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ケインとかな市長補佐
今日の日付は10/31。
なんと今日の街では1日限りのハロウィンイベントが行われるようで。
うちの子(+会長)たちも意気揚々とハロウィンイベントへ繰り出して行った。
なにやら色んな景品がもらえるとかなんとか。
トピオさんたちは激レアのお菓子を手に入れると意気込んでいた。
一緒に行かないかと誘われていたが、抽選会の仕事が入っていたのでまた後ほどと返事をして皆と別れ、いつもの仕事場へ。
「おや、ケインさん。今日は人間の姿ですか?」
「イベント用に仮装させられました」
今日はロボ装甲ではなく肌装甲。
上から下まですべて会長による仮装コーデだ。
ちなみにモチーフはフランケンシュタインだと言っていた。
「クオリティ高いですねぇ。ツギハギの肌とかどうやってるんです?」
「まぁ、肌と言っても作り物なので少し弄くれば完成ですよ」
「へぇ」
補佐は仮装に興味があるのか、私の服装を見ながら不思議な力で隣で自分の服を弄くっている。
「私の場合、普段から仮装しているようなものですけどね」
独特な笑い声が駐車場に響く。
確かに、いつも彼女は魔女のような格好をしている。
「んー、どうしましょ」
隣で悩む声が聞こえてくる。
何に悩んでいるのか分からないがこういう時は、「聞かれるまで何も言うな」という姐さんの教えを守ろう。
「……やっぱりこれかなぁ。ケインさんどう思います?」
呼ばれたので目線を向けると、いつだか補佐が付けていた猫耳と尻尾。
「可愛いですよね?」
「お似合いだと思います」
本心を伝えるが、何故か眉間にシワを寄せて微妙な顔をされる。
少し離れた位置にいた補佐がずいと顔を近付けてきた。
「か・わ・い・い、ですよね?」
どうやら私の答えに不満があったらしい。
語気を強めて圧をかけてくる。
「……はい、可愛らしいです」
そう答えれば、満足したようでにクスクスと笑いながら元の場所へと離れていく。
なるほど、この答えでよかったのか。
「ではケインさん」
「はい」
「どうぞ」
「え?」
理由もわからず見つめ返しても何も言わない。
何かを待っているかのようにただ笑っている。
「……トリック・オア・トリート?」
もしやと思い、魔法の言葉を言えば補佐の顔がぱあっと明るくなった。
「大切にしてくださいね?」
渡されたのは紫とオレンジの包み紙に包まれた飴玉。
渡されたのは一つのはずなのに、やけにその飴玉は重かった。
「では先に向かいますね〜」
そう言って不思議な力を使い、ぱっと消えてしまった補佐。
それと入れ替わりに鯵屋さんが駐車場に入ってきた。
「あれ?さっきまでかなちゃん居ませんでした?」
「鯵屋さんと入れ替わりで抽選場に行きましたよ」
「あちゃー、間に合わんかったか」
そう言いながら、彼はふと私の右手に視線を止めた。
「ん?それ、飴ですか?」
「補佐から貰いました」
「へぇ〜、かなちゃんから」
鯵屋さんは何か言いたげにニヤニヤと口元を緩める。
「欲しいならあげますけど」
「でも、その飴トピオさんたちが言ってた激レア景品ですよ」
「……」
「くれるなら貰いますけど」
手の中の飴玉に視線を落とす。
紫とオレンジの包み紙。どこにでもありそうな、ごく普通の飴だ。
「……差し上げるわけにはいきませんね」
「あれ、さっきは『欲しいならあげます』って」
「前言撤回します」
飴玉を握り直し、そっとポケットにしまう。
「食べないんですか?」
「……大切にしてください、と言われたので」
「それは大事にしなきゃだ」
光の先から聞こえてくるのは魔法の言葉。
次は誰に言おうか。