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《美術室にて》
ざわざわ・・・
「すごいなの・・・」
騒がし。
「なんかすごい値段で売ってそう・・・」
騒がし・・・しびれを切らした僕は言った。
「あのさ。」
ざわざわが止まる。
「五月蝿い」
「ごめんなの・・・」
僕ははぁ、と溜息一つ吐いた。
「まあまあ、無理もないと思うよ?」
「そう?」
「だって上手すぎるからね」
「、、、ふーん」
『上手』言われ慣れた言葉だ。
「興味ない。五月蝿いからよそでやってほしい。」
「それは無理だね・・・授業中だし・・・」
僕が筆を進めているとまたざわざわが戻ってきた。
またか。と思って居ると、誰かが言った。
「へあぁ。皆さん静かに。言ってる暇があるんですか?授業もうそろそろ終わりますよ?皆さん全然進んでないじゃないですか。」
「すいません先生」
「もう・・・進んでいるのと行ったらエドガー君とルカ君くらいですよ?」
その言葉を聞き今まで見ていなかったルカのキャンバスを見た。
なんというか・・・独特な感じの絵だ。
というか・・・描いてるのはそこにある色のついた猫の彫刻のはず、、、
なんというか・・・・猫か?これ
たわしでは?これ
「ルカ・・・」
「なんだい?」
「ねこ・・・描いてるんだよね?僕たち。そこの彫刻のさ」
「ああ。今更何だい?」
「たわし・・・」
そう言うとルカはいかにも図星をつかれたという顔をする。
「ん、んんん!せっ、設計図ならー、こうはー、ならないのにねー(棒)」
「・・・もういっそたわし描けば?先生、これたわしに見えませんか?」
「私には毛玉に見えます」
「見る人によって何に見えるかが変わる絵か・・・いいじゃないか・・・」
そんなふうに考えていると、小さな声が聞こえた。
「相変わらずですね・・・入学したときもこの彫刻描きましたよね。・・・また・・・たわし、ですか・・・」
僕が後ろを見ると、一人の男子生徒が立っていた。
「・・・皆たわしに見えるんだね・・・私の猫・・・」
「申し訳ないですけど・・・十分すぎるくらいたわしです・・・」
「ワルデンくんにも言われたよ・・・」
「?ワルデンく・・・
「あれ?気づかなかったのかい?彼ずっとここに居たよ?」
そう言われると男子生徒は慌て始めた。
そして胸ボケットからメモ帳とペンを取り出してサラサラと何かを書き始めた。
そして男子生徒はそのメモを僕に手渡した。
「・・・ありがとう?」
僕はそのメモに書かれた文字を見た。
[すみません気づきませんでしたすいません
あ、はじめまして。僕はビクター・グランツと申します。
よろしくお願いします。]
最初だけすごくマシンガン・・・
僕は「・・・よろしく」とだけ言った。
「・・・彼の代わりに自己紹介をするとね、彼は今日編入してきた編入生なのだよ。名前はエドガー・ワルデン。見ての通り絵がすごく上手くてね。」
「へぇ・・・ほんとだ・・・すごい・・・」
「あ、そういえば後ろにいる男子諸君。勿論だけど話したこと無い人が多いと思うから言うけれど」
おい、なんかざわついてるぞ。
男子生徒・・・冗談はよしてくれ・・・
なんか逆に苛つくなコイツの言い方。
女子じゃなくて悪かったなおい
「そうなんですね・・・てっきり・・・」
ビクター・グランツ、おまえもか。
授業が終わった後、エドガーはビクターから[女子かと思ってごめんなさい]という手紙を受け取った。