「それで?誤解はなんとかなったの?」
「ウン…ソノ、怪我サセテ、ゴメンネ…」
シュン、と肩を落としているみどりの頭を撫でながら誤解の理由を聞いてみると、みどりは手紙として送ったはずの折り紙を広げた。
「…?濡れてる…おぉ、これは」
俺と思しきあの青い人形と、みどりであろう人形がニコニコと笑っているのだが、青い人形の絵の具が滲んでいる。
そして、その滲んだ模様が何とも悪質で、何も知らない第三者が受け取れば、これは確実に俺がみどりを締め殺しているように見えるだろう。
「いや、何でこうなった?」
「木カラ雪ノ塊ガ降ッテキタッテ」
「あ、だからこの紙濡れてんのね?」
固形水彩なんかで描かせずに、色鉛筆やクレヨンで描かせればよかったかも……
後悔したところでもう遅い。
俺の顎には青痣が出来上がっているし、首周りの服もぐちゃぐちゃで、どこの男娼かと思うくらい乱れている。
「…」
「ん?…なに見てんのー?えっちぃ」
「ココ…」
「…あ、やべ」
みどりが指差したのは、昔のそれまた昔に俺が化け物の証であるとして付けられた、青黒い模様の傷跡。
指先でそっと触れて、悲しそうに眉根を寄せていたけど、みどりはこの傷を俺がどういう経緯で負う事になったのかは聞かなかった。
「…ラダオクンハ俺ガ守ッテアゲルカラ!」
「そーなの?でも、どーやって?」
ちょっとだけ揶揄う気持ちも込めて、あぐらをかいたまま頬杖をつく。
みどりはムムム…と俯いて頭を悩ませた末に、名案を思いついたと言わんばかりにパッと顔を上げた。
「ラダオクンヲ、俺ノ番ニスル!」
「待てぇい!!おいコラどりみー!!んな大事な事サクッと決めてんとちゃうぞ!!」
「モウ決メタモーン」
え…?
「いや、みどりくん、よく考えて?番だよ?旦那さん?お嫁さん?…とにかく考えて?」
「ラダオクンハ弱イカラ、俺ガ守ッテアゲルノ!」
俺別に弱くないけど…
って…え、そんなことより…今あの子なんて言った?ツガイ??
「みっどぉ、あの、み、みっどぉ落ち着いて?うん、落ち着こう??」
「…コンチャン?」
父親のように憤慨するのがきょーさん。
母親のようになんとか嗜めるのがレウ。
兄のように動揺してるのがコンちゃん。
これぞまさに三者三様。
しかしながら、そこに俺が意見を口にする隙が全くと言っていいほど無い。
俺、当事者なのに輪の中に入れてもらえないんだけど、どういう事?
「んー、よく分からんのだけど…俺は_」
「「「らっだぁは黙ってて!!」」」
ア、そうですか…
すっかり元気を失って部屋の角でジメジメしたオーラを垂れ流していると、話し合いが終わったのかみどりが俺の顔を覗き込んだ。
「それで…?俺を除いた皆さんの話し合いはどう決着がついたんです?」
「今カラ決メル」
「え、どうやって?」
みどりの口元が弧を描いて、普段の無表情な様子からは想像もできないような笑みを浮かべた。
「簡単なちょっとしたゲームだとよ」
「…俺に拒否権は……」
「アルヨ。ラダオクンモ参加スレバネ」
「します」
「オケイ」
嬉しそうにニコッと笑ったみどりの表情に嫌な予感がした。
「さて、どりみー。何のゲームするんや?」
「何でもいいけど、危ないのはダメだよ?」
「体動かす系じゃないと嬉しいなぁ〜」
各々の要望を聞いたみどりは、何処からか一冊の本を取り出した。
バラバラバラッと勢いよく捲られるページに目を見開いていると、不意に強い光が視界を覆い尽くす。
「ミドロンパ、しよう…?」
_ゲーム開始
安全装置を設定720秒までPVPが無効になりました_
………
_安全装置を解除、PVPが有効になりました
「標的」を倒し、指定されたアイテムを「探索」して最後まで生き残りましょう_
ー ー ー ー ー
next?→200♡
テスト一週間前なので低浮上に拍車がかかります。
コメント
1件
みどろんぱとかあつ!!!