その…。」
歯切れが悪そうにモゴモゴと口を動かす。
しばらくして、言わないとどうにもならないなと観念したのか、一度動きを止めて口を開いた。
「…レオス、足どうした?」
ピタ、と今度はレオスの動きが止まった。
その額にはうっすらと汗をかいており、目は少し泳いでいる。そんな彼を見逃すはずがなく、話を続けた。
「今日ずっと足庇ってたよな、収録中ずっと。それにちょっと血の匂いしたし…アルコールの匂いと、だから…そうじゃね?って。」
「…何、で」
観察眼の鋭さを見せつけるかのように話し進める。レオスにとっては死刑宣告されたかのようだった。どうして、完璧にしたつもりだったのに。
実際、彼の隠し方は上手かった。
血や消毒の匂いだって常人には分からないし、足を庇っていたかなんて微細な変化だったから分かるはずもない。
そう、分かるはずがなかったのだ。
しかし見つかった相手が悪かった。エデンの若き、都市警備部隊。物事を注意深く見る事が必然となってくる仕事の彼には、全てが筒抜けだった。
「病気のやつだろ。」
声が、出ない。
ローレンはその事実を咎めることもなく、ただレオスを見ていた。
「…話してくれん?」
慈愛に満ち溢れた目線と声で、そう言う。
レオスはしばらく考えたようだったが、こく、と頷いた。ここじゃ話しづらいし部屋に入ろうと彼の手を引いて、近くにあった控え室へ入っていった。
・・・・・
ぽつぽつとレオスが話したのは、やはり病気についてだった。
最近、よく転ぶようになったと。そのせいで怪我が絶えず、この前は骨にヒビが入ったと。今回も朝に転倒し、雑に包帯を巻いてきたと。
その度に薬を作り、痛みを強制的に感じさせなくして、傷の治りを早めていたらしい。
まさかここまで進行しているとは思わなかった。この前まで何の変化もなかったからだ。ただロケや収録をこなして、終われば呑みに行ってを何度かしていた。その中でもう怪我をしていたというのか。
最年長だからか、レオスは自分たちに弱みを見せない。それが悪い方向に向かってしまった。
「でも大丈夫です。また薬作ってバレないようにするので…」
「バレないようにするじゃねぇよ。何かあったらその度に言えっつってんだろ。」
【覚悟(kgmとlos)】
「れお、す」
あの人に刺さる直前で、ナイフを手で止めた。
ボタボタと滴る鮮血を前にして笑顔だったのは、エデン組のレオス・ヴィンセントであった。
「だい、じょうぶ。大丈夫ですから、加賀美くん、終わろう。大丈夫だから。」
訴えかけるようにそう言う。
しかし今の加賀美には聞こえなかった。
パニックになってナイフをまた動かそうとする。その時によろけて転倒しそうになり、庇ってレオスは壁に頭を強く打った。血が流れている。それでも加賀美の側から離れない。
「大丈夫だよ。辛かったよね、大丈夫。」
「違、ちが、う…わたし、おれ、おれ、は…終わらせないと。…終わらなきゃ…。」
「それは加賀美くんのする事じゃないよ。
ね、大丈夫だから。もう大丈夫、我慢しなくていいよ。」
徐々に落ち着いてきて、加賀美のナイフの握る手が緩んだ。それを見逃さずに、ナイフを手から回収した。
それとほぼ同時に、加賀美は糸が切れたかのように床に倒れた。
「社長!!」
ひどく心配そうに、ROF-MAOの3人が加賀美に駆け寄る。そりゃあいきなりナイフを持ち出したんだから心配もするだろう。
加賀美は顔の色をすっかり失って、小さく何か唸っている。
私はだめな奴だと、あいつを殺してやりたいと。
3人は、何も言えなかった。他のメンバーも、かける言葉が見つからなかった。
どさ、と遅れてレオスも倒れる。
「レオス…!」
こちらも心配そうにレオスに駆け寄る。両手と頭は血だらけ、腹にも傷を負っていた。
「れ、おす、これ…!」
「ふふ…すこし、頑張りすぎ、て…。」
どこで刺さった、いつから?まさか最初からなんて言わないだろうな。なんて考えながら、必死で刺さりうる場面を思い出す。
「…頭ぶつけた時か。」
オリバーが呟いた。 確かにそこでならバランスを崩して刺さった、なんてありそうだ。
