ある日の朝。
これは日本とにゃぽんが8歳の頃の話(双子)
日本は目を覚ますと、にゃぽんが自分の布団の上で起きてー!と暴れているのが目に入る。日本は見慣れた光景にため息をついた。
「にゃぽん…お腹圧迫されて痛いからどいてくれない…?」
「もうしょうがないな兄ちゃんは!もう朝の8時だよ!!起きろー!」
「…どうしたの、いつもは起こさない癖に…」
足をバタバタさせながら暴れるにゃぽんに問いかける。
「なんかね!今日江戸じいちゃんが言ってたんだけど、夏祭りがあるんだって!」
「そうなのっ!?何時から何時から!?」
「5時ぐらいから、あそこの神社に屋台が出るんだって!花火も上がるらしいよ!」
今日花火がある事が初耳すぎて…驚いていると、にゃぽんは「じゃ!」とだけ言って父さんたちの部屋に走っていった。
しばらくすると3人の声が聞こえてくる。主に悲鳴…というかなんか苦しそうな声が…。
きっと腹にダイブでもされたんだろう。
「おはよう日本、にゃぽんはここに来たか?」
そのにゃぽんを追いかけるようにして、江戸が障子を勢いよく開ける。汗が滲んでいる。
「嗚呼、来たけど…今は多分父さん達の部屋にいると思うよ。さっき悲鳴っぽいのが聞こえた。」
「…やっぱりか…急に走り出すもんだから焦ってな…」
少し会話を交わすと、本題であろう夏祭りの話になった。
「日本も行くか?俺が連れて行ってやるぞ!」
じいちゃんは自身の胸をバシッと叩くと、自信満々に言うものだから、迷わず笑顔で行くと伝えた。
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〜日帝たちの部屋〜
「がッ、?!」
最初にダイブの犠牲となったのは陸。その次に空…そして海が犠牲となる。
3人は目を覚まし、そして3人共腹を抱え込む。陸が障子の前で仁王立ちしているにゃぽんを確認すると、小声で海と空に問う。
「今日ってなんかあったか、?!(震)にゃぽんが俺たちを起こすことは滅多にねぇ!!ってか痛い!!」
「わ、分からん、!今日何かあったか、?!」
「ってか2人共、…僕達の腹が死ぬ前に、にゃぽんの朝起こすときダイブする癖を直さな…きゃ……ゔっ…(死)」
「空ーーーっ!!!(陸と海)」
「もう!父ちゃん達…何をコソコソとっ!」
にゃぽんに喋っているのが気づかれた。
「しゃ、喋ってないぞ、?にゃぽん」
急いで訂正するが…それより空が色々やばい。
陸は海に視線を送ると、海は直ぐに空を抱え、走り去って行った。
はぁ…と陸は軽くため息を吐くと、それから数分はにゃぽんの「夏祭りがある」という話を聞いていたらしい。
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「とと、父さんは、!!」
(ひとまず父さんに空がやばい事を伝えなければ、!!)
…あれから数分たって、目の前には…なんか海父さんが、空父さんを抱えて汗だくになりながら部屋に入ってきた。
じいちゃんはあれから少し会話を交わすと急いで父さん達の部屋に走っていって、きっと今頃部屋に入った…ぐらいだと思う。
「…じいちゃんだったら、さっき父さんたちの部屋に走っていったけど…空父さんどうしたの、?」
「あーー!入れ違ったか、!!日本!説明は後だ!とにかく…ちょっと空ここに置いとくから…父さん追いかけてくる!!」
そう伝えると、海父さんは空父さんを置いて、部屋に走っていった。
何があったのだろう…と横たわる空父さんを少し観察してみたがなにもわからなかった。
そしてしばらくすると空は、すっと目を開くと、驚くように勢いよく起き上がった。
…それと同時に、日本は避ける間も無く空と頭を打った。
もう空は腹が痛くないようで、おでこを抑える日本に「大丈夫か、」「怪我はしてないか」などと問いかける。
「大丈夫だよ父さん、それよりも何があったの、?」
「え?何があったのって…なにが?」
「いや、なんかさっき海父さんがじいちゃんを探してたみたいだし…なんか空父さんはくたばってるし!!泣」
空は手をポンと叩いて、なるほどね!と小さく言うと話し始めた。
「いやね?あるじゃん…にゃぽんお馴染みの起こし方……」
「あー…父さんも被害者か…」
「そそ、そゆこと…だから多分、海兄はそれを父さんに言いに行ったんだと思うよ」
空は、あはは…と少し控えめに笑った。そして空は閃いたように日本にある提案をしてみた。
「日本、今多分僕達の部屋でなんか海兄たちがごちゃごちゃやってるじゃない?」
「え?うん、多分…」
「よし!僕達でおにぎりでも作って待ってよ!たしかまだ米があったはず!」
「!うん!」
自信満々に自身の胸をバシッと叩き、任せてね!という空を見た日本は、
「やっぱり親子だなぁ」
