【閲覧注意⚠︎】この小説はnmmnです。nmmnが苦手な方やタグの意味が分からない方は一度ご確認の上、再度閲覧をするかのご検討をお願いします。又、この小説は作者の妄想・フィクションです。
ご本人様(キャラクター等)には一切の関係・関連はありません。ご迷惑がかからぬよう皆で自衛をしていきましょう!
閲覧は自己責任です。
※その他BL要素有り( 🧚♂️×🧪)
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それではどうぞ〜🫶✨
🧪『』その他「」無線「”○○○”」
「先生〜、僕なんでか分からないんですけど、心無きの住民を見つけたら殴りたくなっちゃうんですよ〜」
『⋯はぁ。そうですか』
なんの脈絡もなく空架ぐち逸へと相談を持ちかけたフェアリートピオは、その名を体現したかのようなふわりと落ち着いた声色で、しかしサイコパスみのある言葉を淡々と述べる。
「銃よりも殴る方が楽しくて〜。でもそれって周りから見たら相当やばい奴じゃないですかぁ」
『あー、まぁ。どうですかね』
ぺしゃりと少しだけ沈んだ顔を見せるものの、空架からすれば相手は黒市民でありギャングでもあるバチバチの悪人だ。
四六時中悪いことを企んでそれを実行している人間が、今更”心無きの人間を殺してしまうんです⋯”と深刻そうに告げられても返す言葉が見つからない。
「あ。今ちょっと有耶無耶にしようとしましたね?、僕こんなに困ってるのに」
『困っているんですか?』
「そうですよ。だからぐち逸さんのことをお呼びしたんじゃないですか」
プクーっと頬を膨らませて、トピオは“来てくれてありがとうございます”と不貞腐れたように呟く。
机の上に乗せられた紅茶は温かく、ぐち逸はくるりと視線だけで部屋の様子を確認してから小さく頷いた。
『そうですか⋯。⋯では、貴方が赤の他人を殴ったとして、何に困っているんですか?』
「何にって言われるともっと困っちゃうなぁ。ンー、何にだろう⋯」
わざわざ今は使っていないであろうギャング所有のアパートの一室に招いて、トピオは今更ながらに首を傾げる。
「困ること⋯、こまることー⋯、⋯うん。よく考えたらそこまで困りませんね。なんなら僕以上にヤバい奴なんてこの街に沢山いるし」
切り替えの早いトピオは素直に今の気持ちを受け止めて、カチャリと真っ白なマグカップを手に収める。
「じゃあお悩み相談はやめにして、僕とおしゃべりでもどうですか?」
『切り替えが随分と早いですね』
「そうでしょ〜(笑)、この部屋だってめちゃくちゃ殺風景だったのに、ぐち逸さんをお招きするって決めたらものすごく綺麗にハウジング出来ましたよ」
“僕やれば出来る人間なんです!”と褒めてほしそうに笑みを浮かべて、トピオは机に両肘をつく。
口元には先程飲んだホットミルクの泡立ったものが付着し、ぐち逸はそれを見て困ったような目を向けた。
「?、どうしました?」
『あぁ、いや。⋯⋯、その。口元についてますよ』
「え?、どこですか?」
子どものようにぺたぺたと顔を触って、それでも拭えていないその様子を仕方なさげにまた見つめる。
「取れました?」
『⋯はぁ』
ぐち逸はその動作に耐えられなくなったのか、小さなため息を漏らしてからトピオの顔に手を伸ばす。
さらりと滑る柔肌に指を添えて、下唇の端っこを丁寧に拭えば⋯ぐち逸の手は何故だかトピオにぱしりと掴まれてしまった。
『、?、トピオさん。離して下さい』
「⋯え〜(笑)、嫌です」
少年のような顔つきでニンマリと笑みを漏らして、トピオはぐち逸が拭ったその泡をちゅ⋯っと軽く口付けて吸い取る。
『ッ、⋯。』
「ほら、綺麗になりましたよ。どうもありがとうございます(笑)、ぐち逸さんは本当に面倒見が良い方ですね」
解放された手はじんわりと熱を持って、ぐち逸は音も立てずに席に座って長々と息を吐いた。
「なんですかぁ(笑)?、もしかして僕がぐち逸さんの指を噛みちぎるとでも思いました?」
『⋯⋯貴方は、いつもこんなに人との距離が近いのですか?』
唐突に投げかけられたその言葉に、トピオはキョトンとした表情を浮かべる。