正解、と言う前に、レオスは意識を手放した。
「は、ちょっ、レオス!!」
「博士!?」
「救急車呼んで下さい!!」
加賀美も相当応えているが、レオスも重傷だ。ハッとしたスタッフが救急車を呼び、二人は搬送されていった。
・・・・・
「…ぅ、」
「!しゃちょ、起きた?」
ひどく優しい声音でそう尋ねられる。
声のした方を見ると、ROF-MAOのメンバーである不破湊だった。
ここに来て2日経ったよと言う彼を見ながら、意識が徐々に浮上する。
なぜ彼が、というか私は何を…
そう考えたところで思い出した。昔自分の会社をめちゃくちゃにした奴、そいつに出会って、それで…
「ええよ社長、思い出さんでも。」
「ふ、わさ…でも…」
発した声は弱々しかった。
思い出さなくてもいい、そう言われても脳裏に焼きついて離れない。
酷い罵倒を受けて泣き出す部下。誹謗中傷に耐え切れず自殺した部下。ずっと元気がなく心配で部屋を訪れると、遺書を机に置いて首を吊っていた部下。疲労で病気になってしまった部下。
全てあいつがやったことだ。だから私は、復讐しようと心に決めた。だからナイフを持った。こんなの犯罪者と同じだ、それなのに、…。
「社長、復讐とか思ったったんやろ。」
「…え、」
「殺してやろうとしとったやろ。…でも、あんたに罪はない。」
淡々とそう告げる。
どうして、私は自分の意思であいつを殺そうとした。あいつが死んだならどんな刑でも受け入れるつもりだったのに。
困惑していると、不破が加賀美を見る。
「魔に取り憑かれとったらしい。やで、あんたがしたのは魔のせい。」
…魔、に。
じゃあ私がナイフを持ったのは。あいつを殺そうとしたのは。レオスさんを刺したのは。
「魔のせいだ、って、言うんですか。」
「…自分の意思じゃないで、無罪やと。こっちの法律やなくて桜魔の法律でそう決まった。」
おめでと、と付け加える。
その声に感情は籠っていない。
「何もおめでたくないですよ、私は、自分の意思で殺そうとした。あいつを。その為に今日まで生きてきた。…なのに、法に守られるんですか。 」
「法も何も、あんたは人を殺してない。殺人未遂。…あん時社長は意識朦朧やった。魔に取り憑かれとって、正常な判断が出来とらんかった。 」
「今までの苦労を全部水に流せって言うんですか!!」
病院なのも忘れて叫ぶ。
「私はあいつに全部壊された!!今の状態から立て直すのにもたくさんの時間をかけた!!被害を受けて何十人もの部下を亡くした!!それなのにあいつを殺させてもくれないのか!!」
「分かれよ加賀美ハヤト!!!!」
加賀美の最後の言葉と被るように不破も大声を出す。
「あんたは人を殺してない!!これからも人なんて殺させない!!過去で何があったか知らんけど復讐なんてアホみたいな事考えとるんとちゃうぞ!!!! 」
いつもとは考えもつかない不破の怒声に怯む。加賀美の肩を掴む力が強い。桔梗色の瞳孔が開いている。
黙り込んだ加賀美を見てか、慌てて手を離した。
「…あんたはにじさんじに、ROF-MAOにおってもらわなあかん。 …正直な、無罪って言われてホッとしたんやて。あぁ、社長がいなくならんでよかったって。未遂とはいえ人殺しって呼ばれんくてよかったって。」
その声は本当に加賀美が人殺しにならなくて良かったと安堵しているようだった。
でも加賀美は違う。長年復讐の為だけに生きてきたのだ。そう簡単に目的を諦められるわけがない。
その時に病室の扉が開いた。
「…え、起きてる。」
静かに驚いたのは剣持だった。目を丸くしてそう呟く。
「2人ともここ病院ですよ、一階まで声響いてたんですからね。」
「あ、させん。」
静かに嗜めた。
流石は先輩だと不破が言うと、あんた達が子どもなんだよと返される。
「ま、社長も叫んでたとは思いませんでしたけど。良かったですね。」
「良かったって、」
「復讐、まだしたいんですか。」
瞬間、空気がピリピリした。
剣持の瞳がスッとこちらを向く。加賀美も、不破も息を呑んだ。まるで彼に圧倒されているかのように。