ふふ、と笑いながら思うと、少し声が出ていたようで、空に「なにがなにが?」と言われたが、日本は笑いながら「何でもないよ」と答えるのだった。
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~日帝達の部屋〜
「ふむ…なるほど、今日は夏祭りがあるのだな?」
顎に手を当て考える素振りを見せると、にゃぽんは勢いよく頷く。余程楽しみなようだ。
「じゃぁ俺も行こうかな」
そう伝えるとにゃぽんは満面の笑みを浮かべ、
「じゃぁ、じいちゃんに陸父ちゃんも行くって言ってくる!!」
と言って障子を開けた時だった。
「おっ?」
1人の声と、トスッ…という音と共に、にゃぽんの視界は真っ暗になった。
「にゃぽん?」
障子を開けると同時に、にゃぽんは江戸の腹で受け止められた。
「ぶぇへっ!」
にゃぽんは驚いて、顔を離すと江戸とその状態で何十秒か固まった。
丁度江戸を追いかけてきた海が、戸の前で動かない江戸をみて混乱したのは言うまでもない。
「え、父さん…?どうしたの固まって…」
「え?あ、海…いや、戸を開いたらにゃぽんとぶつかって硬直…今ここ…」
「って、いやそれより空がにゃぽんのアタック食らってやばい事に…!!」
「あー、それなら大丈夫だ。空は強い子だからな!」
「ええ…」
江戸は、「空は俺に似て丈夫だからな!」と大きく笑っている。海は、それでいいのかと額に汗を滲ませるが…江戸は気にしない。
するとにゃぽんは海に気づいたようで…江戸にくっ付いたまま、
「海父ちゃん!!父ちゃんも夏祭り行くっ?!陸父ちゃんは行くって!」
と大声で言ってきた。
海は、まず夏祭りがある事自体知らなかったということもあって、もう頭の中が「?」でうまってしまったのだが…。
一先ず祭りは好きなので「行く」と伝える。陸もいるのか…と少し声に出すと、部屋の中に居た陸が顔をだした。
見るからに不満そうな顔だ。
「べっつに俺が居たって何の不都合もねぇだろお前」
「まぁそうだが…」
陸と少し話していると丁度にゃぽんのお腹がなり、皆で朝食にしようということになった。
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「よっし!こんだけ作れば足りるかな?」
2人でエプロンをして、作っているのはおにぎり。色んな具を入れて、ざっと30個は作ってある。
多そうに聞こえても、案外ペロリと平らげてしまうものだ。
「うん!足りると思う!」
日本は満足そうな顔をして答えると、勝手口が開いた。
目をやると、皆朝食を食べに来たようだ。江戸や海、陸、そしてにゃぽんがいた。
「おお、おにぎり作ってくれたのか日本」
「あ、陸!ほら、日本が陸の好きな紫蘇おにぎり作ってくれたんだよ!」
空がそう言うと、陸の表情は見るからに明るくなった。陸は紫蘇が入ったおにぎりが大好きなのだ。
陸は日本にお礼を言うと、皆で朝はおにぎりを食べた。
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~午後3時~
「ねぇ〜めっちゃ暇なんだけど〜、」
日帝達の部屋から布団は片付けられ、机が真ん中に置いてあるその部屋で1人、空は皆が新聞や本を読むこの静かな空間に根を上げた。
「あと3時間ぐらいしたら夏祭りなんだ。我慢しろ」
そう言うと本をパタリと閉じ、「じゃ、俺昼寝するから……4時半になったら起こしてくれ」と昼寝体制にはいる陸。
「ええーっ!?陸兄寝るの?!海兄は、?」
「んー、陸が寝るんだったら俺も寝ようかな。空起こして」
「え〜、じゃ僕も寝る……」
そう空が言うと、陸はゆっくり起き上り一言放った。
「じゃぁ起こすやついねぇじゃねぇか…」
「まぁ…みんな自分で起きりゃいいんだよ!寝ちゃえ寝ちゃえ、!」
いいのいいの!と笑う空に2人は「良くねぇ…」とは思ったが、まぁさすがに祭りまでには起きれるだろう。と諦めたように3人、昼寝をした。
「…おめぇらそんな所で寝てたら風邪引ぃちまうぞ?」
午後5時。屋台が出る時間だ。江戸は日帝兄弟3人に、屋台が出る時間だよと部屋に伝えに来たのだが…。
この時間になっても起きない3人を目の当たりにした。
「もうちょい寝る……」
江戸の声に反応し、日帝がボソリと呟いた。
眠気とは恐ろしいものだ。後の予定など気にせず襲いかかってくる…。
「海と空は?寝るのか?」
「んん…ねる……」
「あーおれも………」
「ほお……では6時に出るつもりだが…それまでに起きなければ置いて行っていいな?」
返事は無い。
仮眠を邪魔するのも…と思い江戸は部屋を後にするのだった。
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「…ん、今何時……え、?!おい陸!空、!」
海は目を覚ますと、時計を見て跳ね起きる。