「ン〜⋯どうですかね。でもやっぱり人は選びますよ。変に怒られたら嫌じゃないですか」
『私は怒らない人間の一人ですか?』
「ふへへ(笑)、だって僕のこと好きですよね?」
『⋯⋯はい?』
途端にぐちゃりと胸が痛くなって、ぐち逸は眉間に皺を寄せる。
「あれ?、もしかして嫌いですか?」
『⋯そんなことは⋯ない⋯、ですが⋯、』
「じゃあ好きってことですね!。あ〜良かった(笑)、んふふ、僕も好きですよ」
なんだか居心地が悪くなり、ジワリとくすぐられるような肌の感覚に思わず立ち上がる。
ゆっくりと立ち上がったぐち逸を眺めて、トピオは一言柔らかく告げた。
「もう帰りますか?」
『⋯えぇ。そうします』
「そっかぁ。もう少し一緒に居たかったけどな⋯。まぁぐち逸さんがそう言うなら仕方ないか」
素直にコクリと頷いて、トピオはチラリとぐち逸を見上げる。
「⋯ぐち逸さん。また来てくれますか?」
『⋯⋯⋯都合が合えば』
「うわ来なさそう〜(笑)、え〜やだやだ。約束してくれなきゃ返したくないです!」
のそりと勢いまかせに立ち上がったトピオはぐち逸よりも頭一個分は優に超えて、先程とはまた違う視点でぐち逸を見つめる。
「またおしゃべりしましょ?」
『⋯約束ですか?』
「約束です!」
差し出された小指に戸惑いつつも、ぐち逸はそれをしなければこの部屋から出れないと悟ったのか…仕方なく自身の指を控えめに絡める。
「やった〜(笑)」
“ゆーびきーりげんまん⋯”とどこかで聞いた事のある約束を交わして、ぐち逸はトピオに快く見送られる。
「また会いましょ〜!、ぐち逸さーん!」
『⋯、はい、また』
手すりにグダリともたれてぐち逸を見送り続けるトピオは、ぐち逸が視界から消えるまではずっと軽く手を振って、時折寂しそうに笑みを浮かべていた。
再会の約束が果たされたのはあまりにも遅い数ヶ月後で、ぐち逸がロングスリーパーなことも相まってとてつもない期間が開いてしまった。
起床して早々にタイミングよくトピオから連絡が入り、個人医の仕事も他の優秀な医師に任せて扉をくぐる。
もちろん跨いだその扉の先はトピオの部屋の一室で、ぐち逸は無を保ちつつも眠気まなこなその瞳を控えめに擦った。
『本当にすみません。忘れていた訳ではなかったのですが⋯』
「も〜ぐち逸さん!、僕ずっと待ってたのに全然連絡つかないし、本当に寂しかったんですからね!」
ぐち逸の謝罪にふくりと頬を膨らませて、トピオは出来たての紅茶を丁寧に差し出す。
前回も出されていたその紅茶は綺麗なオレンジ色で、口に含めばさっぱりとした味わいの一品だった。
円型のハイテーブルにそれを置いて、トピオはぐち逸とはまた違った飲み物をごくごくと喉に通す。
『それはなんですか?』
「?、あぁ。僕のはココアですよ(笑)、紅茶はまだ美味しく飲めなくて」
わざわざ別の飲み物を二品も作り上げて、それでもトピオは面倒な顔を一つも見せずに笑みを漏らす。
意図的でないとは言え、約束していたにも関わらず長期的に眠ってしまった事に対して少しの罪悪感を抱いた。
ぐち逸は申し訳なさそうに淡いピンク色の瞳を見つめて、見つめられた当の本人は気分良さげに鼻を鳴らす。
「ンへへ(笑)、⋯ん。どうしました?、もしかしてぐち逸さんもココア飲みたかったですか?」
“どうぞどうぞ”と差し出されたそのマグカップにまた戸惑って、いつだかの時も困惑する事ばかりだったことを思い出す。
「美味しいですよ〜。ちゃんと牛乳も使ってますからね!、あ、でもまだ少し熱いかも。ふーふーしましょうか?」
『、結構です』
「じゃあこのままどうぞ(笑)」
飲む前提で進められたその善意に抗えず、ぐち逸は小さく口を開いてから控えめにそのマグカップに口をつける。
含んだ甘さは確かに熱くて、それでも丁寧に作られたものだと分かった。
『⋯⋯、美味しい。ですね』
「そうでしょ〜?、僕意外と出来るんですからぁ」
褒められたトピオはニコニコと目を細めて、ぐち逸から返してもらったばかりのココアをまた口に含む。
「ン…、っ、あ!、あ〜これ待って!、ぐち逸さんあれですよ!、なんでしたっけ?、これってもしかして間接キスじゃないですか?」
