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6話❀.*・゚
白西の容態は、少しずつ悪化しているように見える。彼女のそばにいるだけだった。
でも、それだけでも彼女には安心してもらえているのかもしれないと思う。
「颯馬」
いつものように、白西が静かに呼んだ。
「うん?」
「私さ、もしも何かあったら、颯馬にお願いしたいことがあるんだ」
その言葉に、胸が締め付けられた。
「お願いって?」
白西は少し目を伏せた。その様子に、俺は心配になる。
「お願いっていうか…」
「言えよ、何でもする」
俺は真剣に彼女を見つめる。何かを言わせることが怖いけど、それでも言わないと後悔する気がして…。
「私がいなくなっても、ちゃんと前を向いて生きてね」
その言葉に、俺はびっくりした。何を言っているんだ、この人は…と思う。
「そんなこと言うなよ、お前がいなくなるなんてありえない」
「でも、それが現実なの、」
白西は弱々しく言った。俺はどうしていいのかわからず、ただ彼女を見つめている。
「そんなこと言うなよ、お願いだから」
「私はいつだって、あなたに頼りたい。でも、頼りきれなくて……」
その続きを言おうと迷ったのか躊躇してやめた
俺は胸が痛くなった。彼女はいつも強がっていた。どんなに辛くても、誰にも弱みを見せず、俺に心配をかけないようにしていた。それを知っていたから、俺は何も言えなかった。
「でも、私は知ってるからさ、颯馬が私を支えてくれたこと、ずっと」
「当たり前だよ、俺はお前を支えるためにここにいるからさ」
白西は少しだけ微笑んだ。その微笑みに、また涙が込み上げてきた。
「でも、私がいなくなったら、颯馬はどうするの?」
「お前がいなくなったら、どうしたらいいのか分からないよ…」
その答えが、おれの本音だった。白西がいなくなったら、おれは一体何を支えに生きればいいのか、全く分からなかった。
「でも、あなたは強いから、きっと乗り越えられるよ」
その言葉に、俺は涙をこらえながら頷いた。
「どうしてそんなに強いんだよ」
「だって、あなたに笑顔を見せたくて頑張ってるんだもん」
その言葉に、胸が締め付けられる。
「…そんなに頑張らなくていいよ」
「私はそうやってあなたを支えることが幸せだから」
その言葉を聞いて、おれは涙を流すことしかできなかった。白西は、こんなに強く、優しく、俺を支えてくれている。それなのに、俺は何もできない。
「ごめんな、ありがとう」
「ありがとうって言わないでよ。私はただ、あなたが幸せでいてほしいだけ」
その言葉を、俺は心から受け止めた。
「お前のために、俺はずっと頑張るよ」
そう誓った。