「…んぁ?どうした海…」
「陸!時間見ろ!!」
「は…?」
陸は部屋の時計を見ると、そこには6時に長針が、そして15分に短針が向いていた。
「…寝過ごしたな俺ら」
妙に冷静な顔をしている陸。冷静というか…もう諦めた顔にも見える。
「ど、どうするか、?今から行くか、?」
「でもまだ空寝てるぞ…海、空を無理やり起こすのか」
「それは…ゔゔん…どうしようか…花火はまだだよな、?」
「嗚呼、7時からだからな。…ってか縁側から花火って見えたよな?」
「…あー…縁側から見るのもそれはそれで良いかもな…。」
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~遡って6時の頃~
「ねぇじいちゃん〜!父ちゃん達は〜?行かないの〜?」
「ん?ああ、日帝達か。寝ていてな…、声をかけたんだが起きなかったんだ。」
「…父さん達一回寝たら全然起きないもんね…」
浴衣を着た3人は、そんな会話を交わしつつ玄関を出る。
「今日は涼しいね!」
「そうだね!めっちゃ涼しい!」
日本が、いつもより過ごしやすい気温に思わず満面の笑みを浮かべると、にゃぽんも笑顔になる。
しばらく歩き神社に着くと、屋台がもうでていた。
3人はベンチに座りゆったりと夏の風を感じたり、屋台で食べ物を買ったりして花火までの時間を楽しんだ。
それからしばらくして、もうすぐで花火が始まる時間になると、日本がトイレに行くと言う。
ついて行こうか?と江戸は聞くが、「大丈夫!場所わかるし!」と言っていたし、トイレはすぐそこだったので日本がトイレに行くのを見送った。
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~数分後~
「…トイレ終わった…けど…どうやって戻るんだっけ、?」
日本はトイレを済ませると、周りを見渡した。さっきまでは分かっていたはずの道は、みなさっき通った道に見えてくる。
一つ一つが別のものを売っている屋台も、全て同じように見えてここが何処だか分からなくなってしまった。
泣きそうになるが、落ち着くために傍にあるベンチに座ってみた。
…日本は迷子になってしまった。
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しばらく経ったが日本は戻ってこない。
少し冷や汗が滲む江戸とにゃぽんは、ベンチから立ち上がり日本を探すことにした。
歩きながら日本の名前を呼ぶ。トイレの近くまで行くと、誰かの泣き声が聞こえた。
にゃぽんが急に走っていくものだから、江戸もあせってにゃぽんを追いかける。
するとにゃぽんは急に立ち止まり…
「やっぱり!日本ここに居たんだ!!」
と一言…。
日本の声がしてにゃぽんの方を見ると、にゃぽんの目の前には、探していた日本がいた。
江戸も日本に呼びかける。
「日本!!」
「あ…爺ちゃん、!!」
日本に、居てよかった。と優しく抱きしめると日本は泣き出してしまった。
にゃぽんも、日本が泣き出したのを見て、「日本?大丈夫?」など心配の言葉をかける。
すると、頭上から大きな花火の音が聞こえた。江戸たちは気付かなかったが、もう7時になっていたのだ。
それからは花火をみたり、りんご飴や綿菓子などを食べて夏祭りを過ごした。
しばらく日本は、江戸に付いて泣いていたようだが…。
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「うぇ…ちょっとまってよ今何時ですか、まじで?兄さん、???」
「あ…空起きたか…陸ー!空起きたー!」
「え、海兄??」
空は縁側で目を覚ますと、夜空から花火の音が聞こえることに気づき目を見開く。
空は四つん這いのまま、海に詰め寄るように近づく。
海はそんな事構わず空が起きたのを確認すると、向こうの方に居る陸に聞こえるよう、大きい声で起きたと伝える。
……そして空にこの現状をどうやって伝えようかと少し頭を悩ませる。まぁ…そのまま伝えるしか無いのだが…。
「あー…空?家で見るのは…あり…?」
「……分かってたけどさ…もう…」
「ほんとにすまん…」
「まぁ良いけど…僕もそんなに楽しみにしてたって訳でもないし…」
(だけど、にゃぽんと日本が夏祭り行ってるの見たかったなぁ…)
すると、後ろの扉から陸がチラッと顔を出して「寿司あったんだけど食う?」と聞いてきた。
2人は陸に気づくと目を見開き「「食う!」」と元気よく言い、3人は3人で寿司を食べながら花火を楽しんだ。
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後日談あるかも?
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