『なに? たのしくない!!』
口を覆っていた手が退いたので
ゲラゲラ笑っている ツギハギに
向かって 怒鳴った
『あなた たのしい ではない?』
『ざんねん』
『わたし たのしい!』
ツギハギはレインコートの首元に
手をかけ ビイッと引きちぎった
右腕を掴まれ 頭は床に押し付け
られた 右肩から首すじが無防備に
ヤツの目の前に晒されている
マズイ! 首はマズイ!
出血多量で意識を失いでもしたら
そのまま食い殺される
横目でバールを探すが どこに
落ちたか暗くて見えない
マジ ぶっ殺す!と気合いを
入れて 左手を怪異化させるが
間に合わない
『痛つっっ た あ!!』
肩に鋭い歯が食い込む
ガリリと鎖骨に当たって嫌な音を
たてた 肉が食いちぎられた
血が吹き出したが 意識を失うほど
じゃない
ケラケラケラ
『あなた 驚く?』
『あなた 美味しい たのしい!』
『あなた にんげん? 怪異?』
コイツ…遊んでる!
本気で殺す気はないのか
最後までいたぶるのが趣味なのか
知らないが
反撃するための 時間 は
稼げそうだと 少しほっとした
『ずいぶん余裕そうだね?』
『つまんないなぁ』
『じゃあ こっちで遊ぶ?』
太ももをグイと掴んで持ち上げ
足の間に身体をねじ こんでくる
『は?!人語!しかも日本語!!』
アハハ
『そこに一番驚いてんの?』
『オレまだ 人間だよ』
『彼氏 怪異でしょ?こういうのできるの?オレと遊ぼ?』
『最つつ低!!』
『このクソやろう!!死ね!』
『人間は肩肉食いちぎらねぇよ!』
『お前がクソクズやろう だから
ここに 堕とされてんだろ!』
『てめえは てめえの×××でも
×××× ×××××!!!』
あー!やっぱり人語はいいね!
語意が豊富で便利っ!
Fワードが溢れて止まらない
ゲラゲラゲラ
『口 悪っる!』
『やっぱ おもしろいねっ !』
『あんた!』
クソやろうは 太ももを 強く掴んで
いた手の力を緩めた
突き刺さっていた爪が抜けて
血が 内ももの肌を伝う
その手で 今度は指が触れるか
触れないか スルスルと太ももを
撫でながら 這い上がってくる
臀部にまわって撫で回し
ショーツに 指をかける
ゾワワッ!
クソむかつく!この手慣れた感じ!
あと ちょっとで左手の怪異化 は
完成する
自分の手でぶっ殺したい のは
やまやまだけど あと少しでも
この状況を我慢するとかムリっ!
『キモい キモッ!』
『ヤダっ! イヤっ!………』
『アカガサっ!!』
グジャ!メギギ!!
クソやろうの 頭が潰れて
血だか脳汁だか わからないものが
私に 降り注ぐ 汚い!
叫んでいたから口にも 入った!
最悪だ 少しは位置関係とか
気にしてほしい
クソやろうを殺ったのは
ヤツの背後に現れた アカガサ
だった
クソやろうの頭を握り潰して
ボロ雑巾のように部屋の端に
投げ捨てた
遠く上のほうで這いばい男さんの
声も聞こえてきた
ああ 良かった…
ほっとして 這いばい男さん
を呼ぼうとしたとき
目の前に赤が降りてきた
ヌルリ 口が塞がれた
コメント
1件
やばい読んでたらとまらなくなっちゃって凄い面白いです!最新話楽しみにしてます!