「僕は許しませんからね。貴方がこの業界からいなくなるような事になれば多くの人が悲しみます。呼び止める機会があるんだから、僕はずっと言い続けますよ。」
冷ややかに、でも芯のある声で言った。
「貴方はあんな事で人生を棒に振るうんですか。」
頭痛がした。
おそらく、自身の無鉄砲さに気が付いたからだろう。
人を殺しても、死んでいった部下が戻ってくるわけじゃない。失った金や時間が戻ってくるわけでもない。
目先のことに夢中になっていて、その後のことを考えていなかった。
馬鹿みたいだ。
「…っ…ふ…」
「…良かったですね社長。まだ、やり直せますよ。」
剣持はそう声をかける。不破は黙ってその様子を見ていた。加賀美は、静かに嗚咽した。
しばらく経って落ち着いた時、収録で遅れていた甲斐田が息を切らしてやってきた。
「…あれ、え、ん??」
「なんや甲斐田、多忙でアホになったんか。」
「甲斐田くんは元々アホでしょ。」
「何で登場して秒でディスられるんですか!?」
加賀美が起きていて、目元が赤くなっている。
疑問に思う事が多くてぽかんとアホ面を晒してしまい、不破と剣持に揶揄われた。加賀美は少し笑って、皆さん、と彼らを呼んだ。
「行きたいところがあるんです。」
「…ま、社長なら行くよな。」
静かな面持ちの加賀美を見て、不破は静かに笑った。
こんこん、と控えめなノックをする。
はい。と聞こえたので恐る恐るドアを開けた。
「…かがみ、くん。」
声の主は少し驚いたような声音でそう呟いた。声の主であり、病室の患者はレオスだった。
彼の手のひらと頭には包帯が巻かれていて、見えないが腹にもあるだろう。そんな事をしたから、察する。
病室に一歩入ると、ベッド脇にいたローレンがこちらを睨み付けレオスの前に立つ。
「悪いんすけど、あんたをレオスに近づけらんないすわ。」
「は?ロレお前何言って…」
怒りもはらんだ不破を加賀美が黙って静止させる。
曰く、同期に重傷を負わせたから。
曰く、同期を傷付けたから。
曰く、同期に無茶をさせたから。
これがローレンの言い分だった。何も返す言葉がない。彼の言い分は全て正しい。
傷を負わせたのも、その傷が重傷なのも、無茶をさせたのも、全て自分だから。自分のせいでレオスを殺すところだった。その事実は覆らない。
「では、ここで言わせてください。」
だがここで引き下がるほど、加賀美も伊達に生きていない。
病室の入り口でゆっくりと口を開いた。
「私の私情で、レオスさんを傷付けてしまい、すみませんでした。」
深々と礼をする。
レオスは目を丸くして、加賀美を見た。
ローレンは少し申し訳なさそうにしたが、またすぐに加賀美を睨んだ。
レインとオリバー、そして不破と剣持と甲斐田は、そんな3人を心配そうに見つめる。
「分かっています。怪我をさせた本人が病室に来て、危害を加えるかもしれないと思うのは当たり前です。どうか私を許さないで。」
「っ、……レオス、しばらくは病院通いなんすよ。激しい運動もできないって、医者が言ってて、…あんたのせいだ。」
泣きそうになりながらそう訴えた。
まるで親を傷つけられた子どものように、自分の方が傷付いているかのように言う。
「えぇ、私のせいです。全部。」
加賀美は、そんなローレンの言葉を一つ一つ重々と受け止めた。
まさかそんな反応をされるとは思ってもなかったのだろう。ローレンはまた顔を歪めた。
「…今日、目ぇ覚めたばっかなんすよ。」
「はい。お聞きしています。」
「っ、だったら!だったら何であんな事したんすか!こんだけ冷静だったらさっきも冷静になれたでしょ!!レオスが、血流して!めっちゃビビって…!…レオス、死ぬかと、思っ…て…。」
最後はもう消えいるような声だった。
怖かったのだろう。
目の前で刺されて血を流し倒れ、今の今まで意識がなかったのだから。生きた心地がしなかっただろう。
もしかしたら死んでしまうのではないのか、なんて何度も頭によぎったのだろう。
