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旧彗朔

38 - 第5章 ミュータント 3話 希望の矛先か否か

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2025年05月19日

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_仏姫 side


こんこんこん、と三回、指の関節でドアを叩く。

『ごめんなさい、今時間あるかしら』

筆「残念だけど、隊長なら珍しく仕事に行っているよ」

『そうなの?でも今日話を聞きたいのは貴方なの』

筆「僕かい?構わないよ」


腕を伸ばして気分を入れ換えるように、くるりと振り返った彼の瞳は少し明るい。滅多にこの部屋に現れない私に興味を示したのか、中指でメガネを押し上げた後、私に座るように促す。


筆「で、今日はどうしたんだい?」

『コツキくん、貴方は能力についての学者だったことがあるのよね?』

筆「…うん、そうだね」


そう言いながら誇らしげに微笑む彼の手にはペンが握られており、膝の上にはカルテが置かれている。なんて仕事ができる子なんでしょう。と感動している暇はないようだ。すう、と息を吸い、もう一度吐いてから口を開く。


『最近、能力が暴発するの』


2人しか居ない部屋でぽつりと呟く。


『ふとした時に指先から雷が出ていたり、楽しいときに体がバチッ…、と痛むの』

『今は物凄く集中して抑えているのだけど、他のことを考えていると電流が体を流れて…』

筆「あぁ…、分かった、ありがとう」


私が先ほど、ドアをノックしたように自身の頭をペンで叩くコツキくん。


筆「エラルカくん、少し目を見せてほしいな」


えぇ勿論、と答える前にじい、と目を見つめられる。それも物凄く近い距離で。いつの間に移動したの?目を見たいと言えど近すぎじゃない?貴方パーソナルスペースってご存知かしら?…言いたいことは山程あるが、ぽかんと口が開いてしまって、喉からは何の音も漏れない。こういうときに限って動かない、普段はおしゃべりな自分の口が恨めしい。お願いだから私の意思と同じように動いてよ。


筆「ごめんね、もう少しよく見せてほしい」

『え?えぇ、勿論…』


立ち上がったコツキくんと座っている私では当たり前のように、コツキくんの方が背が高いわけだ。少し俯きがちな私の顎に優しく手を添え、瞳を覗き込む彼。王子様みたいね。こんなときじゃなければそう言って冗談めかしていた筈だけど、やっぱり声が出ない。これもきっと能力が暴発しているせいよ。自分に言い聞かせながら、彼の目をしっかりと見つめる。よくよく見れば、彼は端正な顔立ちをしていると思う。普段はメガネで少ししか見えないけれど、わかりやすいラベンダーの瞳に入る星型のハイライトは珍しく、そしてとても美しい。


筆「…!!エラルカくん、キミ、最近なにか他におかしいことは?」

筆「能力が暴発し始めたのはいつ頃だい?」

筆「危険な仕事には行った?」

筆「新しい友人でも出来たかい?」

『ちょ、ちょっと待って頂戴ね!?』


なにかに弾かれたかのように私から離れた彼は質問攻めをしてくる。_幾ら私の頭が冴えるとは言え、そんなに一気に言われちゃ分からないわよ…!細かい細かい記憶の糸を辿りながら、覚えていることはすべて話す。コツキくんは相槌を打ちながらカルテに書き殴っていく。


『それくらいかしら』

筆「…分かった、ありがとう」

筆「エラルカくん、落ち着いて聞いてほしい」


頷くと、コツキくんは一息置いてから静かに静かに言い放った。



筆「キミ能力は今、”純化”しようとしている」

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