彼シャツ

メンバーにばれた編

夏の毎日投稿かなんかで長くいることにしといてください🙂‍↕️💭

撮影も終わり、6人は汗まみれで合宿所に到着。

木の香りがするログハウス。広めのリビング。天井にはファンがくるくる回っていて、いかにも“青春イベント”な空気。

なーくんが声を張る。

「おつかれー！荷物置いたら、シャワー順番ねー！」

「僕、1番ー！！」

「譲るもんかぁ！！！俺も汗すごいの！！！」

「あーもう、じゃあ俺、ジェルの部屋でシャワー借りるわ」

「ええよ。タオルそこな。俺のTシャツ、棚にあるから使ってええで」

その何気ない会話が、後の“大炎上”を呼ぶとも知らずに

数十分後

シャワーを終えたさとみがリビングに戻ってくる。

その姿を見た瞬間、時が止まる。

「……ちょ、おま」

「……待って、さとみくん、それ……」

「それジェルくんのシャツやん！！」

大騒ぎ。

「でっか……っなにそのサイズ感……肩落ちすぎじゃない！？彼シャツ！？」

「くっっっっそ色気ある！！お前、肌見えてる！！鎖骨！！！」

「……サイズ感と、香水の匂い、完全にジェルくんですね……」

（シャッター音）「はい、記録用。」

「なぁくん！？」

「彼シャツってど~ ？着心地とか？匂いとか？安心感ある？」

「てかそのまま寝た！？あ、そのままジェルくんのベッドにダイブした！？」

「お前ら全員爆発してくれまじで！！！」

（うしろからふらっと現れる）「あー、ごめんごめん、俺が貸したんや」

「公認なの！？」

「もしかしてリアルに付き合ってんの……？」

ジェル、にやっと笑って。

「……あかん？俺のさとみやのに」

「ジェルっっ！！///」

「ねぇこれ、放送していい？」

「本気でやめろ！！！」

部屋割り

「じゃあ、部屋割り発表しまーす」

「さとジェル一緒にしよー！」

「ね〜ね〜、イチャつき聞こえたら録音してさ〜！！」

「俺だけプライバシーゼロじゃん！？」

（無言でにやにや）

「……でも正直、さとみくん他の人と同室なの嫌じゃないんですか？」

「っ……うるせ……//」

「図星ぃ~♡」

深夜

さとみはシャツの袖を引っ張って、しょんぼり布団に転がっていた。

「もう……あいつら、マジでやりすぎ……」

「ごめんな」

ジェルが言って、隣に寝転ぶ。

ふわっと香る同じシャンプーの香り。

「俺が“俺のもんや”とか言ったせいやんな。……調子乗ってた、ごめん」

「……ううん。怒ってない」

「え？」

「むしろ……ちょっと、嬉しかったから……顔真っ赤になっただけ」

「……可愛すぎて死ぬかと思ったわ」

「俺のセリフ、」

そっと、布団の中で指が絡む。

「ジェル」

「ん？」

「……朝まで、手、繋いでていい？」

「ええよ。離さんで」

静かに触れ合う手と手。

シャツの生地越しに伝わる体温が、心地よくて、

そのまま、静かな夜にふたりは沈んでいった。

2日目の朝

朝のログハウスには、ベーコンの焼ける香りと、焼き立てトーストの香ばしい匂いが広がっていた。

キッチンではななもり＆るぅとが朝食の準備中。

「さとジェル、起こした？」

「ころちゃんと莉犬が行きましたよ」

「まーた荒れるやつだ」

ころん＆莉犬、さとジェル部屋前

「お〜い、朝だぞ〜起きろ〜〜！」

「絶対寝坊してくっついて寝てるから♡」

（ガチャ）

中には、ぼさぼさ頭のさとみと、まだ眠そうなジェル。 どっちも目こすりながら、シャツ姿のまま、並んでこっちを見ていた。

「……うわぁ」

「おそろいの匂いすんだけど」

「ん……？」

「んあ……どしたん？」

「ちょっと待って、同じ香水つけてるじゃん！？」

「お前ら、寝起きのくせに“恋人の朝”って感じやめて！？」

朝食タイム

朝食テーブルへ。

すぐさま莉犬ところんがクンクンと近づいてくる。

「ねぇ、これさ〜、さとみくんがつけてた香水、昨日ジェルくんがつけてたやつだよね！？！？」