“わぁ〜しちゃった…、”とものすごく耳を赤らめて、トピオはクスクスと笑う。
『っ、っふ(笑)、はぁ…そうですか』
「え?、いま笑いました?」
『いいえ。別に』
まるで小学生みたいなその感性に、ぐち逸の喜怒哀楽の一つがポンッと弾ける。
「いーや。絶対笑いました。一瞬だけどちゃんと見ましたからね?」
『あぁ。良かったですね』
「他人事みたいに言ってるし…、ン〜。理由はどうであれ、もっと笑ってくれてもいいんですよ?」
何が面白さに刺さったのか検討も付かず、それでもトピオはぐち逸の新たな表情が見れて嬉しかったらしい。
もう一度ココアを飲み込んで、はわ〜っと喜びの笑みを漏らす。
『ふぅ…、。貴方は、可愛らしいという言葉が良く似合う方ですね』
「ん、僕かわいいですか?」
『えぇ。とても素直で屈託のない様が…、、っと…、その…、、すみません。出すぎたことを言いました』
ふわりとした雰囲気はもちろん可愛らしいと言えるものではあるが、シャッと柔らかいカーテンを開いてみればどす黒い何かが渦巻いている。
他人を殴ることに躊躇がなく、その緩い雰囲気を武器として携えるフェアリー・トピオというギャングの男。
「?、なんで謝るんですか?」
『…、いや。自身の身を案じてと言いますか…あぁほら、今日は仲間の印?、とやらを付けていないので』
「印…?、あっ、印ね?!、ほんとだいない!、も~ぐち逸さん!、うさぎさんまた逃がしましたね?!、」
どこにも属していない個人医の人間に“かわいい”だのと言われるのは流石に嫌気がさすだろうとぐち逸は考える。
『はい。なので、私が貴方に偏見の言葉を向けるのは避けたい次第です』
「仲間じゃないぐち逸さんに、僕がキレ散らかして殺すとでも?」
『予想する最悪の結果は現実では起こりえないと言いますが、貴方はふとした気分で人をいとも簡単に殴れてしまう人間なので』
「うわ酷い!、信用が無い!、」
『えぇ。今の所は無いです』
ピシャリとそう断言して、ぐち逸はまた紅茶を喉に通す。
「む~、、ぐち逸さんは本当に僕という人間を分かってないですね」
『?、すみません。他意はないです』
どれだけトピオが押せ押せで関わっても、ぐち逸の人間離れした情緒には響かない。
「はぁ…。ぐち逸さん」
『はい』
「僕はね、確かに世間一般で見たらやばい人間かもしれないけど。…貴方になら、優しくできますよ」
『優しく…ですか』
「うん。なんてったって、俺は貴方が好きなので」
『す……、、。あぁ、それはどうも』
トスッと刺さりかけたハートの弓矢を心臓から引き抜いて、ぐち逸は表情を変えることなく礼を述べる。
そんなぐち逸の姿を見て、トピオの眉間に初めてシワが寄った。
「素直に受け取ってくれないんですね」
『……。』
「僕のこと嫌いですか?」
『…、嫌いでは…ないです』
「じゃあ好き?」
いつだかの日も似たような質問を投げかけられ、その時は曖昧にして逃げきれた。
チラリと腕時計を見て、それからぐち逸はゆるりと立ち上がる。
「ふーん。答えてくれないんだ」
“僕泣いちゃいますよ?”と可愛げのある声色で呟くトピオは、カチリと目を合わせれば若干の怒りが瞳に浮き出ていた。
悪い人間の絶対的な独占欲がふつふつと見え隠れしている。
「ねぇぐち逸さん。…このまま、帰りますか?」
『……はい』
「…。うん、分かりました。じゃあ…また来てくださいね」
パキりと鳴ったその指で、温かい手のひらで、トピオはぐち逸の頭を軽く撫でる。
額に若干の汗を滲ませるぐち逸に笑みを浮かべて、トピオはそのままぐち逸を見送った。
外に出れば珍しく雨が降っていて、それでもピンク髪の男はぐち逸を見送り続ける。
「またね~…(笑)」
緩く目を細めて、ずっとずっとぐち逸の去る姿を眺めていた。
「ッくしゅっ…、゙あ〜寒い~…」
『じっとしていて下さい。お茶もいりませんから』
「でもでも~、せっかく来てくれたのにぃ…、」
3度目の訪問は意外と直近だった。
ピンクギャングのお仲間さんを治療した後に知った世間話の一つで、どうやらフェアリー・トピオが風邪を引いているらしい…とのこと。
それを聞いてしまえば行かざる負えず、医者であるぐち逸が飛んで来るのも無理は無い。
