テラーノベル
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新しい生活も落ち着き、新しい家族も増えた。
さらに、強力な使い魔も手元に戻ってきた。
主は魔法を使うための道具、所謂魔道具の整理をしながらほくそ笑んだ。
これで前々から考えていたことを実行に移せる。
主は皆が寝静まった深夜、ナックに見つからないようにノアールを連れてそっと屋敷を抜け出した。
『ノアール、今から襲撃に行くぞ』
【はい、主様。どちらまで?】
『私の大事な執事たちを殺そうとしたクソ貴族どものところだ』
そう言うとノアールは少々不満げに唇を尖らせた。
【主様は執事たちのことが随分大事なようで】
『ああ、大事だよ。お前と同じくらい』
それを聞くと、ノアールは顔をぱっと輝かせて主にまとわりついた。
【つまり、あの執事たちは僕の弟分ということで?】
『ああ、そう思ってくれて構わない』
【それなら僕、執事たちを好きになれそうです!】
『それは何より。それじゃあ、その執事たちを迫害して好き放題していた貴族たちに復讐を』
そう言うと主とノアールの姿は闇に掻き消え、魔術の痕跡だけがその場に残った。
『ごきげんよう、皆様。良い夜ですね?』
悪魔執事が消えたことで、深夜まで会議を行っていたグロバナー家の本邸に小さな影がふたつ。
貴族たちはその影にざわめき、賊を捕まえろと騒ぎ出す。
『煩い、黙れ』
その瞬間、騒いでいた貴族の体が中から弾けて周囲に血と肉片を散らして死んだ。
凍りついた会議場の中をスタスタと進み、フィンレイの横に立った主はざっと全体を見渡した。
ここには悪魔執事の処刑に賛成した貴族が殆どそろっている。
『ノアール、やれ』
【はい】
その短い会話の直後、フィンレイ以外の人間の首や胸から血が吹き出してバタバタと椅子から崩れ落ちていく。
【あはははははははっっ!死ねっ!死ねっ!
主様の手を煩わすゴミどもめ!
死んでしまえ!!あははははははははははは】
「あ、悪魔執事の主・・・?これは・・・」
『憂さ晴らしですよ。あと、こいつらの血族も全て処分しますので』
混乱しているフィンレイを置いて血まみれのノアールに近づく。
ノアールはまだ殺し足りないと言いたげに死体を見つめてふー、ふーっと荒く息をしている。
『ありがとう。さて、次にいこうか』
その言葉にノアールの瞳がギラリと輝いた。
その晩、数々の貴族の屋敷が襲撃を受け、貴族の血統の人間が尽く殺され尽くした。
残ったのは悪魔執事を擁護した貴族とフィンレイだけ。
満足そうに血濡れの髪を靡かせてパレスに戻り、冷たい大浴場で血を洗い流した。
『ああ、そうだ・・・フェネスのお気に入りの本棚とベリアンのコレクションを棚ごと持って帰ってやろう』
【主様、タオルをどうぞ】
先に体を綺麗にしたノアールからタオルを受け取り、寂しいパレスの中を裸足のまま進んでいく。
ベリアンのコレクションの棚に手を置き魔力を込めて新しいベリアンの部屋に送り、図書館の本棚をいくつか転送した。
血まみれになった衣装は埃被った暖炉に捨てて、新居へと戻る。
これで、執事たちを縛るものは何もなくなった。
もし、元の世界に戻りたいというのなら戻してやったって良い。
いずれ来るかもしれない別れの痛みを感じながらそっと胸を押さえる。
【主様、お気に入りを手放すのですか?】
『・・・いいや?アレは私のモノだ、手放すはず無いだろう?』
歪に笑った主の表情は狂気的で、ノアールはひゅっと息を飲んだ。
『・・・すまない、彼らが出ていくというのなら止めない・・・そのつもりだ・・・そのつもりなんだ
だけど・・・嫌だなぁ・・・手放したくないよ』
【どうしてそこまで気に入っているのですか】
『彼らは不老だ。私と同じ時間を生きてくれる人間に近い存在なんて、彼ら以外に居ないんだ。
彼らが居ないなら私は狂ってしまうよ』
【僕が居るのに・・・】
『お前は十分狂ってるから、お前と一緒に居たら余計に狂ってしまうだろうが。
・・・あぁでも、出会ったばかりのラトなんかはいい感じにお前に似てたな』
【どういう感じですか、それ】
2人はそんな事を話しながらデビルズパレスを後にした。
MAKO
そして自室に転移し、服を着替えてベッドに潜り込み、これからの穏やかな暮らしを楽しむべく狂気を胸の奥底に隠すのだった。
主様の設定メモ
・長く生きすぎて狂ってしまった
・人間とか生き物とかの命を奪うのに容赦がない
・自分の大好きな人たちの前ではマトモで居られる
・マトモじゃなかった時期にノアールと旅をして、沢山の人と交流し狂気を抑える方法を身につけた
・旅の途中で狂気の発散のために魔物退治していたらいつの間にか英雄に祭り上げられていた
・食べ物や飲み物がなくても割と生きていける体質だったため、寝食を忘れて魔物退治していたせいで大金持ちになっていた
・趣味は毒薬の調合
・実はこっそり天使狩りしに行ってた
ノアールの設定メモ
・主の狂気を色濃く反映した使い魔
・快楽殺人気質で、生き物を痛めつけるのが大好き
・主とは長い長いお付き合い
・主の狂気に触発されて発狂することもしばしば
・割と狂気はコントロールできるので、コントロールがヘタな主を心配している
・肉が好物。生肉でも食べられる。
・あまり使わないが、武器は扇子
・今回は『ヤれ』と言われたので殺したが、本当は死なない程度に痛めつけて、何度も何度も痛めつけに行きたかった
コメント
1件
うわあ…読み終わってしばらく放心してました。 「主様」の、執事たちへの執着――「手放したくない」っていうあの歪んだ愛情表現が、狂気と紙一重でとても生々しかったです。ノアールとの会話も好きです。「お前は十分狂ってるから一緒にいたら余計に狂う」っていう台詞、関係性の深さがにじみ出ててゾクゾクしました。設定メモにある「大好きな人の前ではマトモでいられる」という均衡が、いつ崩れるのか…次が気になります。