「てかジェルくんのシャツに、さとみくんの香水しみついてない？逆！？」

「……お前ら嗅覚鋭すぎるだろ……//」

「確かに、昨日と同じ匂いですね。ふたりとも」

「カップル用に買ったとか？あ、俺それ公式アカに載せるー！」

「なーくんまじやめて！！命の問題！！」

「え、でもさ。 彼シャツ着て同じ香水つけて、隣で寝てたんでしょ？え、もう“夫婦”じゃん。」

「昨日ジェルくんが『俺のさとみやし』って言ってたの、本当だったんだね……」

「……俺から言わしたら、香水もシャツも、さとみが身につけてくれるだけで嬉しいんやけどな。」

「おまえ今ここで爆弾落とすなよ！//」

「は〜い、さとみくん死亡♡」

「黙秘権はもう認めません！！」

食後、みんなが片付けに動く中。

ジェルがこっそり、さとみに近づいて耳元で囁く。

「俺が貸した香水な、実は昨日、こっそり首元につけてた」

「えっ！？なんでそんなとこに……！？」

「“俺の匂いで朝までいてほしかってん”」

「……バカやろ、お前……」

顔を真っ赤にしたさとみに、ジェルは軽くキスを落とす。 「行こか」とだけ言って、先に歩いていく背中。

さとみは小さく呟く。

「……俺も、昨日お前の腕に自分の香水、つけたけど…」

午後┊︎バーベキュー開始！

ログハウスの裏庭には、大きなグリル台と木製テーブル。

山の空気は少し涼しく、まさにBBQ日和。

「うぉ~！肉きたぁぁ！！」

「うまそう！！こっち焼けたよ~！」

「野菜もバランスよく食べてくださいね！！」

「肉だけ食べてお腹壊さないでね~」

そんな中

焼きそば係に任命されたさとみは、エプロン姿で鉄板前に立っていた。

「うーわ……油はねやば、……」

「ちょ、キャベツ焦げるっ……！」

「さとみくん、がんばってー♡」

「火力、僕が調整するよー」

わちゃわちゃした雰囲気の中、鉄板で焼けるソースの匂いが漂う。

ジェルがやってきて、

後ろからさとみにくっつきながら言った。

「うちの嫁、今日も働きもんやなぁ〜♡」

その瞬間。

「…………」

「……え？」

「は？？？」

「……っっっぶなっっ！！」

莉犬がコーラを盛大に吹き出す。

ころんは串を落とす。

るぅとは焼き網の火加減を見失って煙が出る。

ななもりはスマホで録音を開始していた。

「今……嫁って言ったよね！？！？！？」

「嫁ってさとみくんのことだよね！？ジェルくん今、さらっと！？」

ジェル「え？せやけど？」

「待て待て、！やめろ！訂正しろ！俺がいつから嫁になった！？」

「昨日シャツ着たときからやで？」

「うわー♡」

「結婚記念日それでいいの！？」

「だれが嫁って言った！！ 」

「えー、でもな、……昨日も今日も俺の面倒みてくれてな」

「朝もシャツ着たまま起こしてくれて、香水つけて、料理もして、今焼きそばやろ？ それってもう“家庭的な俺の嫁”ちゃう？」

「お前っっっ！！//」

「家庭力たけぇ！！」

「爆発しろ！！」

焼きそば完成

「さとみくん、焦げてますけど……愛の味ですか？」

「“嫁の味”ってタイトルでTikTok出す？」

「投稿したら全員寝かせんぞ！！！！！」

でも。

隣で焼きそばを取り分けてくれるジェルの顔は、どこか満足そう

さとみはそれを見て、照れながらぽつり。

「……あんま堂々と呼ぶな……」

「なんや、ほんまは嬉しいくせに」

「うっさい」

鉄板の上でジュウジュウと焼きそばが鳴る音。

夏の光とソースの匂いに包まれて、恋の味がちょっと焦げた。

夜

肝試しルートの途中

空は雲が出ていて月も隠れ、森の中はほとんど真っ暗。 風が通るたび、木々が不気味に鳴っている。

さとみは口をへの字に結んで、

懐中電灯をぎゅっと握って歩いていた。

「なあ…ジェル……まじここ通るん……？」

「通るんやろ。ルートに書いてあったし」

「めちゃくちゃ空気重くない？音とかもおかしいし…」

バキッ、と足元で木の枝が折れる音。

