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ようやく彼女を捕まえられたのは、二時間目の後の休み時間。
廊下で声をかけると、山下さんが私を人気のない校舎の隅の階段に連れて行った。
山下さんがすごく真面目な目で私を見てる。
美人だからか……迫力あるなあ。
気圧されてると、山下さんは小さな、低い声で言った。
「__瀬川さん……あなた……。……気づいてるのよね?」
「そ、そうなの!」
私は飛びつくように言った。
何に気づいてるかまで山下さんは言わなかったけど、でも、言いたいことは瞬時にわかったような気がした。
私は山下さんに詰め寄った。
「今日は朝から変なの!今日は6月6日だっていうけど、私の中だは7日になってるはずだし、それに昨日と同じことが朝からずっと続いてるし……。なんだかまるで……」
昨日を、6月6日を繰り返してるみたい、って私は思ったのだ。
山下さんはとても真剣に頷いた。
「やっぱりそうなのね……。実は私もなの」
「山下さんも、!? 」
飛び上がらんばかりに嬉しかった。
このヘンテコな状況に気づいてたの、私だけじゃなかったんだ!
仲間がいた!嬉しい!!
頭がどうにかなりそうだったけど、これでちょっとは安心した。
でもこれから先どうすればいいかはわからないけど……。
ずっと6月6日が続いたら、やだなあ……。
「私は7回目なの」
山下さんは冷静に言った。私はきいた。
「何が?」
「こらが7回目の6月6日なの」
……ええ……。それは壮絶だな……。
「私はこれが2回目。ところで……私たち以外にこの不思議な現象に気づいた人はいないの?」
「いないみたい。少なくとも私はまだ会っていないわね」
ということは、山下さんはたった一人で6月6日を6回も繰り返していたということか……。それってほんと、壮絶じゃない?
「でも……どうしたらいいんだろう?なんでこんなことになっちゃったんだろう?ここからどうやったら抜けだせるんだろう?」
ごちゃこちゃした頭で私は力なく言った。
7回も6月6日を繰り返すなんてやだよー。のんとか明日が来て欲しいよ。
私は考える。こうなってしまった原因を。
でも何も思い浮かばない。
過去に何かあったのかなあ。
例えば__6日の1日前である5日とかに、何かが。
でも、何も思い当たることはない。
ごくごく普通の一日だったと思うんだけど。
私は山下さんにもきいてみた。
「この原因ってなんだと思う?最近なんか変なことあった?例えば5日とかに。私はいつもと変わらない日だったんだけど、山下さんは、何かあった?」