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🍼❤️✖️💛 そのじん
「ドラマとか出る時のためにキス上手くできるようにならないとやなあ」
「ぶっ」
仕事の合間、なんとなく2人でいたところにいつものトーンで訳の分からない事を言う舜太に飲んでいた水を吹き出す。
「いきなり何言ってんだよお前は。そういう仕事でもあんの?」
「いや〜今はないけどそのうちまた来るかもしれないやん?だから練習しないとなと思って」
「練習って言ったって、できるもんじゃないだろ」
「そうなんよな〜…」
うーんと悩むようなポーズをとって考え込む。相変わらずこいつはアホだと思う。まずそういう仕事が来てから悩むことだろうとか、人形相手にでもしてみればいいんじゃないのとでも言おうとしたが向けられる視線に気づく。
「……」
「…?なんだよ」
舜太が急に俺の顔を見てくる。いや、顔というか…。
「じんちゃんって唇ぷるぷるやなあ」
「は?そりゃケアはしてるし…つーかそれはお前も含めて全員だろ」
「そうかなぁ…」
じっと見られてなんとなく居心地が悪く目線をそらす。すると舜太が隣に座ってきた。
「じんちゃんってちょっと女の子みたいよな」
「お前、喧嘩売ってんのか?」
イラっとして下から睨みつけるが舜太は何故か笑顔になる。
「褒めてるんよ」
「嬉しくねえよ…」
舜太のこういう突拍子のない言動には慣れている。それはそれとして気分は良くない。俺の不機嫌さをわかってないままの舜太が笑顔で何かに気づいたような顔をする。
「そうだ!じんちゃん、キスの練習相手してや」
「はあ!?」
何か嫌な予感はしたが内容が予想外で大きな声が出る。驚いた顔で舜太を見るが自分が何を言ったのかよく考えていないのかにこにこだ。
「活動のためなんやから協力してや、な?」
「バカかお前…」
「だって練習相手おらんねんもん、熱愛報道なんて出たら大変やろ?」
「いやそれはそうだけどさ……何で俺が……」
「じゃあ、合意やな」
「は?なっ…ん」
優しく口付けられる
嘘だろうとびっくりした顔で舜太を見る。目を閉じて俺の頭の後ろを片手で固定し腰に手を回している。
唇を離された時も目を見つめられ声が出ない。何かを言わなければ。
そう考えているともう一度口付けられる。
抵抗しようとするもフレンチキスのように何度も口付けられる。
その度にびくびくと体が反応し上手く振り解けない。
「ふふ、そんな可愛い顔したらあかんで?」
顎を撫でながら舜太が笑顔で言う。笑顔なのにいつもと違う、そんな顔にドキリとする。今こんな事をされたのに何でこんな事を考えているんだ?俺は…。
「な、に言って…」
上手く言葉が出ずにいる俺を見て舜太の笑顔が消える。顎を撫でていた指に力が入り顔を引き寄せられる。
驚いて声が出そうになったところにぬるりと舌が入ってきて、思わず体をのけぞらせてしまうが腰に回されたが上に移動して強く制される。
口の中を舜太の舌で蹂躙される。逃げようとしても舌で絡め取られ、よだれが口からつたっていく。どうすればいいか分からない。自分がこっち側になるなんて。それも相手が舜太?
頭が混乱して息が苦しくてぐちゃぐちゃになる。どうやって呼吸をすればいいのか分からなくなる。
苦しくてたまらなくなった時やっと解放され呼吸ができるようになる。
「お、お前っ……」
ぜえはあと息も絶え絶えで座り込む俺を見て舜太がまたいつもの笑顔になる。しゃがんで目線を合わせてきてこちらに手をのばす。思わずびくりとするがその手は俺の頭の上にきて優しく撫でられた。
「ごめんな、じんちゃんが可愛すぎて無理させてもうた」
「…はあ!?」
「あ、ちゃんと声出るやん。もっとしても良かったかなぁ?」
いつもの調子でふざける舜太にさらに混乱する。
「お前…練習って言ったって限度があるだろ!というか許可してないし!俺!」
「それはそうって言ったやん」
「同意じゃないだろ!」
「いや、やったん?」
子犬のようなしょんぼりした顔で言われて一瞬喉がつまる。
「いやに決まってんだろ!気持ち悪いわ!」
しかし甘やかしてはいけないとしっかりとツッコミを入れる。冷静に考えて、いや考えなくてもとんでもない事をされた。
こいつのこういう甘えたところは本当に腹がたつ。
「ひどいなぁ…そんなに言う?」
またこの顔だ。思わず目をそらす。
「でもしてる時のじんちゃん、うっとりして可愛かったで?俺のキス、気持ちよかったやろ?」
自分でも感覚で分かるぐらい顔が赤くなる。
「っ…!この…!」
「わーっ!ちょっやめてや〜!」
思わず口よりも手が出る。頭をぐりぐりをしてやるといつものようにふざけた笑顔でけらけらと笑っている。何なんだ、こいつは…。
こんなノリでメンバーにこんな事ができるのか?いやこいつならやりかねない…。
しかしこんな事をメンバーみんなにされてトラブルが起こっても困る。俺はリーダーとして怒りをおさめることはできるが…。
と、いろいろ考えて馬鹿馬鹿しくなってため息をつき立ち上がる。
「お前、今回だけは許すけど他の奴にもこんな事するなよ。まったく…。」
「心配せえへんでも俺はじんちゃんにしかせんよ。じんちゃんとしかしたくないもん。」
その瞬間、俺の中の時が止まる。
「………は?」
「あ、練習って言い訳だったのバレてもたー!許してなじんちゃん!」
ごめん、とポーズをとりながらわざとらしくウインクしてくる舜太を見て頭がクラクラする。何を言ってるんだこいつは。
「大好きやで、またあの可愛い顔見せてな?」
耳元で囁かれながら腰を撫でられて体が跳ねる。
「じゃ、また後でなー!」
反論する暇もなく舜太は笑顔で走り去っていく。
立ち尽くす俺。頭がついていかない。
どういう意味なのかは分かる、だが脳がそれを拒否する。
キスされた時の感触と舜太の表情を思い出して胸がばくばくして耳まで熱くなる。今の感情をどう現すべきなのか分からない。
「…冗談、だよな?」
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