その瞬間、さとみがピタッと足を止めた。

「……っ、いやや。ここむり…」

「……」

「空気変わった……音もする…いや、帰りたい……」

震える声、握る手もじわっと冷たい。

ジェルは黙って、さとみの手をとって、自分のポケットにそっと押し込んだ。

「手、冷たい。びっくりした」

「……ごめん……」

「謝らんでええ。怖いときは怖いって言えるお前、俺は好きやで」

「……でも……」

「こっち向いて？」

さとみがゆっくり顔をあげた瞬間──

ジェルは、そっとその額にキスを落とした。

「……だいじょうぶ。俺がついてるやろ」

しばらく無言で歩くふたり

ジェルは懐中電灯を前に向けたまま、

さとみの腰にそっと手をまわして支えていた。

さとみの目は、道じゃなく、ジェルの横顔ばかり見ていた。

「……なんでそんな余裕なん」

「余裕あるふりしてるだけやって。 ほんまは、さとみの手離れたら俺のほうがびびるかもな」

「……ばか」

「けど、ほんまに怖いのは、 お前が“ムリや”って顔すること。俺、それがいちばん心臓に悪い」

鳥居前

鳥居の前まであと数歩。

でも、そこにかかった白い布のようなものが風で揺れていて

「っ…や、やっぱ無理！！ごめんまじ無理！！」

さとみは反射的に、ジェルの胸にしがみついた。 肩が震えて、顔をぎゅっとうずめて、呼吸も浅い。

「……っ、お前……」

ジェルはその背中を包むように抱きしめ返し、

ゆっくりと耳元に口を寄せる。

「俺の声だけ、聞いとき」

「……っ、」

「お前を怖がらせるもんは、俺が全部、遠ざける」

「……でも……俺、情けない……」

「なんで？　こんだけ震えても、俺のとこ来てくれるんやろ？」

「……」

「それ、俺にとってはいちばんの信頼やで」

ジェルはさとみの頬に手をそえて、ゆっくりと口づけた。

深く、長く、静かに

キスが終わっても、ふたりはしばらく言葉を交わさなかった。

肝試しの夜も終わって、消灯時間。

布団を並べて、それぞれ横になるけど

さとみは仰向けで天井を見たまま、微動だにしない。 寝ているふりをしてるけど、肩がほんの少しだけ震えている。

こつん。

隣の布団から、ジェルが声を潜めて囁く。

「……寝れてへんやろ」

「……寝てる」

「バレバレやねん。背中で息止まっとるぞ」

「……」

「こっち、来る？」

しばらく沈黙。

でも数秒後、さとみの布団ががさりと揺れ、

ジェルの方にそっと移ってきた。

「……怖いわけじゃない」

「うん、しってる」

「ただ……」

「うん？」

「ジェルのとこ来たら、落ち着くの。……それだけ」

ジェルは何も言わず、さとみの体を抱きしめた。 自分の胸元にぎゅっと引き寄せて、後頭部をやさしくなでる。

「ここ、安心するやろ？」

「……する。」

さとみの呼吸がゆっくり整いはじめる頃。

ジェルはその髪に顔をうずめながら、小さく囁いた。

「さとみ……」

「ん……」

「ほんまはさ、 さとみが俺のとこ来てくれるの、めっちゃ嬉しいんよ」

「……ん」

「もっとぎゅーしていい？」

「……ずっとしてて」

ジェルは、胸の中にいるさとみを

これでもかってくらい強く、でも優しく抱きしめた。

明け方、ジェルがぼんやり目を開けると

さとみが、 自分の胸元に顔をすり寄せてくる。

そのまま、夢の中にいるように、

そっとジェルの首元にキスを落とした。

「……っ、さとみ……」

「ん……ぅ、ん……」

「……寝ぼけて、甘えてくるとか、 ほんま罪やわ……」

ジェルはくすぐったそうに笑いながら、

さとみの髪にキスを返した。

他メンバーが起きる時間。

ななもりが部屋をノックすると──

「おはよ〜って、…近っ！！」

中では、布団の中で完璧にくっついたふたりが、 まだ夢の中。

さとみの手はジェルの服をつかんだまま、

ジェルの脚はさとみを包むように絡んでいて、まるでぬいぐるみ状態。

「……あーこれ、無理だわ」(ドア閉)

