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類said
見渡す限り、僕達以外いないみたいだ。
改めてみるとなんとも変な場所だと思う。
カラフルで、少し不気味で。
本当に、変な”夢”だなぁ。
まぁ、とにかく今は…
「っ、そろそろ君も起きたらどうだい?!」
眠りこけている司くんに向かって声を上げる。いくら寝付きがいいといえ、これはこれで心配になってくるな。
僕だって、この”セカイ”で頼れる人が君だけなのだから…。
いつもなら拝むはずの寝顔を摘む。
「…ああもう!」
この健全男児が!!、とでも叫びたくなった。
場所も状況もあり、僕は少しばかりの恐怖を感じていたのかもしれない。
「……ん?…」
「あ、司くん」
目覚めは、意外にもあっけなくて。
王子様はぱちりと目を開けたようだ。
ぼーっとこちらを数秒。
そして…
「ここはどこだぁぁ!!」
「ふふ、司くんだ。」
「類!?」
いつも通りで安心した。
おっきいデシベルが広い空間に広がる。
…後ろにある舞台のカーテンが心なしか揺れたような気がした。
「こ、ここは…」
目をうろうろさせている。可愛いな。
「類、な、なぜお前がいるんだ…?!」
あたかも、司くんに自我がある発言に。
僕の思考は凍りついた。
「…え?」
「いや、俺は自分の部屋で寝たぞ?」
「、は?」
その言葉が、妙に鮮明に響いた気がした。
何を言ってるんだ。部屋で寝たって。
この瞬間、自分の回転の早い頭に憎悪した。
…じゃあ、この司くんは?本物なの?夢の中の司くんじゃなくて?ならここは?僕の夢じゃないの?
「…い」
ここはどこなの?元の世界とは違うの?
「…い!!」
じゃあもしかして、僕たちは、
「類!!」
「ひぁ」
「大丈夫か、いきなり顔色が悪くなって…」
「…ああ、心配かけてごめんね」
「うむ…取り敢えずここを見て回らないか?」
「そ、そうだね」
怖い、怖い怖い怖い。
パニックになる前、頭が異常に冴える。
もし、本当に、司くんが本物だとしたら。
僕たちがいるここは夢じゃないならば。
ここはどこなんだ。
ねぇ。なんで君はそんなに冷静なの?
気づいていないの?
怖くないの?
「るい、行こう?」
「ぁ。」
何だ。君も怖いのじゃないか。
司くんは多分きっと、僕が会ってきた中でかなりのリアリストだ。
ただ頭が冴えて、”理解する”直前で終わってる僕。
短い時間で整理して”気づいた”彼。
だが、”気づいた”ばかり。
手が震えていて、無意識なのか少し目が潤んでいる。
そんな彼の手を、独りじゃないと言うように、ぎゅっと握って。
潤む目に、頬に、手を添えて触れるだけのキスをしてあげた。
「ん…!?」
「ふふ、一緒にいようねぇ。司くん…」
声が震える。
「類…はは、泣きそうだぞ」
「…うるさいな」
「ははっ」
その瞬間だった。
世界の色が、一瞬だけ乱れた。
ジジッ…
「おやおや!新しい仲間たちは随分と仲が良いじゃないか!!」
「!?」
「!」
「よしよし、そんな新メンバーに、
まずはサーカスグランドについて話さないとね!」
「うおぉ、ちょ、っと待ってくれ!」
「うん?どうしたんだ?」
「いや、まずお前は誰だ!!!!!」
「ちょっと司くん、声抑えて…」
「む、すまん」
いきなり現れた、歯茎に目、というかなり印象的な人?物に司くんがキャンキャン吠えている。いや、声量はシロナガスクジラだな。
「元気のいい仲間のようだね…まぁいい!賑やかなのは大歓迎!!このケインが冒険に連れていってあげよう!」
「ケイン‥」
その名前を口にした瞬間、不思議と背筋に違和感が走る。
______この時の僕達はまだ知らなかった。
この場所で過ごす時間が、決して楽しい”思い出”に、
なることは無いなんて。
ここは夢のような場所だった。
だからこそ、気づけなかった。
どんなステージにも舞台裏があることを。
コメント
2件
今回も最高すぎてもう…🫠👍💕 あ"ぁぁぁぁ!😭💕尊すぎるよ〜……❤️ もう色々と上手すぎて命が足りない!❤️🔥 とりあえず沢山♡押しときます😊👇
第2話、読ませていただきました!冒頭から類くんの焦りと司くんのマイペースさが絶妙で、思わず笑ってしまいました。「ふふ、司くんだ」のところ、好きです。でもそれ以降の展開が一気に不気味になって……。「本物の司くん」だと気づいた瞬間の恐怖が切実に伝わってきました。震える手にキスをする類くんの行動、切なくて美しかったです。最後のケインさんの登場と「舞台裏がある」という一文、余韻がすごいです。続きが気になります!📖✨