『とにかく座ってください。診察をします』
何がなんでもおもてなしをしたいトピオと、絶対にこれ以上の稼働を許さない空架ぐち逸(医者)。
「ン~、まぁ、お医者さんがそう言うなら…」
“仕方ないかぁ”と大人しく諦めて、トピオはどサリとベッドに座り込む。
『口を開けて』
「あー…」
一通り身体を診察して、それからぐち逸は長々とため息を漏らした。
『…貴方、一昨日の雨の日。部屋に戻ってからはどのように生活を?』
「んーと、…怒りません?」
『怒ります』
「え〜やだ。じゃあ言いません」
ぷいっと顔を背けて、トピオはチラリとぐち逸を見つめる。
『もうそれが答えと言っても過言ではないですね。…全く…、なぜわざと風邪をひくような真似を?』
「……。教えません。ぐち逸さん冷たいので」
『はい?』
「僕も冷たくしちゃいます!、押した後は引けですよ。恋愛マスターに教えて貰いました」
トピオの脳内で格好つけた(それがまたかっこいい!)先輩の助言と、割と真面目に話を聞いてくれた友人の姿が思い浮かぶ。
「あまりにも押せ押せすると、相手にウザがられてしまうらしいです。僕は嫌われたくないので、しばらくは自重します」
『嫌われる…?、誰にですか』
コケっと頭だけを横に倒して、トピオは“え〜…”とぐち逸を残念そうな目で見つめる。
「貴方にですよ。ぐち逸さん」
『私に…ですか』
「も~、全く響いてないし…、会う度にちゃんと伝えてるはずなのになァ…、なんでだろ…、」
“アピールが足りないのか?、そうなのか?”と難しい表情を浮かべ、軽く自身の顎に手を添えてから真剣に思い悩むピンク髪の青年。
「まだ引く時じゃないのかなぁ…、いやでも会長が…、ン~でもジョアとJDさんは万丈一致で押せって言ってたし…゙ぅぅ、そもそも気がついてすらいないぞって本当の事をグサグサと…」
トピオとて分かっているのだ。
空架ぐち逸という男が恋愛をするような人間では無いことを。
そして、恋愛感情というものが仮にあったとて…その感情が自分に向けて芽生えることなど有り得ないという事実を。
「゙ぅ~、考えたら余計に頭が痛くなってきた、、」
ゴンゴンッと割と強めに自身の頭を叩いて、脳みその痛みを軽減させようと試みる。
ピキりと血管に痛みが走って、そのままぶわりと血の巡りが熱く早く流れるのを瞬時に感じ取った。
「゙ぃッ、っ~…、」
涙目になったトピオの姿を呆然と眺めて、やっと思考が戻ってきたその頭がフル回転する。
『…………。…、…。あぁ、アイスパック…』
大人になると本当に稀に起きる嫌な頭の痛み方だ。
熱も相まってなんだか弱っている様に見え、ぐち逸はトピオをころりと寝転がせてからハンカチを取り出す。
くるりとアイスパックを巻いたそのハンカチをおでこに乗せて、トピオはその一部始終にゆるりと笑みを漏らした。
「ふへ(笑)、ン。ありがとうございます。ぐち逸さん」
『いえ。仕事ですから』
軽くトピオの手首を握って、そのまま不整脈なリズムを刻む血管に首を傾げる。
「すみません。嬉しくて多分だめだめです(笑)」
『…そう、みたいですね』
「…。困りますか?、馬鹿正直に好意をぶつけられるのは」
優しい目尻を崩さずに、トピオはぐち逸に問いかける。
「ぐち逸さんは冷たいけど…やっぱり優しいから(笑)、僕が傷つかないように、いつも曖昧にしてくれますよね」
敵対する相手にはとてつもなく冷ややかな目を向けて、温かい心臓の一歩手前に居座れる事を許された人間はそう多くいないだろう。
「まぁでも、僕は悪い人間なんでね。異質な目で見られるのは慣れてますし、…貴方に嫌われても、…悲しいけど、大丈夫です」
毎度毎度今日こそはと、トピオは素直に好きの気持ちを伝えて、ぐち逸がその気持ちに気がついてくれるのを静かに待っていた。
もちろん本日も、今日こそはの気持ちでぐち逸に言葉を投げかける。
「ぐち逸さん、僕は…。…俺は、あなたの事が大好きですよ。…、本当に好きです。ぐち逸さん」
脈を測っていたその手を強く握り込んで、にへらと笑みを浮かべる。
『ッ、っ…、』
息の詰まった喉の鳴りが小さく響き、ぐち逸はまたトスリと放たれたその弓矢に困惑とした。