「うわ〜！めっちゃうまそ！！」

「卵焼き甘っ！」

「これるぅとくんが焼いてくれたやつ？」

朝からにぎやかな食堂。

ジェルとさとみは少し遅れて到着。

眠たそうに並んで座るふたり

が。

その瞬間、他のメンバー全員がぴたっと動きを止めた。

「……おっそ。何してたの、朝？」

「っていうかさ……」

「あれ、寝方あれヤバくなかった！？」

「……は？」

ななもりがスマホを取り出し、写真をぽんと机に置く。

画面には 完全に布団の中でくっついて眠ってるふたりの姿。

さとみの手がジェルの服の裾を握ってて、ジェルは腕でさとみを抱き寄せてる構図。

「これ、何？もはや抱っこじゃん？」

「ぎゅー通り越して“吸収”されてない？」

「さとみくんの手、ジェルくんの中入ってません？」

「いやいや！！//」

「そんなわけないじゃん！？これはっ、えーっと、」

「普通に一緒に寝た」

「おいジェル！！！！」

「『怖かったから一緒に寝ました♡』って言ってたけど 怖さ関係なく甘えてたよね？」

「てか寝ぼけてキスしてなかった？寝ぼけてた“風”じゃない感じで」

「どこに口つけてたのか詳しく♡」

「ジェルくん、寝てる間にどこまで許してたんですか？」

「だからやめろっつってんだろ！！」

さとみの耳まで真っ赤。

でも、その隣でジェルは涼しい顔。

ジェル、まさかの開き直り

「……正直さ。俺もう隠す気ないねん」

「さとみが俺のとこ来て、 安心した顔で寝てくれるの、めっちゃ嬉しいし」

「なんなら毎晩でも来てほしいぐらいやし」

「で、朝もずっと隣にいてほしいし」

「う、うるさいうるさい！！//」

「ええやん、照れてるのも可愛いし」

「でましたジェルくん甘々モード」

「さとみくん、さっきから口数1/3になってるよw」

「ごはん冷める前に、そのラブコメ止めてもらっていいですか？」

後日談

その後、LINEグループにて

《“寝方近すぎ事件”アルバム》がしっかり共有されました。

「※見返す用にどうぞ♡」

「誰が見返すか！！（退出）」

「いや俺は保存しとく」

「お前も退出しろｗ」

昼下がり。みんな自由時間。

ころりーぬはバトミントンして遊んでて、

るぅとくんはベンチでおやつ休憩中。

なーくんはカメラ片手に記録用ムービー撮影中

そして縁側では、ジェルの隣にぴったり座って本を読んでるさとみ。

最初はちょっと距離あったのに、 いつの間にか肩と肩が当たるぐらい近くなってる。

「ねえそれさ、読んでるふりして絶対くっつきたいだけだよね？」

「“読む目的”どっか消えたよね？？」

「寄りかかるなって言われたら怒るタイプですよこれ」

「いや！ちげーし！！」

「本読んでんだよ！マジで！」

「……ページ、10分前から進んでへんで」

「……お前うるさい//」

ななもりの公開インタビュー

「はいカメラまわってまーす！今日の合宿の様子、記録しまーす♡」

カメラをふたりに向けて、にやにや。

「ジェルさん、さとみくんとは最近どうですか？」

「最高」

「隣にいてくれるし、寝るときも甘えてくれるし、朝もくっついて~~」

「やめろって言ってんだろ！！//」

「というわけで、公認カップル決定♡」

「発表：今さら隠してもムダだぞ〜の巻」

「2人がセットでいないと“あれ？何か足りなくね？”ってなるやつ〜〜」

開き直りジェル、爆弾発言再び

「つーか、な？」

「今さら俺らのこと聞かれても、言うこと変わらへんで」

「俺の大事なやつや。 だから、もう“俺の”やからな。」

「でました〜重低音“俺の”宣言〜」

「それ、昨日の夜も言ってなかったっけ？」

「お前らほんっっと口軽すぎんだよ！//」

「さとみくん、自覚が甘すぎますよ。 どう見てももう“ジェルくんの人”です」

「……なあ」

「ん？」

「……みんなの前であんな風に言うの、恥ずかしくねーの？」

「そんなんより、 俺が誰好きかちゃんと見せとく方が大事やろ」

「さとみが照れんのも好きやけど、 ちゃんと“好き”伝えんと不安なるからな」

「……バカ」

「せやで。お前のバカ。 そんで、お前も俺のバカでいてくれたらええ」

「…………知らねぇよもう」

翌朝

さとみがぽつりと提案する。

「なあ、今日別れた風ドッキリしよ」

「……はあ？マジ言ってる？」

「なーくんとか、るぅとに“幸せオーラすごすぎ”って言われたやん？ちょっと冷却期間っぽい空気流したら、面白そうじゃね？」

「それで……他のやつらの反応見るん？」

