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芥川と情人になった。


最初に彼奴を知ったのは、4年前。どうにも気に食わない相棒────不本意ではあるが────が幹部になって勧誘してきた彼奴を俺に紹介した時である。

其の時は嗚呼、あんな奴に拾われるなんて此奴も可哀想だな、としか思っていなかった。

抑も、相棒である太宰の直属の部下である為、俺と関わる機会が余り無かったのも相まって、特段興味も無かったのである。


だが、太宰が失踪し、俺と彼奴────、芥川との関わりが深くなった。

芥川は遊撃隊の隊長となり、俺と一緒に任務に行くことが多くなった。

初めての俺と芥川の任務。俺は其処で芥川の戦う姿を初めてまともに見たように思う。

簡潔に云うと、────美しかった。未だ技術は拙い処は有るが、彼奴の外套で造り出した黒獣が戦場を支配する様が。

そして何より、何時も仏頂面をしている彼奴が静かに笑みをたたえる様に、俺は見惚れたのである。

と、同時にこう思った。

────此奴の笑顔をずっと見ていたい。色々な表情を見てみたい、と。

完敗である。何と勝負しているのかは判らないが。まあ、「先に惚れた方が負け」とも云うし、そういうことである。


恋を自覚してからは早かった。風呂が嫌いで、余り食事をすることにも興味がない彼奴を放っておく事等、出来る訳がなかった。

世話を焼く対象が彼奴じゃなくても、元来俺は面倒見が良い方だ、と思う。其れが好いている相手だったら尚更。

沢山話し掛けて関わって、褒めて、一緒に戦って。人からの好意に鈍感な彼奴に、色々アプローチをした。元相棒に認められる為だけを考えているから、そういうのに鈍感なのである。

……今考えると善く頑張ったと思う。本当に長かった。

そんなこんなで積年の想いを伝え、想いが通じ、情人になれたのである。

触れ合ったり、甘えたりする事に慣れていなかった彼奴が最近、少しずつ甘えて呉れる様になった、のに。


嗚呼クソ、こんな、処で。


俺の目線の先には、少し離れた処で倒れている芥川の姿。今は辛うじて息はあるが、もう直ぐ息絶えるだろう。

任務だった。何時も通りの任務だと思っていた。資料には、あんな沢山の構成員が居るだなんて、書いていなかった。

長時間異能を使って、周りを警戒して。体力が段々と消耗され、俺でも意識が朦朧とする位であった。

それでもどうにか倒しきり、今に至る。


「龍、」

「は、い゛……中也、さん、ゲホッ」


最愛の人の名前を呼ぶ。こんな状態でも返事を返して呉れる芥川が愛おしい。

芥川の元へどうにか這っていき、手を握る。


「龍、愛してる……、世界で、一番」

「僕も、中也さんを、お慕いしております、」


死んだ後、若し生まれ変われるとしたら、又、芥川と出会えるだろうか。

若し、会えるとしたら、今度は、俺が彼奴を────。







俺の記憶は其処で途絶えた。死んだ筈、だったのに。

────どうして、こうなった?

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