しかし、以前のように無理やりその矢を心臓部から引き抜く気分にはなれなかった。
『ッ……、……。』
空想のうちに過ぎないが、どうしても突き刺さったその矢を捨てたくはない…気がする。
もしこの気持ちが自分だけに向けられたものであり、望めばいくらでも与えてくれる心地良さだったら…どれほど、良いものなのだろうか。
『………、』
「?、ぐち逸さん?」
するりとトピオの手の中から自身の手を引き抜いて、そのまま肩に乗っているうさぎを丁寧にポケットへとしまい込む。
『…その、今の言葉は、身内ではない私でも、、変わる事のない言葉ですか』
「…へ、」
ぱちぱちと瞬きを繰り返して、トピオはその意図にゆっくりと気がつく。
普段からギャングの仲間、空架の言うところの身内にはペラペラと軽口を叩くかのように好意の言葉を伝える男…それがフェアリー・トピオという人の良さだった。
“仲間”という存在だから、こんなにも良くしてくれているのだろうと空架ぐち逸は考えていたらしい。
「っ、もちろんですよッ、貴方が白でも黒でもお医者さんでも、俺はぐち逸さん”が”好きです!、」
貴方にしかこんなに好きをひけらかす事はないと、トピオは畳み掛けるかのように言葉を重ねる。
「貴方”が”好きなんですよ?、分かってます??、僕ずっとぐち逸さんが好きだって言ってるじゃないですかっ、もう~、なんでそんなに自信がないんですか?、というかその質問の仕方だと、貴方の事を好きでい続けても良いって解釈しますよ??」
“いいんですか?”と問いかければ、ぐち逸はカチリと固まって口を噤む。
「いいんですよね??、ね?、」
蛇のように戸愚呂を巻いて、徐々にぐち逸の小っ恥ずかしげな精神を引き寄せる。
「ぐち逸さん、良いなら僕の手を取ってください」
軽く差し出されたその手を数分眺めてから、コクリと小さく喉が上下して、それから控えめにぐち逸の手が重なる。
指先だけが軽く触れて、トピオはその手を逃しまいと掴み込んだ。
『ンッ…、』
指の間に色白で割とゴツゴツとした男の手がぎゅー…っと、離さないと言いたげに絡まってくる。
途端に心臓部がむず痒くなって、ぐち逸は決まりが悪そうにそっぽを向いた。
「嫌だったら離しますよ。…僕はこのままがいいですけど」
子どものように不貞腐れた声色でそう呟く男に、ぐち逸は小さく鼻を鳴らしてからチラリと視線だけをそちらに向ける。
ばちりと合った瞳には熱があって、風邪を引いているからなのか…どうしても自分を求められているかのように錯覚してしまう。
『…嫌では、ないです』
「ふへ(笑)、じゃあこのままですね。このまま、ン…、ふぁ…、あぁ、安心したら眠くなってきた」
クラりとする身体が自分の意志とは反してベッドに転がり、それでもトピオはぐち逸の手を離さない。
「ぐち逸さん、…あとで、貴方の言葉も聞かせてくださいね」
『…わたし、ですか…、』
「そうですよ(笑)…、…ぼく、まってます、から…、っ…ふぁ、…、すぅ…、、」
重い瞼が視界を暗くし、トピオの心地よい寝息が部屋に静けさをもたらす。
『…私は…、……私も、…そうですね……、』
困ったように眉を寄せて、ぐち逸は控えめにベッドの上へと座り込む。
眠りこけるトピオを見下ろして、そして一言呟いた。
『…私も、恐らくは…。この気持ちが、釣り合うのであれば……好きだと、思います』
淡く芽吹いた不思議な気持ちに、トピオの愛に満ちた歪な雨が降り注ぐ。
いつかは大きく花咲いて、意中の相手に届く日が来るかも知れない。
けれども今は、これが2人の幸せの形である。
『………、手が、取れない…、…はぁ…、、』
眠っているのにも関わらず、絶対に外れないその手を眺めて…ぐち逸は小さなため息を漏らした。
窓辺から差す光は夕焼け色で、もう少し、あともう少し…居心地の良い時間は続くのであった。
優しくやさしく。[完]
コメント
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ほんとあったかくて、心満たされました🥲♡ここの2人の絡み、何気に大好きなのでまた見ることが出来て嬉しいです😌