「そうそう。1日だけ。ガチ冷戦カップルの空気出そ」

「……俺、お前に冷たいの無理やで？」

「じゃあ、“心の中では想ってるけど、あえて冷たくする演技”で」

「演技でも痛いなそれ……。でも、やったる」

朝食

いつもならくっついて座って、皿の取り合いまで始まる朝食

今日は、端と端に座り、目も合わせない2人。

「……ちょ、空気やばくない？」

「2人とも……顔、死んでない？」

「さとみくん、お味噌汁ひっくり返しかけてます」

（スマホでこっそり録画）「これは……大事件……」

ジェルはわざとらしく会話を避け、

さとみは「……別に俺、関係ないし」と小声で言ってしまう。

（※“あくまでドッキリ”のつもりだけど、ちょっと胸がチクッとした2人）

撮影中の自由行動

別チームに振り分けられたジェルとさとみ。

ころんと莉犬がジェルにぐいぐい詰め寄る。

「ちょっとちょっと、ジェル〜。マジで別れたの？　昨日まで“おれの嫁♡”って言ってたのに！」

「別に、言ってたとかどうでもええし」

「あっ……口調冷た……。え、ガチっぽくね……？」

その頃さとみはるぅととななもりに捕まり、しつこく質問されていた。

「さとみくん、今日すごく……機嫌悪いですよね」

「てか、カメラ回ってないときため息多すぎ」

「……ジェルのことなんて、もう知らねえし」

夕方

夕飯準備でメンバー全員集合。

さとみが無言でジェルの横を通り過ぎようとしたとき──

「……お前、ほんまにこのままやるん？」

「なにが……演技だろ」

「演技でも……お前に無視されんの、しんどすぎんねん」

2人、無言で目を合わせる。

撮影中のカメラも、ドッキリのことを知らないメンバーたちも、その場でフリーズ。

「あっ、やばいこれは──」

「やだ……空気やばすぎる……泣いちゃう……」

の直後。

「ぷっ……限界だわ、これ」

「演技ムリ！おれマジしんどかった！！」

2人「ドッキリでしたーーー！！！」

夜

「マジで泣きそうだったから！！！」

「この2人が別れるとか地球終わるかと！！」

「騙されたけど……演技すごすぎて逆に感動しました」

「うん、これは編集して永久保存だね♡」

ジェルは、皆が笑ってる横でそっとさとみの袖をつまむ。

「……俺、明日からずっと隣おらなあかん気がする」

「……うん。」

その夜、ふたりはぴったりとくっついて、朝まで離れず眠った。

最終日の朝。

メンバーたちがせっせと荷物整理をしている中

さとみは畳に寝転びながら、

ジェルのTシャツの裾を指でつまんでいる。

「なぁ〜…もうちょいだけ一緒にいよ」

「さとみ…それずっと言うてるけど、バス出るで？」

「知らん、行きたくない。現実戻りたくない。お前のとなりいる。」

めっちゃ駄々っ子。

「…しゃーないなぁ」 そのまま隣にゴロンと寝転がって、おでこコツン。

「せやな。俺も帰りたくない。さとみの隣、落ち着くもん」

出発1時間前、最後の朝食。

「え、ちょっと待って…さとみくん、それジェルくんの服じゃない？」

「うん。昨日からずっと着てる」

「彼シャツですねぇ~（笑）」

ジェルがさとみに寄りかかって、 「彼氏やしな〜♡」と耳元で言うのがマイクに拾われ、全員悶絶。

【バス：座席くっつきすぎて注意される】

バスの中でも当然のようにくっつく2人。

• ブランケット共有

• 頭なでなで

• 耳元で「さとみ〜すき♡」

• さとみが寝てる間、ジェルが頬にキス（るぅとが目撃）

「やめろ、公共の場で爆発するな」

「もう保護者の立場で注意してる自分がしんどい」

メンバーがそれぞれの家に帰るため、駅で解散。 ふたりだけ、最後まで荷物も降ろさず、離れがたそうに見つめ合う。

「……なあ」

「ん？」

「別れ際って、なんか寂しいな」

「寂しい。……だからさ、言っといて？」

「なにを？」

「“好き”って。俺が我慢できるくらい」

ジェル、少し照れて笑って──

「すき。」と囁く。

さとみ、満足そうににやっとして。

「足りねーわ」とひとこと。

そのまま、ギュッと抱きしめて。

「…え、まだ帰れないの？」

「キスしないと終われないの？」

「はいはい、解散解散ー！！（本気の赤面）」

エピローグ

その日、全員のグループトークには

「さとジェル＝事実婚」説が本格的に浮上。

誰も止めない。ていうか、もう諦めた。

でもふたりは、 「誰が見ててもいいよな、好きなんやから」って顔で、 今日も仲良くボイス通話中です♡