まだ若い彼は、こんな経験そうそうしていないはずだ。同期が死にかけるなんて、なかなか経験する事じゃない。
「…もう、大丈夫ですよ。」
レオスが力の入っていない声で、そう告げた。
ローレンはまだ何かを言いたそうだったが、レオスの目を見て引き下がった。
「加賀美くん。」
「…はい。」
何と言われるだろう。
冷や汗がうっすら額に浮かぶ。
私は彼を傷付けた。止めようとしてくれた彼を、何度も刺した。 何と言われてもおかしくない。
同じ職場で働きたくないと言われるかもしれない。そう言われれば、潔く自分は身を引こう。
「聞きました、魔に、取り憑かれていたらしいですね。」
「…はい。」
「大丈夫、だったんですか。」
「……はい。」
桜魔の判決を覆してはいけない。そう思って言い淀みながら返事をする。
彼はやはりいつもより声が小さくて、言葉がたどたどしかった。
「私は、大丈夫ですから。勝手に、助けに…入ったのは、私なので。」
「でも。…それでも私は、貴方に謝らなくてはいけません。私はレオスさんを傷付けた。」
「…ふふ…律儀なひと、ですねぇ。」
小さく笑う。
傷付いていないかように振る舞う彼を見て、思わず泣きそうになった。
…ローレンさんも、こんな思いだったのかな。
「大丈夫です、私は、許してます。加賀美、くん…思い、詰めないで。」
「…っ…あり、がとうございます。レオスさん。」
泣きそうになったのを堪える。
「すみま、せん。ローレンくん、も、心配ありがとうございます。」
「しっ、んぱいなんてしてねぇけど! ?気のせいだろ!!」
「ローレン誤魔化すの下手くそだな!笑」
「どストレートに言うなぁ笑」
みんなが笑う。
良かった、何事もなく終われて。
「じゃあ僕ら行きますね。レオスさん、お大事に。」
「お見舞い置いといたでなー。」
「早めに食べて下さい!」
「あっ、そこまで送りますよー!」
「レオスくん待っててね!」
「ふわっち待てぃ!!」
場の空気も良くなり、エデン組と会話を楽しんでいるといつの間にか時間になっていた。加賀美の診察もあるため、挨拶をして病室を出ようとする。
「加賀美くん。」
レオスに呼び止められ、一人病室で立ち止まる。振り返るとレオスは微笑みを浮かべていた。
「貴方に殺意は似合いませんよ。」
「…え。」
全てを見透かしているような瞳で、私を見る。
思わず声が出た。
彼は知っていたのか、私が自分の意思で、何をしようとしたのか。
「それだけです。お見舞い、ありがとうございました。」
「…は、い…。」
ふいと顔を背けた。
加賀美はまた振り返って、病室を出た。
・・・・・
「社長ー!大丈夫すかー!?!?」
「声デカ!!」
「他に配慮しろっつってんだろ!!」
スッパーンッと勢いよく病室を開けたのは不破湊だった。手には果物の入った籠を持っている。その後に剣持、甲斐田が入室する。
「社長大丈夫すか、調子は?」
「あぁ、もう大丈夫です。栄養も大丈夫でしたし、明日には退院できます。」
「良かったぁ!!」
そう言った途端に甲斐田が加賀美に抱きつく。キッツと乾いた笑みを向ける不破、気持ち悪いと軽蔑の目を向ける剣持。これがROF-MAOだなと苦笑する。
「しゃちょ、ROF-MAOできますか?てか配信とか大丈夫すか。」
「大丈夫です。だって雷ゴリラですよ私。」
「そりゃそうか。」
これは流石に理解不能なのであらすじ
①若い社長という事で、他社の社長に執拗ないじめを受ける
②加賀美には効かなかったので、会社自体にデマを流して損害を受けさせる
③デマのせいで会社の経営が傾く
④デマのせいで電話などがひっきりなしにかかってきたり、社員たちが精神的にやられる
⑤多くの被害者と損害を受け、復讐を決意
⑥緻密に予定を立てて同じ日にスタジオに
(加賀美:ライバーとして収録、mb:会社PRの為のCM撮影)
⑦相手が何も覚えていなかったのをいい事に近づき、ナイフで殺そうとする
⑧間一髪で駆けつけたエデン組に抑えられる
⑨たまたま魔に取り憑かれていた為何の罰も受けずに終わる
的な感じです。語彙力がなくてすみません。