コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
彼とアキラは舞台裏へと引き下がり、ステージの喧騒から離れていった。視聴者たちの視線を背に感じながら、彼はアキラを支えて静かな廊下を歩いた。二人の胸には重苦しい感情がのしかかっていた。
「ごめん、俺のせいで…」
アキラが泣きそうな声で言った。彼は首を横に振り、優しくアキラの肩を抱いた。
「そんなことないよ、アキラ。誰だってこういうアクシデントはあるさ。俺たち、頑張ったんだ。」
彼はアキラを慰めるように言ったが、自分の中にも失望と無力感が広がっているのを感じていた。こんな形でパフォーマンスが終わるなんて思ってもみなかった。二人はただ、元の体に戻りたいという思いで精一杯やってきたのだ。
部屋に戻ると、二人は静かにドアを閉めた。部屋の中の空気は冷たく、落ち込んだ気持ちを反映しているかのようだった。彼はアキラを椅子に座らせ、そっと隣に腰を下ろした。
「…アキラ、大丈夫?」
彼が優しく尋ねると、アキラは小さく頷いたが、その目には涙が浮かんでいた。
「失格なんて…こんな結果になって…もう元に戻れないかもしれない…」
アキラの声は震えていた。彼はその言葉に返す言葉を見つけられず、ただ黙ってアキラの背中を撫でた。
その時、部屋の隅にあるモニターが明るく光り、二人の視線が自然とそちらに向いた。モニターには、彼とアキラの元の体が映し出されている。視覚化された身体の変化が、現実として目の前に突きつけられた。
「アキラ…」
彼がつぶやくように言うと、アキラもモニターに目を向けた。アキラの元の体は、以前とは違っていた。肌はさらに滑らかになり、頬は女性的な丸みを帯びている。胸もわずかに膨らんでいるように見えた。明らかに、女性化が進行しているのがわかった。
「うそだろ…こんなの…」
アキラは絶望的な表情でモニターを見つめた。彼の目に涙があふれ、頬を伝ってこぼれ落ちた。彼はどうしようもない恐怖と不安に襲われ、手を握りしめた。
「アキラ…」
彼はアキラの手を握り、強く言葉を探した。
「俺たち、諦めちゃダメだ。まだ次のミッションがあるかもしれない。元の体に戻る方法はきっとある…」
彼の言葉に、アキラは目を伏せたが、涙が止まらない。
「でも…次は何をしたらいい?こんな体になってしまったら…もう元に戻れないんじゃないかって…」
アキラの声は震えていた。彼はその声に胸が締め付けられるような痛みを感じた。それでも、諦めたくはなかった。元の体に戻るために、できることは何でもしたいという気持ちが彼の中にあった。
「アキラ、俺たちはここまで一緒にやってきたんだ。失敗したけど、まだ終わりじゃない。必ず方法を見つけて、元の体に戻ろう。」
彼は強く言い、アキラの手を握りしめた。アキラはその手の温もりに少しだけ安心感を得たようで、小さく頷いた。
「…ありがとう。俺、もっと強くならなきゃいけないな。」
アキラの声には、かすかな希望の光が宿っていた。彼はその光を見逃さず、アキラの肩に手を置いた。
「大丈夫だ。俺たち、絶対に元に戻るから。」
二人はモニターを見つめながら、次のミッションに向けて決意を新たにした。自分たちの未来を取り戻すために、何ができるのかを考えながら、二人は静かな部屋で次の一歩を模索し始めた。