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〇繁華街(夜)
道を歩く梨紗と結城。
梨紗はスーツケースを引いている。
電柱にもたれて、酔った男が眠っている。
梨紗「明日も出勤するん?」
結城「え? 当たり前やろ」
梨紗「ウチ、辞める」
結城「研修中に辞められたら、教育係の俺が悪いみたいやんか」
梨紗「そやから、一緒に辞めへん?」
結城「なんで一緒やねん?」
梨紗「ウチら、北条美花に騙されて腹立ったけど、スマイル商事に怒ってる人もおるやろ?」
結城「そらな」
梨紗「ウチ、そんなん思われるん嫌や」
酔って路上に寝る男を見ながら、
梨紗「もう悪いことはせえへん。今日で終わりや。そやから結城さんも、」
結城「俺は辞められへんなぁ」
梨紗「なんで?」
結城「たぶん……、天職やと思う」
結城「養鶏所も、そろそろ終わりや――。弁護士が付いた客もおる」
梨紗「それやったら」
結城「そやけど社長は、もう次の手を考えてるんや。おもろいやろ?」
梨紗「それ、おもろい いうんか?」
結城「人間がおる限り、詐欺は無くならへん。なんでや思う?」
梨紗「アホやから?」
結城「人には欲があるからや。そこを突いて相手から金を引き出す……。ゲームやな」
梨紗「もう、知らん! 早よ警察に捕まり! 面会に行ったるわ」
結城「捕まっても、オマエらのことは言わへん。安心しとけ」
梨紗「そんな心配ちゃうわ……。アホ」
うつむく梨紗。
結城「惜しいなぁ。オマエに色気があったら、抱いてキスでもしたるのに」
梨紗「い、いらんわぁ!」
結城の側から飛び離れる梨紗。
梨紗の背中を愛しげに見る結城。
梨紗は、オシャレな美容室を見ている。
ガラス張りの店内を覗き込む。
梨紗「ウチ、美容師になりたいねん。専門学校 行きそびれたんや」
梨紗「やり直したい。ちょっと遅いけど」
結城「遅ない。まだやれる」
梨紗「そやな。ウチもそう思う」
結城「ああ、がんばれ」
交差点の前に立つ、梨沙と結城。
梨紗「ほな、ここで」
結城「ああ。社長には言うとく」
梨紗「頼むわ」
青信号で渡る梨沙の姿が消えるまで見送る結城。
結城(もう、こっち来たらアカンで)
〇雑居ビル・前(夜)
4階に『ネット・カフェ』の看板。
梨紗がスーツケースを軽く叩く。
梨沙(一億持ってネカフェに泊まる人、ウチが初めてちゃうか?)
ビルに入る梨紗。
夜の繁華街。
様々な人が行き交い、人通りが絶えない。
(おわり)