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mrkm × inm
普通に囚われたメカニックと普通が分からない忍者のお話
エセ関西弁、虐待、いじめのお話故注意
既に付き合ってます
inm視点
『ずっと、ずっっと普通が羨ましかったんだ』
なんて今はメカニックヒーローをしている俺が言えたことじゃないのかもしれないけど。
これは誰にも明かすつもりがないから、俺の独白になるはずだから。
この前任務で大怪我して入院中。
いまさっき起きてナースコールも押したし、色々検査も終わって個室に戻ってきたところ。
やることも無いし誰もいなくて静かな空間は寂しいので誰も来ていないことを願いながらオトモに俺の昔の話しを聞いてもらう。
Dyticaにも、Oriensにも、誰にも言えてない俺の小さい頃のお話。
俺の家にはさ親と、1人だけ兄がいて。
それだけを聞けばごく普通の家庭なのだろうけれど実際はそんなことはなくてさ。
兄貴は親からずっと大切にずっっとずぅっと大切に育てられてるんだけどね。
俺はそんなことなくて忌み嫌われてて。
まぁ、それはそうだよね。
西生まれなのに妖魔に対する力も持ってなくて。
努力するならまだしも俺は西では異質な機械が好きになって、ずっと機械に向き合ってたから西の技術は分からないし、
ご近所さんからは陰口を叩かれて、
外に出かければ石が投げられて。
そんなの俺が耐えられるわけがなくて家に引こもるようになったんだ。
小学校4年生ぐらいの時からかな。
でも、親はそんな”普通”じゃない俺の事なんて好きなわけなくて。
家にいてもずっと罵詈雑言の嵐で。
親はずっと喧嘩してたよ。
なんでこんなやつ産んだんだ!だってさ。
まだ、喧嘩してるだけなら良かったんだ。
でも、でも……。
兄貴が中学生になった時から虐待、されるようになって。
家にいたら殺されるかもしれないけど外に行って助けを求めても助けてくれる人なんかいるわけないのは分かってたから。
家に居るしかなくて、そんなある日学校に久しぶりに行ったらもう本当によくある、よく見る殴ったり蹴ったり机の上に花瓶が置かれてたり無視されたりとかそういうやつをやられて、
担任も見て見ぬふりで。
あぁ、誰も味方なんて居ないんだって思ったら……。
何をするのもどこにいるのも怖くて。
一目散に家に帰ったんだ。
そしたら邪魔者扱いされて。
でも俺馬鹿だったからさどこに行けば俺を肯定してくれるのか分からなくて。
ずっと家に閉じこもってたんだ。
そしたらまた東寄りの山のとこに捨てられてさ。
ちょうどその山に登山に来てた人に助けて貰って施設に入ったんだ。
西の施設だったから。
機械が好きなことも、プログラミングができることも、全部、全部隠してさ。
自分を助けるために、見栄と虚栄で作られた”伊波ライ”っていう仮面をずっと付けてたらさ、
外れなくなっちゃったんだ……。
自業自得だよね。
きっと、西に行きたくないって。
東に行きたいって、その時に言えたらまた違ってたのかもしれないしあの時助けを求めてたら変わってたのかもしれない。
馬鹿だよね。
伊波ライなんて嘘で作られた空っぽの存在なのに。
今になってその空っぽの仮面を、捨てるのが怖くなっちゃったんだ。
空っぽの仮面をはずしたら嫌われちゃうかもしれない、なんて思ってさ。
誰に嫌われてもいいけど、ヒーローのみんなにだけは、嫌われたくないんだ……。
本当に、本当に、情けないな。なんて
ねぇ助けて、俺のヒーロー。
mrkm視点
ライが任務で無茶して大怪我して帰ってきた。
正確には病院に呼び出された。
その時はみんな焦っていて、それは僕も例外やなくて。
だって、ライはみんなのスーパーヒーローで。
そんな簡単に死ぬやつやないなんて思っとったのに。
病室に人工呼吸器を付けられて包帯やガーゼが沢山貼られて、巻かれて眠っているライを見た時ライも僕と変わらんくらい危ない仕事をしてて、僕と変わらず脆くてすぐ死んでしまうものなんだってことをやっと理解できた。
ライ、早く起きて。
ライの色鮮やかな僕や、タコとか、狼とは違った明るい、綺麗な朝焼けみたいな目を早く見たいんや。
その目を、その笑顔を見て安心したいんや。
だから、はよ戻ってこい。
そう思いながら1度病室を出て病院のコンビニでライの好きな物を買ってライの病室に戻ると話し声が聞こえる。
でも聞こえるのはライの声だけで、
相手の声は全く聞こえない。
もしかしたらオトモに話してるのかも、とか思って部屋の外で待ってたら最後の方は声が震えとって、ライに取ってどれだけ”捨てられる”ことが怖いんか理解した。
最近焦りが任務に出てきとったけどもしかしたら思い出して捨てられるんかもしれんって思った結果があの大怪我だったんかな。
捨てるわけないのに。
本当はきっと入らない方がええんやろうけどどうしても捨てるわけないって否定したくて、ライのことを安心させたくて部屋に乗り込む。
「ライ!」
「うわぁ!ッびっっくりしたぁ……。笑
カゲツ、どうしたの?」
「ライ、すまん。
僕さっきの話聞いとったんよ。
あの、聞こうと思っとった訳じゃなくて……。」
「……うん、
大丈夫分かってるよ。
どうしたの?」
「ライ、今回大怪我したんは僕らに捨てられるかもしれん思うて焦っとったからじゃないん?」
「情けないことに、そうなんだよね。」
「僕らが捨てるわけないやろ!!
ライがよく言うとるやん!僕らもう仲間やし捨てるとかそんなんするけないやろ!
僕、ずっと仲間がどれだけピンチでも見捨てて任務の遂行を優先しろ言われとったんやけどライに、Dyticaに出会ってからはそうは思わんねん。
仲間だからこそ助け合う必要があるんやろ!
それを僕に、僕らに教えてくれたんはライや!
お願いだから自分を卑下せんといて……
ライは…、俺の太陽なんよ。
僕を、僕らを光のある場所まで導いてくれる、明るくて綺麗で眩しい位の光を持ってる人なんよ。」
「カゲツ……。」
「それに、僕の思人のことを例え本人であろうと悪く言うやつは許さんで。」
「…、ありがとう。
俺のヒーロー。」
「…礼を言われるようなことはしてへん。
早う治して一緒に任務行くぞ」
「任務なの?笑」
「なんや!嫌なら来んでもええんやぞ!」
「うそうそ!!行く!」
なんて笑ってくれて。
あぁ、やっと眩しいライの笑顔が見れたわ。
明日は今よりもっと眩しくて、周りが霞んでしまうほどの光を放つ笑顔を見せてくれんやろな。なんて、
それを楽しみに明日は任務を頑張ろうと思う。
明日も面会来てやるから待ってるんやで。
「あ、ライ。
おかえり、おはよう」
「今更?笑
ただいま、おはよ。」
思人 → おもひびと
古語、ほぼ恋人と同義
コメント
2件
あの、めちゃめちゃいい作品でした✨ 語彙力が皆無ですがinmの過去がしっかり書かれてて、kgtの言葉がすごく刺さって、良いなって思いました!!